『閑話』
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第九十八章:蚊帳の外の侵略者たち —— 『無視された総力戦』
それは、太陽系が兄弟たちによる「五王戦争」で燃え上がっていた最中のことだった。
太陽系外縁部。
そこに、以前湊にボコボコにされた「ゾルグ帝国」、論破されて逃げ帰った「哲学者集団ロゴス」、そして銀河の「海賊連合」が結集していた。
「見ろ! 地球の防衛網が穴だらけだ!」
ゾルグ皇帝が叫ぶ。
「奴らは内戦で手一杯だ! 今こそ、あの憎き神楽坂湊を討つ好機!」
「論理的にも、勝率99.8%です」
彼らは、虎視眈々とこの瞬間を待っていたのだ。
独裁者の目が内部(子供たち)に向き、背中が留守になる瞬間を。
「全軍、突撃ぃぃぃ!!」
総勢5万隻の大艦隊が、無防備に見える太陽系へ雪崩れ込んだ。
彼らの計算では、これで地球は火の海になるはずだった。
……しかし。
1. 片手間の掃討
同時刻。隠れ家の湊。
彼は右手でポテトチップスを食べ、左手でモニターの子供たちの喧嘩を眺めながら、右足の親指だけでコンソールの「サブ・スイッチ」を押した。
『ピっ』
その瞬間、太陽系外縁部に待機していた《影》の触手と、『調停者』の群れが、ハエ叩きのように動いた。
ドォォォォォン……!
「ぎゃあああ!?」
「な、なぜだ!? 防衛システムはダウンしているはず……!」
「ば、馬鹿な! 内戦中だろ!? こっちを見ろよおおお!!」
ゾルグ艦隊は、誰にも気づかれることなく、宇宙の塵となった。
哲学者たちの船は、論理的に説明不可能な速度で彼方へ弾き飛ばされた。
所要時間、30秒。
湊はあくびを噛み殺し、視線を一度も外縁部に向けぬまま、呟いた。
「うるさいハエだ。……まあ、いい暇つぶしにもならん」
第九十九章:本当の恐怖 —— 『視野狭窄への説教』
そして現在。
正座させられている9人の子供たち(レオたち+ユキたち)の前で、湊はモニターに「ある映像」を映し出した。
「さて、補習の前に……お前たちに見てもらいたいものがある」
映し出されたのは、彼らが必死に兄弟喧嘩をしていた「その裏側」で、5万隻の敵艦隊が侵入し、そして湊によってゴミのように処理されているログ映像だった。
「「「「えっ……?」」」」
レオが絶句する。
「て、敵襲!? いつの間に……!?」
ソフィが青ざめる。
「センサーに反応なんて……いえ、私たちが『内部』の敵しか見ていなかったから、外部センサーの感度を落としていた……?」
カナタが冷や汗を流す。
「嘘だろ……。俺たち、こんな大艦隊に背中を向けて殴り合ってたのかよ……」
ユキたち姉妹も震え上がる。
もし湊がいなければ、彼女たちが勝利した瞬間に、地球はゾルグ帝国に焼き払われていたのだ。
1. 独裁者の雷
湊は、バン! と机を叩いた。
「視野狭窄!!
これこそが、支配者にとって最も恥ずべき失態だ!」
湊の説教がヒートアップする。
「お前たちは目の前の兄弟を倒すこと、玉座を奪うことに必死になりすぎて、『外』への警戒を完全に捨てていた。
私が介入しなければ、お前たちは勝者になった瞬間に死体になっていたんだぞ!」
「ぐうの音も出ない……」
ジンが項垂れる。
「『井の中の蛙、大海を知らず』とは言うが、お前たちは『井戸の中で殺し合いをして、漁夫の利を狙う鳥に気づかないオタマジャクシ』だ!
情けない! 全くもって美しくない!」
湊は、分厚い追加の課題プリント(銀河危機管理マニュアル)を、彼らの頭の上にドサドサと落とした。
「罰として、課題は倍だ。
『マルチタスク』と『広域警戒』ができるようになるまで、今日のおやつは抜きだ!」
「「「「「はいぃぃぃ……!!(涙)」」」」」
こうして、最強の子供たちは思い知らされた。
自分たちの親父は、内輪揉めを楽しみながら、同時に外敵を殲滅し、さらにポテトチップスを食べる余裕さえある「真の怪物」なのだと。
彼らが湊を超える日は、まだまだ(永遠に)来そうにない。
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次回は明日20:10に更新予定です。
次の話:『帰還』




