休暇:二日目
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日の光に瞼を叩かれ、楓は目を覚ます。
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…あー、頭痛が痛い……
回復弾使おうかな…あーでも、こんなんで使える程余裕ないか…また作んないと……
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部屋の主が居ないからか、部屋の中では微かな衣擦れの音のみが響いている。
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……静かだと思ったらもう昼か…よし、弾の補充しに行くか。
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静かな部屋を出た楓は都市の中央にある巨大なビルへ入り、研究室へと転移した。
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「すいませーん、楓でーす。弾の補充しに来ましたー。」
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白衣を着た少年が出迎える。
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「灯里さんですね。魔力は貯めてありますので、どーぞ。」
随分若いのに…いや長命種か?
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楓は白く広い部屋に案内された。
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『回復系の魔力流しまーす。』
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部屋に魔力が流し込まれるが、それは部屋に充満する事なく楓の掌に集まっていく。
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「――【魔弾の弾倉】」
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集まった魔力は弾丸として放たれる事無く、掌の中で数個の弾丸になった。
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『次行きまーす。』
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そうして、数分の内に100余りの弾丸が生成された。
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…こんなもんでいいかな。
『在庫切れましたんで、ここで終わりでーす。』
「了解です。」
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手袋を介して開いた格納庫に、新たに生成した弾丸をしまった。
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「その弾丸ってどういう仕組みなんですか?」
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楓が研究室を出ようとした時、楓を出迎えた少年が話しかけて来た。
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「…俺の魔術は、周囲の魔力を巻き込んで、それを放つって魔術だ。この弾丸はそれの応用で、集めた魔力を撃たないで留めてる。」
「それを、後追いで起動出来ると…」
「まあ、大体そんな感じだな。一応言うが、俺以外が撃っても起動できないからな?」
「…話では、貴方は魔力操作が出来ないそうですが?」
「この手袋が特別製なのと、練習の賜物だ。」
「成程……ちょっと疑問に思っただけなので、どうぞお構いなく。」
それを言うなら…もっと早い段階で言うべきだったんじゃないか?
「もう少し話を聞いても?」
「……まあいいよ。何が聞きたい?」
「聖戦の際従軍していたそうなので、どういう戦況だったのかと。あ、デリケートな話題でしたね。」
「…お前は経験してないのか?」
「はい。僕がアルケミストに来たのは割と最近なのと、影族の血が混じってるので。」
「影族……あー、吸血族の亜種だったか?なんか面倒な因習が多いってのは知ってるが…」
「厳密にはハーフなんですけどね。なんで、まだ固有魔術発現してないんですよ。」
魔術の発現時期って種族と関係あるんだ。
「…ご存じの通り、因習である程度年取るまで集落出れないんですよ。」
「……なら、聖戦の事もよく知らないか。」
「話したくないですか?それならそれで良いんですけど。」
「…いや、知らん奴に何があったか話すのも大事だし、話してやるよ。何から聞きたい?」
「まずは発端からお願いします。」
「…始まりは八年前の「統合」を切っ掛けとする、神と神の正面衝突。」
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それまでは絶対に発生しなかった(らしい)、超巨大な神域と神域の正面衝突。
それがあちこちで起こった結果、血の気の多い神共が戦い始めた。
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「……つまり、一部の好戦的な世界と神が発端なんですね。」
「まあそうだな。…六区は結構平和な方だったんだが……大体七年前、世界同士の戦争が「聖戦」って呼ばれ始めた頃、ここにも火の粉が飛んできた。」
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統合から約一年、今から大体七年前。戦火がほぼ最大規模になると同時に、六区は戦争に巻き込まれた。
……そりゃまあ、抵抗したさ。何なら押し返したし。
神はまさしく天災だ。殆どの人は歯が立たない…が、別に戦えない訳じゃない。俺とかその筆頭だし。
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「さっきも説明したが、俺の魔術は周囲の魔力を巻き込む魔術だ。…この魔力ってのは、他者が保有してる魔力も含まれる。」
「…あー、成程。神の魔力も巻き込めるんですね。」
「そういう事だ。」
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状況は地獄の一言に尽きる。
好き勝手に攻め込んでくる神が盤面を荒らしまわり、それに付き従うか便乗してきた世界が跡地を占領する……大体の戦場で、これが繰り返された。
俺等にはそういう天災は居なかったが、それを真っ向から叩けるぐらいの力はあった。
そうして俺らは、最終的に3体の神と10の世界を捻り潰した。
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「……英雄って呼ばれそうな人居そうですね。貴方とか特に。」
「戦争に英雄は居ないよ。」
居るとするなら……
「……で、満足したか?」
「本を読むよりは鮮明でした。態々、ありがとうございました。」
「……それじゃ、俺行くわ。また会うかは知らんが…まあ元気で。」
「またここのアルケミストに来たら会うでしょうし、名前言っときます。天道 景文って言います。今12です。」
「…灯里 楓だ。…知ってるだろうけど。」
…てかやっぱり若いな。長命種だからってのもあるだろうけど。
次は……車掌さんとの再契約しに行くか。
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そうして楓はビルを出て、車庫へと向かう。
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「車掌さん、次の目的地と発車っていつですか?」
「(*゜▽゜*) (次は175区!二週間後に出る予定です。)」
175区…ここからだとほぼ反対側か……ってか、
「二週間後ですか?」
「ᕦ(ò_óˇ)ᕤ“(珍しくお客さんが皆降りたからね、列車のメンテと掃除するんだ!)」
「(❁´ω`❁) (六区は楓さんの故郷だし、ゆっくり休んでらっしゃいな。)」
「……わかりました。じゃあ、二週間後からまたよろしくお願いします。」
「(^0^)/」
「じゃあ、二週間ぐらいは休みなんだ。」
「うん。…まあ、特にやる事無いんだけど……」
「…じゃあさ、ちょっと私に付き合ってよ。」
「いいけど……忙しいんじゃないの?」
「へいへい、私を誰だと思ってるんですか?」
「…六区代表の一人にして、3年でここまで世界を復興した立役者の一人です。」
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悠華が楓に笑顔を向ける。
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「…あー……」
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静かに笑顔を向け続ける。
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「……僕以外と行った方が楽しいと思うよ。唯さんとかさ。」
「話を逸らさない。」
「はい。……僕の相方です。」
「…まあいいでしょう。明日は色々片付けなきゃだけど、明後日からは動けるから。じゃ、そういう事で。おやすみ!」
三日目は列車に戻るつもりだったんだけど……適当にぶらついてみようかな。
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まだまだ捻くれてるなあ。…分かってるのか分かってないのか、なんとも微妙なとこだけど。
…昔よりマシになっただけいいか。シンプル拒絶された時はキツかったなー……察されちゃって、それからはあんま拒絶しなくなったけど。
さてさて、明日は忙しいしさっさと寝ないと!




