交響曲
◆◇
「今日も異変なし。…これで一週間か。」
「…スターゲイザーの改良、及びAS-01の改造、決戦状況用の配備、全て完了しました。」
「悟られてないよな?」
「…恐らくは。」
……エドガーは何を待っている?
◇◆
「同期完了しました。居心地はどうですか?」
――――
エドガーが円卓に話し掛ける。
――――
「悪くはなさそうですね。…そちらはどうですか?」
「かっぱらってきた魔神は行ける、円卓共はエラー吐いて無いか確認してる。」
……未だ渚さんに悟られて居ないのであれば、もう少し準備をしたい所ですが…
◆◇
おや…
――――
小さく白い鳥が、渚の肩に止まる。
――――
「……話は聞いた、…協力したるわ。」
「ありがとう、…天空。」
「天空やない、天や。」
「…これからよろしく。」
「…てか俺ん力借りる言うても、どうするつもりなん?天空の効果は俺ん神域の中やないと機能せえへんで。」
「やりようがあるからお前を頼るんだ。…変な気は無いよな?」
「無いわ!…ほんまは俺が仇取りたかったけども、取ってくれた事を知って敵対する気はないわ。」
…本心か。
「じゃ、ちょっと協力して貰おうか。」
――――
天と渚が、魔法陣の中心に立つ。
――――
「私の世界ではほぼ全員に魔力回路って言う第二の血管がある。これを介して魔力を扱うのが私の世界流だ。」
「…俺のとこも大体同じやな。法則のせいなんやろか?」
「収斂進化の可能性もありますが…どちらにせよ、魔力は基本法則に由来しますから、同じように変化するのは必然かもしれませんね。」
「大事なのは同じ様な機能を持つ器官がある事だ。行けそうか?」
「はい。…これより、同期を始めます。」
――――
魔法陣が淡い空色に光り始める。
――――
「…これは一方通行だ。君の魂にある神権の通り道に私がなる、ただそれだけだ。」
「あー……あー?」
「…やっぱ葉月が説明したほうが良かったんじゃないか?」
「開示によるバフは当人がやらないと意味がないかと。「自身の手の内を明かす」、というのがトリガーなので、相手が内容を理解していなくてもバフ自体は付くようですね。」
――――
魔法陣の光が収まる。
――――
「……見えるか?」
「……何を探して欲しいんか、教えてくれや。」
――――
人型に戻った天は、虚空を見つめている。
――――
「「不滅」「全能」「災害」「天空」、この四種以外の神権、または神域。」
「……葉月…やったか?座標の共有ってできるんかな。」
「……把握しました。渚様、」
――――
渚の思考に、その座標が写る。
――――
「葉月、後頼む。」
「……承知しました。…お気を付けて。」
「言われなくても。」
――――
渚が手を伸ばす。
――――
◇◆
視線……!
――――
振り返った瞬間、
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バキッ
――――
エドガーは顔を殴られ激しく吹っ飛ぶ。
――――
◆◇
何かされる前に速攻で潰す!
「天の川!!」
――――
無数の剣がエドガーに突き刺さる――
――――
「エドガー!」
――――
寸での所で、剣が全て逸れる。
――――
…もう一人か!
「Burst!」
――――
逸れた剣が爆ぜる。
――――
【夜刻】
!?
――――
エドガーともう一人が消える。
――――
……消えた…
渚様、
「どうした?」
…急ぎ地上へ。現在対処を進めていますが、大量の魔物と魔神が出現しました。
「分かった。」
――――
星が煌めいた。
――――
「状況は?」
突然「塔」が顕現し、そこを中心として大量の魔物が出現しました。
「対応は?」
一等星、二等星を除く人々は結界内に収容完了。
「他は?」
出撃させました。被害状況は数名が離脱したのみです。
「魔神は?」
海域の蒸気旗艦を除く『』、水塗、二面鏡は既に討伐されました。
「早いな。」
『』は此方で、水塗は唯様と楓様が倒しました。
――――
環を使って浮く渚の眼下には、濁流の様に群れを成して動く魔物の群れと、それに飛ぶ光線や、戦う人々の姿が映る。
――――
……ははっ。
「「星灯」、夜!」
――――
海上に浮かんでいた船が両断され、沈む。
――――
……さて、さっきは何をされたのやら。
――――
魔物の群れは依然として進行を続けているが、塔の周りが焦土になっていない。
――――
…あ、
――――
どこからか吹き飛ばされて来た南宮を渚が捕まえる。
――――
「おー渚さん!」
…対して怪我してないか。
「調子どうだ南宮?」
「いやー強いっすねえ、あれ。」
――――
南宮の指差す先には、炎を纏った魔神が浮かんでいる。
――――
「ちょっと投げてくれます?」
「はいよっ!」
――――
渚が南宮を放り投げる。
――――
「【勝利、栄光】」
「そりゃもうパクったぞォ!【アルジュナ】!!」
――――
爆発と爆発が相殺し合う。
――――
…それじゃ私は本丸に。
「夜」
――――
黒い斬撃が塔へと飛ぶが、
――――
「【000】」
――――
塔の前に出てきた人型の魔神が、それを弾く。
――――
弾かれた…あいつか。
――――
渚は即座に転移し、魔神に煤を突き立てるが、
――――
防いだ……もしかして同じ法則無視か?
「【第四世界】」
――――
渚と魔神の空間が遠ざかる。
――――
◆◇◆
――――
唯、楓、悠華の三人は、魔物の群れを掻き分けて走っていく。
――――
「【額縁】!」
「【魔弾】!」
――――
大量の魔物が消え去るが、次から次に湧き出す。
――――
うーんキリ無いなあ、私はいいけど悠華と楓君が持つかどうか……
「二人ともまだ行ける?」
「まだ行けます!」「…行けるよ!」
――――
唯が魔物を二人から反らし、再び楓が弾丸を放つ。
――――
……結界の辺りはあの砲台が何とかしてるし、炎の魔神も南宮君が何とかしてる。となると私達が塔を何とかするべき…なのかな?
プトレマイオスからも連絡無いし……こっちの動きに文句はないって解釈取ろうかな。
「…悠華、」
「まだ大丈夫。…本当に大丈夫。」
楓君は自分の魔力使わないんだっけ。でも、悠華は魔力使ってるし…
「大丈夫にしてもちょっと休んで、まだ温存してて欲しいな。」
「……わかった。」
――――
悠華が一歩下がる。
――――
「【魔弾】!」
――――
魔物が消え去る。
――――
◆
……全然進まない。
――――
魔物の量は増え続け、楓が魔術を発動しても進まなくなり始めた。
――――
「…唯さん。この量の魔物、どれだけ止められますか?」
「私だけなら…20秒、悠華が協力してくれるなら良くて30秒。悠華、行ける?」
「回復したから行けるよ!」
「じゃあ3分は行けるかな。やろうか?」
「お願いします。」
――――
一行が足を止める。
――――
「止めて!」
「【額縁】!」
――――
魔物の群れが一瞬止まる。
――――
◆◇◆
空間調律、
――――
一行を取り巻く様に空間が渦を巻き、都市部へ向かっていた魔物も含む全ての魔物が集まり始める。
――――
◆
「ふんっ!」
――――
唯が集まってきた魔物を空間ごと振り回す。
――――
「楓君ごめんもうあんま持たないかも!」
「…ちょっとだけ下がってください!」
――――
唯が一瞬魔物を止めた隙に、二人は楓の後ろに下がる。
――――
………
――――
楓の右手と足元に魔法陣が展開される。
――――
…………
――――
唯が振り回していた魔物が消え始める。
――――
………………!
――――
楓が指を構える。
――――
「――【魔弾】」
◆◇
……強いな、
――――
渚は別の空間で魔神と競り合っていた。
――――
煤が効かない、とはいえ煤を引っ込めるとこっちがやられるか。
おまけに格納庫も断絶されてるな。どうしたもんか……
……?…!
――――
渚が空を踏み上方向へと跳躍した直後、魔神ごと空間が削れる。
――――
…楓君の魔術か?好都合!
――――
割れた箇所から、元の世界へと転移した。
――――
……こりゃ凄い。
――――
超広範囲が削れ、大半の魔物が消え去ったが、塔は未だ姿を変えていない。
――――
塔の方は楓君対策してるのかな?
「夜!」
――――
塔へと斬撃が飛ぶが、突如出現したエドガーがそれを弾く。
――――
!
――――
それを見て転移した渚が殴り掛かるが、上に引かれる様にしてエドガーが消える。
――――
転移……だと思うけど、ちょっと変だな。
「【星海を越えて】」
――――
渚は塔へと手を伸ばすが、塔の内部へは転移出来なかった。
――――
…弾かれた……この手の結界張れるのか。
『渚さん。入るのであれば、どうぞ玄関からいらしてください。』
――――
塔に入口が生成される。
――――
「罠とかあるか?」
『御座いませんよ。』
何かしら企んではいそうだが……乗ってみるか。




