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未定  作者: 大倉
争奪の世、三千世界
73/76

百葉箱と無名

「ここだよね?」

「…プトレマイオスの指示ではここだな。」


――――

三人は街中の幼稚園の前に立っている。

――――


事前説明通りなら、ここで魔物が出たらしいんだけど……


「魔物っぽい気配ある?」

「ないね」「無いな」

「…なら、もう別の所に行ってるんじゃないかな。」

「まあ、あり得なくは無いが…」


「…せっかくだし試してみていい?」


――――

悠華が指を構え、

――――


「――【看破(Penetrate)】!」


――――

指で模られた長方形の枠越しに、世界を覗いた。

――――

無色の魔力ばっか……残り香もしないし、やっぱりもう……!


「すっごい薄いけど見つけた!…うん、続いてる。」

「追うぞ。」










「…そこで途切れてる。」


――――

僅かに残った魔力を追った先には、百葉箱があった。

――――


なんだこれ?


「百葉箱…?」

「本当にここで途切れてるのか?」

「うん、途切れてるのはほんと。」


……この中に何かあるのかな。


――――

楓が百葉箱の扉を開ける。

――――


◆◆

「待て楓――」


――――

扉を開けた瞬間、楓が姿を消した。

――――


「愛宕、今の…」

「私も見たよ。……扉開けたのがトリガーかな。」


……この百葉箱、もしかすると魔物の類か?


「…追うぞ。」


――――

二人も扉に手をかけ、開けた。

――――


……神社?


――――

開けた先には、木々に囲まれ、朽ち果てた神社があった。

――――


「楓くーん!いるー?」

「いまーす!」


――――

楓が(やしろ)の裏手から顔を出す。

――――


良かった、二人も来てくれたんだ。


「何か見つけたか?」

「特には無いかな。…この建物って何だろう。」

「神社だ。昔は良く建てられてたらしいが、今では殆ど現存してない。」

「詳しいねえ。」

「家柄な。」




「中に入ろうとはしてみたんだけど、この扉異様に硬くて。…魔術的な物じゃないかな。」

「破壊…は無いな、したら多分社自体が崩れる。」


――――

悠華が再び覗く。

――――


「…さっき見つけた魔力、ここに続いてる。」

「……何とかして開けるか。」


――――

悠華と源斗が身体強化を使いつつ、それがまだ甘い源斗のサポートに楓が回る。

――――


「せーの!」


――――

強引に社の扉を開けようとする…が、扉は一切動かない。

――――


「――これ以上は無理だ!」

「僕も限界…」

「だめそー!」


――――

手法を変え、悠華が取り出した小刀でこじ開ける事にした。

――――


「わっしょい!」


――――

が、やはり開かない。

――――


「単純な力不足…ってだけじゃなさそうだよね。」

「ここまでやってもダメなら、私たちだけじゃ無理そうだね。」

「一度連絡を……圏外だ。」


――――

それを聞いて、楓と悠華も端末を確認する。

――――


「…ほんとだ。」

「僕も圏外。」

「となると、ここは……」


――――

唐突に扉が開いた。

――――


「わ」


びっくりした……ホラー系の映画じゃ無いんだから…


「…とりあえず行ってみる?」

「行ってみるか。」


――――

三人は社の中に入った。

――――


人形(ひとがた)……?」


――――

薄暗い社の中には、小さな人形が安置されていた。

――――


「……御神体って奴だ、多分。」

「ねえ、魔術使うのってダメかな。」

「…傷つけなければいいんじゃないか?」

「それじゃ――」


――――

悠華が先程とは違う形で指を構えた。

――――


「【観察(Observer)】――あ、これ魔物だ。」


――――

看破されると同時に、暗闇の中から対の手が出てきた。


それを見るやいなや、三者三様に攻撃の構えを取る。

――――


「…敵対してると思う?」

「どうだろうね。」

「……入口に百葉箱があるのは確認した、逃げ場はある。」


――――

徐々に後退し、社の外に出る。

――――


「何もして来ない……?」

「…存在するだけの魔物なんだろ。」

「蚊柱とかと同じタイプって事?」

「多分な。」

「一回出ない?電波入らないの割と不味いし。」

「そうしよ。」


――――

三人が鳥居まで下がり、百葉箱に手を掛けたが、

――――


!?


――――

…扉を開ける寸前で、上から落ちてきた足に百葉箱が壊された。

――――


「…まずい」「まずくない?」

「イグニス」


――――

源斗が社に向けて火球を放ったが、口の様な物に飲み込まれた。

――――


魔物相手なら……


「下がって、【魔弾(フレイキューゲル)】」


――――

銃口から発射された弾丸は口を貫通したが、何かに弾かれた。

――――


弾かれた…


「魔力じゃない何かがある!」

「【型抜(Frame)】!」


――――

二度の攻撃によって発生した土煙に、四角い枠が浮かび上がる。

――――


「ごめーん焼石!」

「全員構えろ。3、2、1、」


「エレシト」「【魔弾(フレイキューゲル)】」「【型抜(Frame)】」


――――

三種の攻撃が飛ぶ。

――――


……通らない。


「ちっ……」

「一応さ、私達に攻撃はしてきてないよね…?」

「…まあそうだけど、百葉箱(逃げ道)を壊されたのは確かだよ。」


「……愛宕さん、周りの森って入れそう?」


――――

悠華が枠を通して辺りを見渡す。

――――


「…魔力は外に向かって流れてるね。結界とかは無いと思う。」


百葉箱を介してここに来たのが不安要素だけど……


「二人とも、一回逃げない?…ここがどこか分かんないけど。」

「…了解。目くらましだけするぞ。」


「3、2、1…イグニス!」


――――

火球の爆発によって発生した土煙に乗じて、三人は森へ逃れた。

――――

プトレマイオス:星図に登録されている者の端末に追加される支援機能 ネットが繋がっている限りどこでもサポート可能

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