第二幕
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ある晴れた日。
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「あ、先生。」
「やあ。あれから三日ぐらい?だけど、感覚は掴めた?」
「少しずつですが。銃の種類を元に、魔術の出力調整をやってみてます。」
「いいね。…そうだ、真司は元気にしてる?入院したって聞いたけど。」
「はい。…怪我した後すぐに回復魔術掛けて貰ったので、体力が回復した所ですぐ退院しました。」
「…まあ、今元気ならいいんだ。」
「葉月、天空の様子は?」
「現在も小鳥のままです。当分は意思疎通が不可能かと。」
「…まあ、無理も無いか。ケリオスの話的にも惑星が来た世界は基本木端微塵にされたらしいし。」
能力的に、外様共を探すのに結構役立ちそうだったんだが……
「どうしても後手に回らなきゃか……」
……気長に行こうか。
◇◆
「…行けますね。」
「な?」
「ええ、私と貴方の神権を使えば……」
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地下深く、裏世界に近いそこでは、二人に見つめられた何かが蠢いている。
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……少し、試してみましょうか。
◆
「…なんっで俺が三人の引率をしなきゃいけねえんだ。」
「前衛居ないんですよ僕達。」
「………気ぃ抜くなよ?これ一応、俺に回された仕事だから。」
「はーい!」
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四人は、三階建ての薄暗い校舎にやって来た。
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…学校?
「この手の学校には、相応の結界があると思うんですが。」
「ご明察。ここは"この手の学校"だった場所だ。所謂廃校だな。」
「…成程、学校が潰れて結界とかが外されたんですね。」
「話が早くて助かる。で、ここで魔物の反応が出たってんで、俺に回された仕事にどういう訳か先生がお前ら三人も同伴させろって言ってきたってのが事の顛末だ分かったか?」
「「迷惑掛けない様にします」…」
「頑張りまーす!」
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四人は校舎内に入った。
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「…暗いね。」
「明かりが軒並み消えてるのと、今日は一日中曇りだからな。」
「……炎系でよければ、ちょっとした明かりは出せます。」
「いやいい。この程度なら問題なく動ける。」
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悠華が指を構える。
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「【看破】…うーん、魔物っぽい痕跡無さそうだけど……」
「プトレマイオスが出たって言ってるんだし、居たのは確実だと思うよ。」
「そりゃそうなんだけどねー…」
……僕も僕なりに探すか。
「徐々に上行くぞ。」
◇◆
「…ほんとにあそこで良かったのか?」
「ええ。手の内は晒す事になりますが、それなりの収穫は見込めるでしょう。」
一応対策はしましたが……どこまで効果があるか。
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三人に悪寒が走る。
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◆
…皆が構えてる。何か来る?
「楓、お前が最初に撃て。」
「…はい。」
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四人の立っている廊下の突き当り、存在しない曲がり角から…
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「【魔弾】!」
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人影の頭を、弾丸が撃ち抜く。
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「まだ!【魔弾】!」
…出力下げすぎた!
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一発目は人影の頭を撃ち抜くのみだったが、二発目は校舎ごと破壊していった。
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「止めます、【額縁】!」
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悠華が構えた枠の中に入っていた塵や煙が静止する。
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「イグニス」
「『天殺星』」
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追撃が入る。
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…倒せた?
「「!」」
「え、ちょ――」
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源斗と悠華が楓を後ろへ突き飛ばす。
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「――――」
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楓以外の三人、それと構えていた銃が消え失せる。
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…倒せてない。魔物の類の筈なんだけど。
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黒い影が揺らめく。
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皆と…銃が消えた、効果範囲の問題かな。
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楓が銃を模した構えを取る。
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銃込みでの制御はさっき出来た。
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右手に魔法陣が展開される。
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…やる事は同じだし、多少のミスは許容できる。
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影が二本の黒い靄を、楓へ向けて伸ばす。
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「【魔弾】!」
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弾丸は伸びてきた靄を貫いたが、その威力は相殺に留まった。
そのまま楓はもう片方の靄に指を向けるが…
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…連射効かない!
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弾丸が飛ばず消せなかった靄を躱しつつ、教室へ飛び込む。
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「【魔弾】」
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弾丸は壁を貫き、影を掠める。
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…消えない。
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風穴の向こうでは、未だ影が揺らめいている。
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引くのは無い。一度魔物を逃せば……
…でも、僕だけでどうにか出来るかな。
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再び二本の靄が楓に向けて伸びる。
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「【魔弾】!」
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一つは相殺したが、
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!!!
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もう一つを躱し切れず、靄は右腕を掠めた。
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「…【魔弾】!」
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楓は左手で魔術を発動し、階下へ降りれる穴を開けた。
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痛くは無いけど……
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楓の右腕は、肘より先が無くなっていた。
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…靄に触った部分が消えて、そこから先は……
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目線の先には、楓の右手が落ちている。
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……まあ、血は出てないしまだマシか。
…靄と影の差が分からない。なんで靄には攻撃が効くのに、影には聞いてないんだろ。
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楓は廊下に出る。
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考える暇は無いか。
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廊下の先、階段等がある方向に、影が居る。
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「【魔弾】!」
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廊下を破壊ながら影を攻撃し、更に階下へ落ちる。
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……連射が利かないのは魔力を集めてるからだ。
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降りてきた影や靄に攻撃しつつ、校庭へ出る。
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なら、それを小出しにすれば……
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影が校庭に入ると同時に、楓に周囲の魔力が集まる。
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今溜めた魔力を弾倉の弾として……
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二本の靄が放たれる。
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「【魔弾】!」
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楓の意思に反し、弾丸は一発だけ放たれた。
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やっぱ土壇場の変更は無理か!
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靄は楓の脇腹を掠める。
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まだ動ける、
「【魔弾】」
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弾丸は影を貫きはしたが、揺らぐばかりで消せはしなかった。
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……多分、効いてない訳じゃない。多分、ある程度は魔力が薄くなってるんじゃないのかな。
今僕が出来る択は三つ。
1.食らった直後は魔力が薄くなってる読みで突撃する…チャンスはあるけど、僕の憶測だけで成り立ってる択だから危ない。最悪カウンター食らって終わる。
2.最大出力を出して一撃で決める……一番現実的だけど、前みたいに気絶したら終わりだし、二次被害を考慮すると……
3.倒せる人が来るまで粘る…無理。魔力が使える人だったら可能性はあるけど、僕じゃ無理。
――実質一つか。
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逡巡の間もなく、楓は影に向けて走り出す。
影が靄を出すと同時に、
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「【魔弾】」
まず一発、
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靄には構わず影を掻き消す。
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後を考えないなら抜けるぐらいは…!
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靄とすれ違い、更に走る。
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行ける行ける行ける!
影に触れても消えるか?消えないんだったらそこしかない!
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楓が影に足を突っ込む。
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消えない!
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それを確認するや否や、構えている左手を影に突っ込み飛び上がる。
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「【魔――」
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靄が止まり、影が激しく揺らめき始める。
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奪えるだけ奪ってから撃つ!
「――――」
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楓へ向かっていた靄が消え、影が更に激しく動く。
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「――弾】!!!」




