『帰還』
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第百章(最終話):神の目覚め、悪魔の帰還 —— 『暇つぶしは終わった』
太陽系の中心。
物理次元のさらに奥、高次元の座標にて、一つの意識が覚醒した。
『太陽神ソリス』。
この星系を管理する土着の神である彼は、ほんの少し(数千年ほど)昼寝をしていただけだった。
『ふあぁ……。さて、我が庭(太陽系)はどうなっているかな』
彼は寝ぼけ眼で下界を覗き込んだ。
そして、絶叫した。
『な、なんじゃこりゃあぁぁぁ!?』
* 木星: なぜか燃えて恒星になっている。
* 火星: 重力制御された要塞都市になっている。
* 地球: 銀河の経済・文化の中心地となり、異星人がうじゃうじゃいる。
* 物理法則: 局所的にねじ曲げられ、謎の「影」のエネルギーが満ちている。
『わ、ワシの庭が! 魔改造されとる!? 誰じゃ、こんなことをしたのは!』
神は慌てて「犯人」を特定するために、因果律を辿った。
そして、帝都・皇居でポテトチップスを食べている一人の男を見つけ——
その顔を見た瞬間、神は腰を抜かした。
『ば、馬鹿な……! なぜ「アレ」がここにいる!?
地獄の最下層に座しているはずの、最古にして最強の『悪魔王』が!!』
エピローグ1:管理者同士の会話
帝都・皇居。
補習授業が終わり、子供たちが去った静かな広間。
空間が黄金色に歪み、太陽神ソリスが顕現した。
『おい! そこな男!』
湊は驚きもせず、ポテトチップスの袋を閉じた。
「おや。やっとお目覚めか、大家さん。
随分と長い昼寝だったな」
『貴様……! そのふてぶてしい態度、間違いない!
『魔界の至高王』ミナト!
そして、その横にいるのは……『魔将軍』レナか!』
玲奈は、いつものエプロン姿のまま、優雅に一礼した。
だが、その影から漏れ出す瘴気は、銀河を一つ飲み込めるほどの質量を持っていた。
「お久しぶりでございます、太陽の神よ。……少し、寝癖がついておられますわ」
『うるさい! なぜ貴様らが人間界にいる!
まさか、侵略か!? この星系を魔界の前線基地にするつもりか!?』
神が身構える。
だが、湊(悪魔王)は、心底つまらなそうに溜息をついた。
「侵略? 馬鹿を言え。そんな面倒なこと、仕事(本業)だけで十分だ」
湊は立ち上がり、窓の外の煌めく夜景を見下ろした。
「……約束の刻限になっても、『勇者』が現れなかったのだよ」
『勇者?』
「ああ。私を倒しに来るはずの人間だ。
待ちくたびれて暇を持て余していたら、お前が寝ているのが見えてな。
ちょうどいい、勇者が育つまでの間、この辺境の星で『人間ごっこ』でもして遊ぼうと思ったわけだ」
神は絶句した。
この太陽系の文明開化、宇宙進出、銀河支配……。
その全てが、悪魔王の「待ちぼうけの暇つぶし」だったというのか。
エピローグ2:別れの言葉
その時、空間に亀裂が走った。
漆黒のゲートが開く。
魔界からの「お迎え」——あるいは、ついに遅刻していた「勇者」が向こうの世界に現れた合図だ。
「……ふむ。ようやくお出ましか。
やれやれ、私の休暇もこれまでのようだな」
湊は背伸びをし、本来の姿——人間の皮を脱ぎ捨て、角と翼を持つ、禍々しくも美しい『真の姿』へと変貌していく。
玲奈もまた、メイド服から漆黒の鎧へと姿を変えた。
『ま、待て! 貴様、ワシの庭をこんなにしっちゃかめっちゃかにして、帰るつもりか!』
神が抗議するが、湊はニヤリと笑った。
「文句を言われる筋合いはないな。
未開の惑星を、銀河の盟主にまで押し上げてやったんだ。
お前がサボっている間に、私が育ててやったんだぞ? 感謝するんだな」
『ぐぬぬ……!(言ってることは無茶苦茶だが、事実はその通りだから言い返せん!)』
湊はゲートに足をかけた。
だが、ふと足を止め、虚空に向かって指を鳴らした。
「そうだ。私の『可愛い生徒たち』に、最後の宿題を残していこう」
エピローグ3:子供たちへの遺言
湊の声は、魔力に乗って、それぞれの領地にいる9人の子供たちの脳内に直接響き渡った。
【火星のレオへ】
『レオよ。お前は頑固だが、基礎を疎かにしない点は評価している。
だが、重力に縛られるな。いつか、次元そのものを設計してみせろ』
【木星のソフィへ】
『ソフィよ。お前の光は眩しいが、影の深さを知らねば片手落ちだ。
科学と魔術、その境界を超える理論を見つけ出せ』
【小惑星のジンへ】
『ジンよ。金は血液だが、心臓ではない。
銀河を買うつもりなら、まずは自分の魂の値段を知ることだ』
【外宇宙のカナタへ】
『カナタよ。お前は私の若い頃に少し似ている。
そのまま走れ。いつか、私のいる「地獄」まで辿り着いてみせろ』
【地球のユキと姉妹たちへ】
『そして、ユキ、イチカ、ニナ、ミサ、ヨツバ。
お前たちの「嘘」は、時に真実をも凌駕する。
その演技力で、この退屈な神さえも騙し抜き、世界を面白く演出し続けろ』
グランド・フィナーレ
帝都の上空。
漆黒のゲートの中に、湊と玲奈が消えていく。
地上では、9人の子供たちが空を見上げていた。
彼らは気づいただろうか。
自分たちが追いかけていた背中が、人間などという小さな枠組みのものではなく、神話級の怪物だったことに。
だが、彼らの目に絶望はない。
「やってやるよ、クソ親父(魔王)!」
「いつか必ず、地獄まで追いかけてぶっ飛ばしてやる!」
新たな野望の火が、彼らの瞳に灯っていた。
ゲートが閉じる直前、湊は地球を振り返り、優雅に手を振った。
「あばよ、人間たち。いい暇つぶしだった」
こうして、太陽系に君臨した独裁者は去った。
残されたのは、神さえも驚く「最強の文明」と、悪魔王に鍛え上げられた「9人の英雄(あるいは新たな魔王候補)」たち。
神ソリスは、残されたカオスな太陽系を見渡し、頭を抱えた。
『……これ、ワシ一人で管理するの? 無理じゃない?』
—— 神楽坂湊の太陽系開発記・完 ——
(Next Stage: The Demon World War?)
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
湊と玲奈は魔界へ帰還し、子供たちは新たな野望を抱く……。
太陽系での物語は一旦幕を閉じますが、彼らの旅はまだ続くかもしれません。
【完結記念のお願い】
「このエンディングが好き!」「子供たちのその後が読みたい!」と思われた方は、
ぜひ下にある【☆☆☆☆☆】から評価をお願いします!
ポイントがたくさん集まれば、「魔界戦争編」や「子供たちの逆襲編」が実現する……かも?
応援よろしくお願いします!
さらに! 独裁者ロスの皆様へ【超重要なお知らせ(更新枠の引き継ぎ)】です!
明日(23日・月曜)からは、ポッカリ空いてしまうこの【20:10】の定時更新枠を、金曜日からスタートした完全新作がそのまま引き継ぎます!
◆新作:『世界を救うのは、お茶を飲んでから。』
圧倒的な力と財力で太陽系を管理した本作とは真逆の……「魔王討伐よりお茶会と味噌作りを優先する」究極のマイペース勇者が、異世界をスローに蹂躙していくギャグファンタジーです!
(※すでに序盤は公開済みで、明日からは毎日20:10に最新話を更新します!)
ページ下部の作者名から飛べますので、明日からも同じ時間(20:10)に、今度は異世界の遊び場でお待ちしております!
改めまして、長きにわたるご愛読、本当にありがとうございました!!




