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未定  作者: 大倉
争奪の世、三千世界
90/108

「不滅」の渚

――――

渚は塔の最上階、円卓が安置されている部屋に辿り着いた。

――――


「お座り下さい。」


――――

既に円卓に腰掛けていたエドガーの反対側に座る。

――――


「降伏する気は……無いか。」

「ええ。まだ負けていません(・・・・・・・・・)から。」

「そうか?互いに手札は出し切っただろ。」


――――

机の下、エドガーに見えない角度で渚の手が煤を構える。

――――


「…始めてく――」


――――

エドガーが口を開いた直後、椅子を蹴って飛び出した渚が首を刎ねる。

――――


蘇生の祈祷(シグマフレイア)


――――

エドガーの首が再び胴体にくっつく。

――――


治っ――


「【慈悲、均衡(Norn)】」


――――

渚が塔の上空へと転移する。

――――


弾き出――


「【勝利、栄光(Arjuna)】」


――――

爆発をもろに食らい、都市に貼られている結界まで吹き飛ばされる。

――――




……気絶して無いだけ上々、だが今のは…


「葉月、南宮は?」

先刻魔神と相打ちになりましたので回収しました。現在治療中です。


………まさか、


――――

エドガーが塔の外に出る。

――――


「…何でこっちの魔術(・・)をお前が使える。」


――――

それを見た渚は転移し、エドガーと競り合う。

――――


煤で切れない、さっきの魔神と同じ法則無視か。




夜刻(ツァノク)


――――

世界が動きを止める。

――――


「……私の神権は、物体へ私の解釈を押し付ける事が出来ます。」

「魔神を自由に封印、解放したり、新たに作り出したり…私がある程度理解している物であれば、更に多様な事が出来るでしょう。」

「無論、他者を完全に理解する事は出来ませんので、貴女に私の神権を行使する事は出来ませんが。」


――――

世界が再び動き出す。

――――


結界光(グレクト)


――――

渚とエドガーの間に結界が生成される。

――――


…本当にどこから……







◇◆


王国、(King)王冠、基礎(of kings)


――――

塔を中心として、「夢想」の神域が広がる。

――――


理解、星幽(Hōros)


――――

エドガーの脳内に、これから先の盤面が複数見通される。

――――


……少ないとはいえ負け筋がある…ならば潰してしまいましょう。







「……渚さん、どうか全力で。全力で私に負けてください。」

「嫌だね。…全力を出すなら、私は勝たなきゃいけない。」









――――

塔の門が開く。

――――


「――【大群(ワイルドハンターズ)】」


――――

門から無限かに思える数の魔神が湧き出した。

――――







◆◇


そう来たか!


――――

渚が塔から離れ、空へと昇る。

――――


「葉月、結界と砲台を全力に。出来る限り食い止めろ。」

承知しました。


――――

魔神の群れは世界を蝕むかの様に突き進む。

――――


量が尋常じゃない、


「【天の川(ステラ)】、」


――――

空が白く多重に染まり、面と言える量の剣が降り注ぐ。

――――


「【近接(Burst:)信管(Range)】」


――――

地に落ちた剣が順に爆ぜていく。

――――


「結界で魔神の軌道逸らせるか!?」

……一時的には可能です。

「一時で良い。」


――――

各所に結界が展開され、魔神の流れがある程度統一性を持ち始める。

――――


数十秒後には結界が崩壊します。

「いいさ、どの道残り一回だし。」


――――

地に降り、魔神の群れに狙いを定める。

――――


「――夜!」


――――

群れに向けて横薙ぎに斬撃を放つ。

――――


…ある程度は処理出来たか?


「星灯」


――――

黒い装束が消え、白い装束に切り替わる。

――――


崩壊します。


――――

結界が崩れ、魔神の群れが飛び出す。それに呑まれる前に、渚は空へと飛び出した。

――――


「後どれぐらい持つ?」

数時間は持ちます。


…考える時間は十分あるかな。















「この魔神の群れを「夢想」に由来する物と断定します。」

「…本体のエドガーを倒せば止まるかな。」

「……少なくとも、無尽蔵で無くなる可能性は高いですね。」

「よし、じゃあまずはエドガーから叩こう。…とはいえ、このまま籠城されるとな……」


天の川(ステラ)はフル稼働中、ちょっっっとだけ残弾が不安だけど……まあ多分大丈夫。

夜はもう撃てない、でも煤は強制装備……大火力が無いのがなー……







………あれやるか。


「葉月、完全開放やるぞ。準備にどれくらい掛かる?」

「準備は終わっています。どうぞご自由に。」


魔神共は塔から出てきてる、正面から堂々と行こうじゃないか。




――――

渚が装束を閉じた直後…世界が一瞬、揺れる。

――――


全開ならある程度は連打出来る。


――――

部分的に白くなっていた渚の髪が、完全に黒になる。

――――


「持続可能時間は5分です。」

「それ以上やったら?」

「世界が再度崩落を開始します。」

「了解。」


――――

渚の体から魔力が漏れ出し始める。

――――


……下がった分の出力が戻って、自己補完の範疇を超え始めたか。


「……カウント開始。」


――――

渚が環を解除し、群れの只中へと落下した。

――――


「【拡大(セキ)】、「星灯」」


――――

黒い炎が燃え上がる。

――――


…再装填は出来てるけど、まあ撃てて2回か……十分十分。


――――

塔へと駆け出す。

――――







◇◆


「……まさか。」


――――

魔神の群れを飲み込む黒い炎が、エドガー達の方へと向かう。

――――


理解、星幽(Hōros)】で見えた、最悪の盤面……いや、それよりも……


「ヘーテ、【勝利、栄光(Arjuna)】」


――――

指示した直後、黒い炎の周囲が爆発を起こす。…が、炎は消えない。

――――


「……源斗さん、」


雹氷(グラン・グラチェス)


――――

雨が降るが、炎は消えない。

――――


…ああ、これが貴女の言っていた全力なのですか。







◆◇

――――

まるで燃えているかのような煤を振り、魔神を捌いていく。

――――


「残り3分」


ギリギリ間に合うか?


――――

群れの勢いは苛烈を増していくが、渚はその大半を捌き、残る少数を剣で貫いていく。

――――


……ちょっと捌き切れなくなってきたな。一回リセット入れるか。


「葉月、都市部の結界強度上げろ!」

「…完了しました、何時でもどうぞ。」

「――Burst!!」





「うわっ」


また揺れた……結界の外で何が起きてるんだろ。


…気にしないようにしてたけど、源斗君も居ないし……無事だといいんだけど。




◆◇

――――

渚が辺りに散らしていた魔力全てが連続的に爆ぜた事で、無限かに思えた魔神の群れが一瞬、途切れた。

――――


見えた、


――――

一瞬、塔の入り口が渚の目に映った。

――――


「【星海を越えて(アストラルブリンク)】」





◇◆


「……お久しぶりです。」


…自動発動にしていた【慈悲、均衡(Norn)】を無効化している……あの尋常ではない魔力の所為か?


「あの群れ、お前が死ねば止まるか?」

「…ええ、無尽蔵の源は私ですので。」


「………」

…どうぞ、行ってください。契約は果たしますよ。


――――

塔の中から何かが、都市部へ向かった。

――――

◆◇

…葉月、そっちに何か行った。対処頼む。

お任せください。


「…気兼ねなくやろうか。」


――――

互いに円卓の上で競り合う。

――――


「…その状態、どれだけ持つんですか?」

「さあな。あんまり長く持続させた事が、無いんでね!」


――――

弾かれたエドガーは塔を変化させ、外へと離脱する。

――――


「タヴレーフ、【第四世界】!」


――――

不発に終わる。

――――

◇◆

…外からの干渉を魔力で弾く?……何たる無法!


――――

エドガーを追う渚に向けて、虚空から生まれた魔神が噛み付く……が、渚は意にも介さない。

――――


「……枠を決めて、その枠の中身が変化しないようにする…それが私の神権だ。」

「まあ出力が下がってると、変化しないようにする部分がかなり弱体化してな、ある程度の衝撃を食らうと怪我っぽい挙動になるんだ。」


――――

噛み付いていた魔神に剣が刺さり、爆ぜる。

――――


……つまり、貴女のその状態は…


「…溢れた魔力で魔術弾いたのは初めて見たが…この通り、大体の攻撃は無効化できる。それと、これは最大出力だからな。普段はここまで溢れないさ。」


――――

焦燥するエドガーとは裏腹に、渚の顔には笑みが浮かぶ。

――――


……ああ、届くのはきっと貴女なのでしょう。



















では、みっともなく足を引っ張らせて頂きます。

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