五線譜は紡がれる
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楓は唐突に目を覚ました。
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…あれ、隔離外されてる。
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端末が鳴る。
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「今すぐ出れますか?」
プトレマイオス……あー、起きろ起きろ。
「行けます。」
「承認されました、転送を開始します。」
…あー、今日学校か。
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部屋の隔離が解除される。
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「行ってきまーす。」
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外は季節が進み、心無しか涼しくなっている。
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◇◆
「はっ――はははっ!」
呆れた力だ!流石だ……だが、出し抜いたのは此方だ。
「…嬉しそうだな、エドガー。」
「そう言う貴方に取っても、これは喜ばしい事でしょう?」
「……そりゃあ、神域において絶対的な神域の主を出し抜いたんだ。嬉しいさ。」
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そうした会話を交わす二人が眺めている先には、数人が座れそうな円卓が置かれている。
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「…次の試験は明日行います。」
「何度もやったら感づかれないか?」
「構いません。どの道、私達が渚さんに見つかるのは時間の問題でしょうし。」
「さて、状況整理と行きましょう。」
◆◇
「…もう一度確認しろ、本当に異常は無いんだな?」
「……はい。スターゲイザーからも、「私」としても、何か異常を感知していません。」
…気のせい、と割り切るのは怖いが…とはいえ予感の域を出ないし…
「……警戒レベル引き上げ。スターゲイザーの改良も急いでくれ。」
「承知しました。」
…何かがあった筈だ、私が探知出来ないとなると外様…まあ、十中八九エドガーだろうが……
……能力が不明なのが割と痛いな。正直神権の名前だけじゃ、能力の詳細が全く分からん。
もう一人に関しては一切が不明だ…が、あの影みたいな魔物がヒントになるか?
楓君の魔術の無効化、自身の生成した空間への転移……
後者はともかく、前者は異例だ。魔物である以上、体を構成する物は全て魔力だ。魔力を巻き込む性質を持つ【魔弾】は、そうした魔物に対して特効がある……
…私のハリボテに対しての反応的に、ある程度は効いていた可能性が高いが…それでも即殺出来ない程度には軽減出来ていた。…私でも、食らったらそこそこの致命傷になるんだがなあ。
「あーー、ーー……」
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頭を激しく搔く。
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…不確定要素が多すぎる、推察どころか妄想の域を出ん。
「葉月~、何とかできないかー?」
「…無理です。今の私は神では無いので。」
「……ま、しょうがないか。」
「…後手にしか回れないのがもどかしくはあるが……まあ、カウンター一発で沈めればいいだけだ。」
そこまで把握されてたら…ちょっと不味いか。
◇◆
「ヘエを顕現させてからざっと3分だ。」
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プロジェクターが、スクリーンに映像を映し出す。
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「…この時点までは、まだ私達の方が優勢だったんですが。」
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映像では、巨大な塔と炎が文字通り舞う焦土、そして空を浮かぶ人影が映し出されている。
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「次に6分。」
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塔が切り裂かれ、舞っていた炎の悉くに剣が突き刺さり、人影が何かに両断された映像に切り替わった。
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「…無双ゲーって、こういうのを言うんだろうな。」
「出し抜けただけ上場でしょう。…やはり、対渚さん特化の駒が欲しいですね。」
「作れるのか?」
「ええ。出来るからやるのですよ。」
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空の円卓に6つの椅子が並べられた。
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……陽動として玩具箱の中身を全て放出して、それでも尚3分……
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玩具箱の中には、ブリキの船、怪獣のぬいぐるみ、閉じた鏡、青いクレヨン、そして様々な形のフィギュアが詰まっている。
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…次の進展次第ですが、これだけあれば……勝ちの目はあるかもしれません。




