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魔王に転生したけど私、解釈違いです!~完璧な従者と最強の魔王の関係性を拗らせたオタク、自らの存在が解釈違いすぎる~  作者: 片吟堂
第2章:推しと対話

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2-6:いつ見た? どこから見た? どこまで見た?

 王子たちと見事和解した巫女……に化けていた魔王セブリオン・マテリアは、スカルと一緒に魂の研究室へやって来た。当然同じ体内にいる私も一緒。ちなみに変化(へんげ)は研究室到着と同時に解いたみたいです。

 研究室に来たのは、スカルに今回のご褒美アイテム「契りの紐」を編んでもらうため。モルたんと巫女を塔の上の部屋に置いてきちゃったけど、モルたんはいつでもこっちの位置がわかるし、まあ問題ないでしょ。


 というかですね、私は今それどころじゃないわけです。この魔王、私の前世の記憶をバッチリ見てやがりました。


(いつ見た? どこから見た? どこまで見た?)


 スカルが紐を編んでる間ちょうど暇だし、私はセブを徹底的に問い詰めることにした。


(いつ……か。そうだな。はっきりとは覚えてねぇが、俺は気がついたら体の主導権をお前に奪われてた)

(それは本当にごめんなさい)

(何一つ見えも聞こえもしねぇし、体の感覚もなかったからてっきり死んだかと思ったら、お前の記憶が流れ込んできてな)


 ……ん? 私の記憶が、勝手に? もしかして、ナチュリアで走馬灯見た時の話? あのときセブも裏で私の記憶見てたってこと?


(そこでお前がこことは違う世界から来て、しかもこの世界の俺らのことをよく知ってる変なやつだと知ったわけだ。ちょうどそのタイミングで、モルの声が聞こえた)


 モルたんナイスキャッチの場面ですね。


(つーかお前、いくらなんでも人の体で無茶しすぎだろ)

(もう本当にすみません……返す言葉もないです……)


 ナチュリアに行ってみたときの諸々はマジで全てそんなつもりじゃなかったとはいえ、反省してます。モルたんが怒ったのも当然だと思う。


(モルの声が聞こえてからはお前が見聞きしたものがこっちにも見えて聞こえるようになった)


 へー、そうなんだ。……え゛っ。それってもしかして、


(降霊術だの小説だのも全部見てたってことだ)


 うっ、うわああああああ終わった終了社会的死確定いいいいい!!


(ごめんなさい今からでも見なかったことにできませんか?)

(で、モルにお前の存在がバレて、ナチュリアのやつらが攻め込んできて)


 待ってスルーしないで!? オタクの尊厳が危機なんですが!?


(何度も体の主導権を取り返そうとしたんだが、ちっともうまくいかなかった)

(……ごめん、私みたいな得体の知れないポンコツに国の命運を委ねることになって、歯がゆかったよね)

(いや、モルが戻ってくるのわかってたし、特に心配はしてねぇな)


 そこはわかるんだ!? ずるくないですか!? 私もわかりたかったですけど!?


(だからモルがソウルイーターでやられたときはマジで焦った)


 ですよね~!


(私ももう本当あの時は生きた心地がしなくてとにかく必死で交代しようとして)

(おかげで無事に交代できて助かったわ。んで、城に攻め込んできたナチュリアのやつらを蹴散らして、その後でもう一度お前の記憶を確認した)

(あ~あのセブモル感動の再会シーンの後ですね……私が……見逃したやつ……)


 思い出すだけで泣きそう。いやこんなことなら私だって遠慮せずセブのあんな記憶やこんな記憶まで全部見とけばよかったな!? 肝心の再会シーンは見れませんでしたけども!


(とにかく情報が必要だった。俺の体にいるお前が何者なのか、どうしてナチュリアが攻めてきたのか、あの巫女が何を企んでやがるのか)


 そうだよね。セブからしたら、動けない間に自国が大ピンチだし、モルたんは死にかけだし、何がどうしてこうなったのか知りたいのは当然だよ。


(それでお前が何周も見た『通常ルート』とやらの記憶を俺も見てみることにした。マテリア王国が……俺とモルが迎えるはずだった最期を、見た)

(……)


 私が何も言えずにいると、いきなりセブが笑い出した。


(お前、俺らが死ぬとこで毎回泣きすぎだろ)

(えっそれは仕方なくない!? 推しの死は何度遭遇しても普通に悲しいですが!?)

(さすがに何十回も見たら飽きるって)


 いやいやいやそんなことないよね? こっちはセブモル戦に突入する度に毎回新鮮に落ち込んでましたけど?


(本当、変なやつだよな)


 そうなのかな……でもモルたんが蝶に戻っちゃうとことか泣かないの無理じゃない……?


(ま、お前に悪意がなさそうなのはわかったし、俺は俺でモルにソウルイーターでやられた分の魔力分けて疲れたからそのまま眠って……次に目が覚めたのは、さっき王子どもが下に落ちてった辺りだな)


 なるほどね。えっと、今の話をまとめると、前世にいた頃の二次創作とかは見られてなさそう、かな? 追加ルートもたぶんまだ見てないよね。

 でもこっちで書いたセブモル小説は読まれてました。無事、社会的死。よりによって推し主従二人両方にあれ読まれるとか、私前世で何かしちゃいました……?


「魔王様たち、お待たせしましたっ!」


 スカルの声にセブがそっちを見る。スカルの手には紫と水色で編まれたおしゃれな紐が載せられていた。先端は片方が輪になっていて、もう片方には小さな青い石が付いている。夜空みたいな深い青の中に、時々紫色がちらっと覗く、きれいで不思議な石だ。


「ちょうどマテリアで採れる石があったので、使ってみました。手首に巻いて、わっかの部分を石に通してください」


 さっそくセブが紐を受け取り、左手首に装備してくれた。……特に変化は感じないけど、大丈夫かな。


「今は特に何も変わらないと思います。でもこれで、ぼくがいなくても魔王様たちはいつでも自由にお話しできますよ」

「恩に着るぞ、第四王子」


 というわけで、無事契りの紐ゲットですね! さっそくモルたんに報告しないと!


「陛下」


 研究室の扉を叩く控えめなノックの音! ナイスタイミングモルたん! 今日も完璧で最高!


「入れ」

「セブ様っ!!」


 そうだった巫女もいるんだった。セブの声を聞いて変化が解けたのを確信した途端に飛び込んでくるとこがさすがすぎる。あっ、巫女の背後でセブ様呼びに苛ついてるモルたんが見えますね。

 ネクロマンサー衣装のままの巫女を見て、セブが何か閃いたっぽい。


「巫女」

「はい……!」

「お前の持つその武器は、我らマテリア王国の所有物だな。返してもらおう」

「もちろん、セブ様の望みなら喜んで」


 チョ、チョロい。けど確かに目の前で推しに頼まれたら抗えないな……。

 巫女が瞳をキラキラ輝かせながら上目遣いでこっちを見てる。この人、中に私もいるってわかってないのかな? あえてそこは考えないようにしてるのかな。


「よし、帰るぞ」

「はい、陛下」


 今回のナチュリア訪問、なかなかの収穫だったんじゃない? セブと話せるようになったし、契りの紐のおかげで今後も継続して話せそうだし、ついでにソウルイーターも回収できたし。セブモル供給もあったし、巫女に変化したセブも楽しめたし。できれば外から客観的に見たかったけどね……!


「魔王様、モルさん、本当にありがとうございました……!」

「あたしのために命がけで助けに来てくれて、本当にありがとう。このご恩は決して忘れません」


 スカルと巫女がお礼を言ってくれた。あくまで私じゃなくて推しに向けられた言葉ではあるけど、ここまで正面切ってお礼言われると、何だか照れくさくてむずむずしちゃう。


(由紀さんも、ありがとうございました!)


 ス、スカル~! いい子~! こちらこそセブと話せるようにしてくれてありがとう~!


 ところで、私には一つ気になっていることがあった。


(で、どうやってマテリアに帰るの……?)



話せるようになったのをいいことにいっぱい話させてしまった


次回更新は土曜!→すみません、今回は日曜に2話まとめて更新します!

引き続きよろしくお願いします~!

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