第四段階:唯一世界
……やれやれ、ここまでかな。
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法則の身体には、1宇宙が内包していたエネルギー全てが直撃した。
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総評は…まあ満足かな。大体200億年ぐらいは生きたし、こうして全力も出せたし……君みたいな友達も居たし。
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法則の視界には、不定形の姿を見ている。
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「……法則、」
「…僕はここが終わりだ。君は…あー、そっか。やる事あるんだっけ。」
「……後悔しないでよ?」
「今更後悔はしないさ。」
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法則の魂から「法則」が抜け、其れの魂へと差し込まれる。
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「…なんか元から使えてたけど、それで十全に「法則」を使えるはずだよ。制御とかは…大体分かるでしょ?」
「……大体わかった。ありがとう、法則。」
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彼の体が崩壊を始める。
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「…神権を捨てる事は出来ないけど、無効化する事は出来ると思うから……まあ、よしなにやって行くといい。」
「お前もそうすれば良かったんじゃないか?そうすれば…」
「……僕は「法則」だよ。法則が法則を捨てたら、この世界は君の所みたいに崩れちゃう。」
「なら、私がこれを無効化したら…」
「そうならないようにはしてるさ。出来るだけ都合の悪い事を押し付け無いようにしたから。」
「……それじゃあね。またいつか、輪廻の所で会うかもだけど。」
「輪廻……ああ、傍観者の…」
「そうそう。肉体が崩れた魂は皆輪廻の所に行くし、どの世界にも常世への入り口はある。」
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彼の身体が、更に崩壊していく。
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「……そうだ、最後に君の名前を聞いておこうかな。」
「…いやそれがな、今の私は前の私とはちょっと違うというか……」
「あー、スワンプマンって奴?」
「そうそう。「私」は「私」なのはそうなんだが、それはそれとして「私」は「私」じゃないと言うか…」
「んー……ならいいや。また常世で会ったときに、君の名前を教えてよ。」
「…さ、輪廻!僕を連れて行ってくれ。」
「……不滅、君はこれからが大変だから…まあ、頑張ってね。」
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彼の体は、塵一つ残さず消えた。
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◆◇
さて……
…この三千世界、全てを繋げる。
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地響きが鳴り響く。
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正直、まさしく凶行って感じだが……こうでもしないと崩落は止まらん。
まあ恨まれるだろうなー。世界と世界の境界が地続きになれば、私の所にいた魔物や魔神の類が他の世界に行くだろうし、逆もまた然りだ。
でも……
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地響きが更に強く鳴り、草原にひびが入る。
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…さっきの攻撃を法則に向けた時、多分他の世界にも衝撃が行った。
今は時間が止まってるからいいが、それを解除したら半数以上の世界が消し飛ぶ。
だが地続きに出来れば、私がどうにかできる。
…それじゃ、始めようか。
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世界間の境界線が解体され、離れていた世界と世界がパズルを組み立てるかのように接続されていく。
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◆
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花弁が散る。
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「…あ、……」
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削れ、果てた体は、花弁になって散っていく。
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「……ぁああ、…」
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そうして、円卓最後の魔神は死んだ。
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◇◆◇
…やばい!
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楓の体から、黒い花弁が舞い始め――
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「当て身っ!」
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…た瞬間、唯が楓を気絶させた。
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「……楓様に発現していた狂花の兆候、収まりました。」
「悠華先行ってて。私は楓君連れてくから。」
「うん…」
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崩落が都市部の結界へと迫る。
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「…葉月さん!これ間に合うの!?」
「渚様が間に合えば――」
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唯は僅かに違和感を覚えるのみだったが、葉月はそれを鮮明に認知した。
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…時間停止……崩落も止まっているようですね。渚様が法則と戦い始めたのでしょうか。
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葉月が思考を巡らせていると、再び時間が動き出した。
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……まさか、
「唯様。少しの間、楓様の事を任せます。」
「別にいいけど…」
対崩落用結界を純結界へ転用。
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世界全体を結界が覆い始める。
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崩落は止まっているようですが…これは……
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地響きと共に、結界の外に新たな大地が接続される。
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……どうあれ、先手を打つべきでしょう。
『…こちらに敵対の意図はありません。繰り返します、こちらに敵対の意図はありません。私達は対話を望みます。』
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葉月が広域放送で、周囲の世界へ呼びかける。
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「葉月さん!何が起こってるの!?」
「…崩落を止める代わりに、他の世界と接続されたようです。」
「…葉月さん的には、この状況はどう?」
「……先ほどの広域放送に、相手方がどう出るか次第です。」
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葉月が、外に接続された五つの世界の解析を終える。
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「…唯様。少しずつで構いません、魔物や魔神を狩るまたは捕獲をお願いします。」
「いいけど……ずいぶん急に言うんだね?」
「……現在接続された世界は五つ、その世界はどれも一切の魔力を保有していません。」
「……あ、成程。魔物への対抗策が無いのか。…となると、この結界って封じ込め用?」
「…そういう事です。動員できる限りの人員を動員しますので、出来る限り短期間で殲滅又は捕獲をお願いいたします。」
「りょーかい。…あでも、ちょっと休ませて。」
「どうぞ。」
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アルケミストを通じて、葉月に五つの信号が届く。
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……魔力関連を除く文明レベルは同程度、少なくとも現状は表立っての敵対無し…まずは此方の状況説明、特に魔力周りは慎重に……
◆
……全部、全部、全部!
僕に起こった全ての事は、僕に関わった身勝手な神共の所為だ。
身勝手な神共…勝手に僕を憐れんで、勝手に僕を仕立てた。
僕はそんなの要らなかったのに。
神は勝手だ。…勝手だからこそ神なのか?
僕に魔術が無かったら、こんな事に関わらずに居られた。
…源斗君がああなったのも、神共の所為だ。
あの時逃がさず、殺せば良かった。
……そんな事を思わなきゃいけないのも、僕がこんなに思いつめなきゃいけないのも。全部全部、身勝手に僕に物を背負わせた奴等の所為だ。
魔術なんて使えなくてよかった。
無駄な憐憫を掛けられる必要なんてなかった。
僕が人殺しになる必要なんてなかった。
……僕を見るな、僕はそんな物要らない。
これ以上お前等の力なんて要らない。
――――
気絶していた楓の体から、花弁が消えた。
――――
「……起きましたか。」
「…あなたは何の神だ?」
「………恨むならどうぞ。ですが、今は私が必要だと思いますよ。…脅しの様な言い方をしますが。」
「…別に手は出さないが、一つ教えて欲しい事がある。」
「…一つと言わず、色々お教えしますよ。」
「……やるなら僕以外にしてくれ。それが必要な事なのは分かるけど、僕じゃ腐らせるだけだから。」
「…まず、僕が最初に魔術を暴発させたのはいつだ?」
「4210/10/21 11:24…楓様が3歳の時ですね。」
「そんな事は分かってる、…それの被害はどれだけ出た?」
「…凡そ数万人規模の被害を出しました。」
「その中に、源斗君が居た……と?」
「…厳密には、楓様の魔術に巻き込まれた人々の中に、源斗様の両親が居ました。…何時頃気づいたのですか?」
「…源斗君が言ってた。」
「…聞きたい事は聞けた、これ以上僕はあなた達神に頼らない。……唯さん達の手伝いしてくる。」




