『初期化』
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第九十三章:暴走する女優たち —— 『アドリブの惨劇』
帝都・玉座の間。
戦況は完全に決した。レオ、ソフィ、ジン、カナタの4人は、姉妹たちによって拘束され、玉座の前に跪かせられていた。
玉座に座るユキは、もはや「謙虚な少女」でも「冷静なスパイ」でもなかった。
彼女は、歪んだ陶酔の笑みを浮かべ、湊が残したワインをラッパ飲みしていた。
「あはは……! 見てよ、この無様な姿!
天才だの、王だのと言っても、結局は私たち『脇役』に負けたのよ!」
モニター越しに、他の姉妹たちも同調する。
『そうよ。所詮は親の七光り』
『湊様ももう古い。これからは私たちがこの星系を管理するわ』
そして、ユキは残酷な命令を下した。
「ねえ、湊様は『後は任せた』って言ったわよね?
……なら、『旧時代の遺物』は処分してもいいわよね?」
ユキは、拘束されたレオたちの処刑コードを入力し始めた。
それは湊のシナリオ(脚本)にはない、彼女のアドリブ(暴走)だった。
「やめろ! 父上はそんなこと望んでいない!」
レオが叫ぶが、ユキは聞く耳を持たない。
「うるさい! 今の脚本家は私よ! 消えなさい!」
第九十四章:エラーコード:父親 —— 『権限外のアクセス』
ユキが『処刑実行』のエンターキーを叩いた、その瞬間。
『ブブーッ!』
間の抜けたエラー音が、大広間に響き渡った。
画面には、赤い文字で一言だけ表示されている。
【 ACCESS DENIED : PARENTAL LOCK (子供用制限) 】
「……は?」
ユキが凍りつく。
「な、何これ? パレンタル・ロック? 私には全権限が……」
さらに、姉妹たちからも悲鳴が上がる。
『ユキ! 重力制御が利かない!』
『ドローンが停止したわ!』
『送金したはずの資産が、全部「湊様」の口座に戻っていく!』
慌てふためくユキの背後にある巨大モニターが、突然ノイズを走り、そして「あくびをする男」の映像に切り替わった。
第九十五章:演出家のダメ出し
『あー……。テステス。聞こえてるか? 三流役者ども』
ポテトチップス片手の湊だった。
彼は心底退屈そうに、頬杖をついている。
「な、湊様……!? なぜ!? 私は貴方の指示通りに……」
『指示? 私は「任せた」とは言ったが、「あげた」とは言っていないぞ?』
湊は冷徹に言い放った。
『ユキ。お前の演技は悪くなかった。
だが、ラストシーンで調子に乗ったな?
虎の威を借る狐が、自分が虎になったと勘違いしてどうする。
お前たちが使っていたそのシステム、兵器、金……全て私の「所有物」だ。
私が指一本動かせば、お前たちはただの「無力な女の子」に戻るんだよ』
湊がスイッチを押す。
その瞬間、ユキたちが装備していた《影》の防御シールドやハッキングツールが強制解除された。
「ひっ……!?」
ユキはその場にへたり込んだ。
彼女たちが誇っていた力は、全て湊からの「レンタル品」に過ぎなかったという現実を突きつけられたのだ。
第九十六章:全員、落第 —— 『真の教育』
湊は、次に跪いているレオたちに視線を向けた。
『それから、そこの元・王たち』
レオ、ソフィ、ジン、カナタは、恥辱に顔を歪めながら俯いている。
『お前たちもだ。
たかが「スパイ」や「ハニートラップ」程度に引っかかり、足元をすくわれるとは情けない。
慢心。油断。そして兄弟間での足の引っ張り合い……。
全員、0点だ』
湊の声が、絶対零度の圧力を持って響く。
『いいか、よく聞け。
お前たちが私の玉座を狙うなら、私そのものを超えてみせろ。
私の掌の上で踊っているうちは、お前たちは一生「子供」のままだ』
湊はモニター越しに、全員を見下ろして宣言した。
『この戦争はドロー(引き分け)だ。
そして、罰として……全員、一からやり直しだ』
【システム強制初期化】
太陽系全域のインフラが一時停止し、再起動する。
これにより、レオたちの王としての権限も、ユキたちの一時的な支配権も、全て白紙に戻された。
第九十七章:恐怖の補習授業
数時間後。
湊と玲奈が、悠々と皇居に戻ってきた。
玉座の間には、シュンと項垂れる4人の元・王たちと、震え上がっている5つ子の姉妹たちが正座させられていた。
湊は玉座に座り、楽しげに笑った。
「さて、反省会だ。
レオたちには『王としての器』を、ユキたちには『分をわきまえること』を、骨の髄まで叩き込んでやる」
湊は、分厚い教本(帝王学のテキスト)を積み上げた。
「今日からここは『神楽坂・スパルタ教育・塾』だ。
卒業試験に合格するまで、ここから一歩も出さんぞ」
「「「「「は、はい……!!」」」」」
9人の子供たち(実子4人+姉妹5人)は、恐怖と敬意を込めて平伏した。
彼らは知ったのだ。
この宇宙には、どんな反乱も、どんな策謀も通じない、絶対的な「壁」が存在することを。
そして、その壁(湊)がいる限り、自分たちは何度失敗しても、また強くなれるのだということを。
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次回は明日20:10に更新予定です。
次の話:『閑話』
【超重要なお知らせ】です!
なんと本日より、完全新作の連載をスタートいたしました!
◆新作タイトル:『世界を救うのは、お茶を飲んでから。』
圧倒的な力で太陽系を管理する本作とは真逆の……「魔王討伐? なにそれ美味しいの?」と使命をガン無視し、異世界を『遊び場』としてスローに蹂躙していく、究極のマイペース勇者のコメディ無双劇です!(魔王軍が勝手に勘違いして自滅していきます 笑)
すでに第1話・第2話が公開中で、このあと【21:10】には第3話もドカンと更新されます!
3連休の息抜きにゲラゲラ笑える作品になっていますので、ぜひページ下部の作者名から飛んで、読んでみてください!
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