ターニングポイントは唐突に
「昨日もまた警報鳴ってたね。」
「…何が起こってるんだろう。」
「他の奴が話してたが、FUのパイロットが全員出撃したらしい。」
「FUか……」
となると、そこそこ機動力が要る相手だったのかな。
「…そうだ。二人とも、最近の戦績はどう?」
「「………」」
…うわあ。
「…現状全戦全敗だ。」
「奏楽さん凄い強いよ。もう、凄い、強い。」
……うわあ。
「……二人とも大変そうだね。」
「楓も大変だろ。」
「いやいや。ずっと星野さんに付いて回ってるだけだよ。」
「星野さん凄いんだよ。魔術系は使えないらしいけど、なんか……空間を斬れる?らしいんだよね。」
「…それって魔術の域じゃないのか?」
「僕もそう思ったんだけど、別にそういう訳じゃないらしいよ。」
…でも詠唱してたんだよな。
「うーん、私のお母さんも魔術とはちょっと違う事やってるらしいし、そういう能力もあるんじゃない?」
「……話を聞くたびに、愛宕さんのお母さんがどんな人なのかよく分からなくなるよ。」
――――
そして午前が終わり、午後の授業が始まった。
――――
…あれ、珍しく柄海先生が居る。
「久しぶりー。皆元気にやってた?」
「元気です!」
「まあ。」
「何とか…」
「…ま、元気そうで何より!」
「あ、今日は顔見に来ただけだから。それじゃ、皆頑張ってね~。」
何しに来たんだろう。
「それじゃ、僕はもう行くね。」
「気を付けてねー!」
「…今日もよろしくお願いします。」
「よろしく!そんじゃ、今日は……」
◆◇
「……そろそろ、私の手に負えなくなってきたな。」
…真面目に一等星の皆に協力申し立てようか。
いやでも、人の手に負えない事を私が引き受けるって契約したしな……
「渚様、神権の反応が。」
「今行く。」
来たか。
◆
……?
「星野さん、」
「分かってる。」
――――
二人が臨戦態勢に入る。
――――
「――お初にお目に掛かります。」
!?
――――
二人の背後に、少年が立っている。
――――
「……あんた、何者だ。」
「一応名はありますが…貴方達には「神」の一言で伝わるでしょう。」
神…?
「……悪いが、俺らはあんたと釣り合う程上玉じゃないんでね。あんたにとっちゃ役不足じゃあないか?」
「…いえいえ。お二方とも、私に届き得る物を持っているご様子。」
「……楓、動けるか?」
「………何とか。」
「あいつはやばい、次に動きを見せたら「神域侵食・夢想」
――――
少年の足元を中心に、街が異様な形へと変化していく。
――――
「『天殺星』!」
――――
直後真司が攻撃を仕掛ける。…が、少年には片腕で防がれた。
――――
「……やはり、いい物をお持ちだ。どうです?私に従うというのは。」
「お断りだ!」
「【魔弾】!」
――――
真司が引いた直後、楓が銃を介して魔術を発動する。
――――
「行くぞ!」
「…どうやら私の審美眼も、まだまだ磨く余地がありそうですね。」
「……どうなってるんですか、これ。」
――――
無数の建物が無数の道で繋がり、途切れ、また繋がり続けている。
――――
「…ヤマ感で悪いが、多分こういう風になってる範囲には限界がある。」
「ここを抜ければ…って事ですね。」
「そういうこった。」
「プトレマイオス」
――――
真司が端末に話しかけるが、返答がない。
――――
「……繋がらん。空間が変わってネットが飛んだか?」
「…追ってきてますね。」
「……そう簡単に逃がしちゃくれないか。このまま外を目指すぞ。」
◇
…何か来る。
「神域侵食・災害」
――――
空と街が赤黒く変化していく。
――――
「……何者ですか?」
――――
奏楽は目の前の男?に話しかけた。
――――
「ここは良い所だ。」
話は通じないか。
「クイスト!」
――――
肉眼で見える程強力な、風の斬撃が飛んでいく。
――――
「平和で、暖かくて、命がある。」
――――
直撃こそしたが、男?は何の反応も示さない。
――――
「…総員に通達、生徒を連れて逃げて。」
万が一にも生徒が来ないように、隠蔽結界だけ張っといて……
――――
男?が立ち止まっている間に、校舎からは人が消え…残っているのは、奏楽だけとなった。
――――
「……勇敢なる者よ。貴様に敬意を払い、無駄な犠牲を払わんと約束しよう。」
「そりゃどうも。…貴方と私じゃ釣り合わないと思うけど?」
「…だとしても、貴様は俺が敬意を払うべき者だ。」
…ここが死に場所かな。
「行くぞ。」
……まあ、もしかしたらもあるし、
「アセスト」
――――
奏楽が風を纏い、駆け出す。
――――
粘れるだけは、粘ってみますか。
◆◇
一つは魔術専門学校。一つは東部の郊外。一つは……
「少し待ってやる。その間に引くか、消えるか、私に従うか。どれかを選ぶといい。」
「そうですか。」
――――
渚が無数の剣を突き立て、中心の女?へ話し掛けた。
――――
「時間が無いんでね、さっさと決めて欲しいんだが。」
「従う。」
「…そりゃありがたい。」
――――
渚が女?に近寄り、チョーカーを差し出す。
――――
「それじゃ、これ付けといてくれ。」
「分からない。」
「あそう。…じゃあ付けてやるから、動くなよ。」
――――
渚が女の首にチョーカーを付けようとした瞬間、渚の胸が貫かれた。
――――
…まあ予想はしてたよ。
「あはは。」
――――
直後、頭も貫かれる。
――――
やば――
「神域侵食・狂乱」
――――
渚の意識が一瞬途切れた瞬間、都市が極彩色に変化する。
――――
……やられた。
「【天の川】」
――――
剣が女に飛んでいくが、その全てが叩き落された。
――――
これは骨が折れる。いや、もう折れたか?……軽口叩いてる場合じゃないっての、
「改めて聞こう。引くか、死ぬか、従うか。」
「いや。」
「…あーそう。「星灯」!」
――――
渚が黒い装束を展開する。
――――




