似て非なる
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四人は校庭に出た。既に幾つかの組も同じように外に出ている。
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「どういう感じで来るかは任せるよ。」
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蒼が耳を塞いだ。
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…こっちの話し合いは聞かないよ、って事かな。
「二人の魔術はどういう能力だ?」
「私は――」
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悠華が指で枠を作る。
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「…こうすると、この枠が望遠鏡になる。それだけ。」
「……まあ、近接戦は出来るから。」
となると、僕と愛宕さんが前に出るのは確定かな?
「僕のは制御がし辛いから……使えないと思って欲しいかな。」
「……何だか自分の悩みが申し訳無くなってくるが…俺は、基礎魔術五種が使える。」
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各々の力の共有が終わり、前衛に悠華、楓。後衛に源斗という編成になった。
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「…決まったかな?」
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蒼が耳を塞いでいた両手を離す。
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「…じゃ、私の獲物はこれだけで。」
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そう言って、掌から両手剣を生成した。
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早い…光系統の人だったんだ。……でも、
「…舐めてます?私達の事。」
「うん。実戦経験も薄い、何なら無いような人を初狩りする趣味は、私には無いよ。」
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この時三人が、同様の気持ちを抱いた。
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(((絶対に一発は当てる…!)))
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前衛二人が走り出す。
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…愛宕さん速いな。強化術とか使ってるのかな?
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楓君速いなー。魔力使ってる感じしないのにここまで動けるんだ。
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二人が蒼に迫る最中、悠華が二本の小刀を取り出し、蒼に鍔迫り合いを仕掛ける。
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先生の獲物は大きい、懐に入れば……
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悠華が蒼の剣を受けている間に楓が懐に入り、蒼に拳を突き立て……
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硬い…結界?
「残念。」
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蒼の周囲に、殆ど透明かつとても小さな結界が張られている。
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この小ささでこの強度、どういう精度なん「あ、触ったら爆発するからね。」
「クイスト!」
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源斗が風を放った隙に、楓と悠華が後ろへ飛びずさる。直後蒼の周囲が爆ぜ、土煙が舞う。
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「…自爆してないかな。」
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悠華の願いとは異なり、蒼は無傷でそこに立っていた。
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「…その剣しか使わないんじゃ無かったんですか?」
「私の獲物はこれだけ、だからね。ま、もう使わないであげるよ。」
……言葉を信じるなら、次は通る。一度は行けたんだ、二回目だって――
「じゃ、次は私から。」
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蒼が後衛の源斗に迫る。
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◆◆
俺かよ!
「エレシト!」
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源斗は後ろへ引きつつ、それを追う蒼の進路を電気の球が妨害する。
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「…成程基礎魔術だけか。今の所は二属性だけど、君の血筋的にもう何個かは使えるでしょ?」
看破するの早すぎだろ!
「……アイネス!」
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氷柱が蒼へと飛ぶが、難なく剣に切り裂かれた。
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◇◇
三つ目。…全属性じゃ無いにしても、後二三属性ぐらいは使えるんじゃないかな?
「…アセスト」
使いまわしか。…手の内を隠しつつ、一回私と距離を取りたいのかな。じゃあ、
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蒼が剣を支柱に反転し、後ろから追って来ていた悠華を蹴り飛ばす。
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…お、ちゃんと防御してるね。
「筋良いね!魔術を使わないのは君の課題かな?」
「…そうです!」
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横から楓が割り込んで攻撃を仕掛けるが、前面に戻った蒼の剣で受けられる。
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速っ…
「ちゃんと受けてね。【Burst】!」
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次の瞬間剣が光り始め、直後剣を起点とした爆発が発生した。
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「ぐっ…」
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直撃を受け倒れこんだ楓に蒼が追撃を仕掛ようとするが、悠華が援護に入った。
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◇
…ちょっと剣が薄くなってる、剣の魔力を爆ぜさせたのかな。
「クイスト!」
◆◆
くそ、間に合わなかったか。
「…源斗君は判断と魔術行使が遅いね。まあ経験不足から来るものかな。」
「イグニス!」
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火球が蒼へと飛ぶ。
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「判断も鈍いね。」
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火球と蒼の間に、悠華を振り回して配置する。
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しまっ……
「【Burst】!」
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辛うじて火球は悠華から逸れたが、蒼の攻撃は悠華を直撃した。
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◇◇
四つ目。風、雷、氷、炎…応用しないで基礎しか使わない辺り、まだまだ粗削り以前の段階かな。
「――ふんっ」
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蒼が少し小さくなった剣を源斗へ投げた。
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◆◆
「!?…ハイネス!」
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水の球で剣の速度を殺しつつ軌道を逸らし、何とか逃れた。
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「…あれ、光系統の常識知らない?」
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剣が向きを変え、源斗へ再度向かう。
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「…知ってますよ。使用者の手から離れても、ある程度の操作が出来る事は常識です。…遠隔での起爆も出来るんじゃないですか?」
想定はしてる、避けるぐらいは……
「やっぱり経験不足だね。【Burst】」
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剣が俄かに光ると同時に、蒼が源斗に迫る。
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下がるぐらいなら前に…
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蒼を蹴り上げようとしたが手で押さえられ、代わりに殴ろうとするが、残る手で弾かれる。
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くそっ、素の身体能力が違いすぎるか!
「強化術使えるにしても、最低限体は鍛えとくべきだよ。奏楽も華奢だけど、君よりは力あるし。」
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源斗が後ろに下がる…が、背中に何かが当たる。
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剣!?まだ爆ぜて……
「詠唱だけして発動を遅らせる。対人戦なら、する人多いでしょ?」
「…そうですね。」
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剣が爆ぜる。
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◇◇
……あ、気絶までさせちゃ駄目か。
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蒼がどこからか取り出した手袋を嵌める。
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「【回復の祈祷】」




