休暇:四日目
「…本当に僕でいいの?」
「次それ言ったら強制連行ね。」
――――
悠華が指で枠組みを作る。
――――
「…大人しくしてます。」
「よし、それじゃ行こうか!」
――――
そんな話をしながら、二人は駅へと向かった。
――――
「1…2…3番線の…」
「2分後…だよね?」
「そうそう。…もう来そうだね。」
――――
そうしている間に、二人が乗る列車が到着した。
――――
「じゃ行こっか!」
――――
楓は悠華に手を引かれて列車に乗り込み、向き合うように座る。
――――
……気張らないで列車乗るの久しぶりだな。
「落ち着いて列車乗るの久しぶりなんじゃない?」
「…まあそうだね。聖戦の後はずっと列車乗ってたし。」
「……ちゃんと休んでた?」
「休んでたよ。悠華さん達みたいに、そこまで無茶が効く体でも無いし。」
「回復弾。お酒。あとタバコ。」
「……極力控えるようにします。」
――――
車窓の外では、様々な建物が後ろへと流れていく。
――――
「…さすがに復興早いね。」
「この辺だけだよ。121区とか41区とかはまだまだ跡地って感じだし。」
「人はともかく、土地まで守り切るのは無理だったからね。力不足で情けな……」
べしっ
――――
悠華が優しく頭を叩く。
――――
「楓君はめちゃくちゃ頑張ってたし…仮にもっと頑張ってたとしても、あの戦況だと特に変わってないと思う。」
「…まあそうなんだろうけど……」
ぺちぺち
――――
頬を緩く叩かれる。
――――
「しょい込みすぎ。ずっとそんなだと疲れるだけだよ。」
「……ごめん。」
◇
…予想はしてたけど、ここまで重症だったか……
ここまで来てると、お酒とかに逃げたくもなるのかな…
「……まあ、本当に無理はしないでよ。私以外にも、楓君の事心配してる人はいるからさ。」
「…気を付けます。」
――――
景色は徐々に都市から田園へと変わっていく。
しばらくの間、二人の間には沈黙が流れていた。
――――
◆
……あー…もう、……困らせるつもりは無かったんだけど…
自制出来ないのも、割り切れてないのも、僕のせいなのに……
◇
…連れてきたの良くなかったかな……だいぶ無理やり連れてきちゃったし…
……私がどうこう言える事じゃなかったかな…
「へいへいお二人さん。」
「お母さん!?」「唯さん?」
――――
二人の沈黙に、唯が割り込んだ。
――――
「もっとちゃんと話しな?黙って悶々としてるだけじゃ進展しないよ?お互いの事嫌いな訳じゃないでしょ?」
「……」
まあそうだけど…
「…じゃ、後は二人で頑張りな。」
――――
そうして、唯はどこかへ消えた。
――――
「……唯さんって、いつもどこから出てきてるんだろう。」
「転移とは違うらしいけど……詳しくは知らないかな。」
……ちょっと無神経過ぎたな。
◆
…これ以上、心配掛けさせる方がよくないか。
「……ごめん悠華さん。」「ごめん楓君。」
「…僕から話そうか。」
「いや、私から話すよ。」
「ごめん楓君、さっきは不躾すぎた。…考えた上で折り合いつけてるんだもんね、私がとやかく言える事じゃなかった。」
「いや…悠華さんの言ってる事は正しいし、ちゃんと向き合わなきゃいけない事ではあったから……」
「僕の方も……心配させないように、頑張ってみるよ。」
『次はー、19区ー、19区ー。』
――――
列車は小さな駅に停車した。
――――
「…田舎だね。」
「楓君にとっては見慣れてるかな?」
「いや、僕の乗ってる列車は都市部中心に回ってるし、こういう所では下車しなかったから…結構新鮮だね。」
「それじゃ、気を取り直して…」
「レッツごー!」「ごー…」
――――
そうして、二人は小さな駅を出た。
――――




