エメラルドのささやきと樹皮の抱擁
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リチャードの手袋をはめた手が、今にも襲いかからんとする蛇のように剣の柄頭に置かれている光景が、まぶたの裏にまだ踊っていた。天候とは無関係な寒気が骨の髄まで染みついている。無力さ。その言葉がハンマーの一撃のように頭蓋骨に響く。あの緻密な殺意の前では、商人の小技や布のインベントリなど、鋼の嵐に向かってふきんを掲げるようなものだった。カラナの揺るぎない存在だけが、恐怖で膝ががくがくするのを防いでくれた。
「おい、カラナ…ありがとな」声は思ったよりかすれていたが、その後、緊張からかすかに笑ってしまった。滑稽だった。ゴーレムや古代の罠、あの毒舌貴族の視線をくぐり抜けてきたのに、一人の執事に震え上がるなんて。
扇の女――レディ・ファンは、私たちを彼女の世界から消し去ったかのようだった。真珠層とフェニックスの羽で飾られた扇の縁から覗く、冬の湖のような冷たい瞳は、ハートフォレストがそびえる地平線を捉え、計算ずくの強度で見据えていた。それはあからさまな脅威よりも血を凍らせた。彼女の横顔がついに視界から消えた時の安堵は、強烈だったが儚いものだった。
外の景色が突然暗くなった。夜の訪れでも、洞窟でもない。それは生きる巨躯だった。我々はハートフォレストの境界を越えたのだ。百メートルを超す、真の生きる巨塔のような巨木が、緑の天を支える柱のようにそびえ立っていた。その樹冠は太陽の光をかろうじて濾すほど密に絡み合い、柔らかな緑と金色の光を放つ葉の丸天井を形成していた――まるで昼光の本質をそのまま閉じ込めたかのように。発光キノコが幹に星座のように散らばり、星花は薄暗がりでかすかに見え、小さな花弁を開き始め、捕らわれた星のように脈動する小さな核を露わにしていた。
「見て、見て!」イレーネが座席で跳び上がった。銀色の髪がかすかな光で磨かれた金属のように輝いている。純粋な興奮で指をさす。馬車の上を、不可能なほどの優雅さで飛び回るピクシーとフェアリーの群れが通り過ぎた。背丈は十五センチにも満たず、童話から飛び出したような完璧な姿だが、生命の息吹に満ちている。虹色の膜や光の羽根の翼が、儚い航跡を残した。笑い声は、水晶の鈴と風のささやきが混ざったような、無邪気で陽気な音だった。一匹がまっすぐイレーネを見た。そして、イレーネの肩に静かに佇むアルテミサを見た。小さな首をかしげ、困惑した。ぬいぐるみの騎士が自分より大きく、翼もなく動くという概念が、妖精の論理に反しているかのように。
旅の終わりだった。馬車が、他の豪華でない乗り物が荷物を下ろし、粗野な風貌の冒険者たちが行き交う空き地で止まるやいなや、私はイレーネとカラナの手を掴んだ。「あの女も降りる前に、早く!」背中が不気味に軋むのを感じながら立ち上がりながら、囁いた。アルテミサはイレーネの肩にしっかりとしがみつき、頭を回して新しい環境をスキャンしている。胸の青い光はほぼ警戒したように一定のリズムで鼓動していた。
カラナは、鍛冶屋のブーツが柔らかく輝く苔に触れるや否や、しゃがみ込んだ。プロの様子で土の一握りを取り、信じられないほど柔らかい指(その力との対比がなんてことだ!)の間で擦り、匂いを嗅ぎ、そして味すら見た。深い嫌悪の表情を浮かべた。
「チッ。この長耳族ども、祝福された大地を無駄にしてやがる。豊かな鉱脈を感じる…良質の鉄、純度の高い銅…そして下にはドラゴンアイの鼓動まであるわ」彼女の声は石と石が擦れるように荒々しく、エルフの静寂の中に響き渡り、頭上から冷たい視線を引き寄せた。
「ドラゴンアイ!?」私は太古の巨獣の骨が埋まっているのか、伝説の戦いの遺物かと想像した。
カラナは拳を作った。小さな手だが、岩を砕くことができる。「魔法石よ、バカ。これくらいの大きさ。地の底の炎のようにオレンジと赤」その小さな拳を真剣な面持ちで見せられて、笑いを噛み殺さねばならなかった。神々よ、可愛すぎて凶器には見えない!
しかしイレーネは別世界にいた。紫と白の瞳は小さな翼ある生き物たちを追い、感嘆していた。カラナは聖女のようなドワーフの忍耐で片手をしっかり握り、私はもう片方の手を握った。人間、ドワーフ、魔法の少女の鎖――即席の家族が、森の詮索する視線の下にいた。頭上、樹冠に絡み合うプラットフォームから、エメラルドグリーンや冷たい琥珀色の視線を感じた。人間とドワーフに対する遠く冷ややかな、ほとんど軽蔑に近い好奇心だった。イレーネの銀色の輝きには、ほんの少しの愛おしさを引き起こすかもしれない。アルテミサは…アルテミサは疑念の磁石だった。
「空気の匂いが…清潔だ。清潔すぎる」深く息を吸い込みながら呟いた。複雑な香りが混ざり合っていた。甘い花粉、湿った土、夜の花のほのかな香り。陶酔的だったが、奇妙に人工的で、野生の匂いを忘れた完璧な庭のようだった。「で、今欲しいのは、暗殺者みたいな馬車の座席じゃないベッドだ。俺の尻は復讐を叫び、背骨は反乱を企ててる」
歩きながら、この王国のありえない構造を感嘆した。道はなく、絡み合った根と柔らかな苔が巨木の間を導く小道だけだった。家屋は見えない。木々そのものが住処を提供し、生きた樹皮に彫られた窓や扉、太い枝が形作るバルコニーがあった。見えない法廷から監視され、裁かれている感覚が絶えなかった。ホテル?宿屋?見えるのは魔法の精度で手入れされた自然だけだった。地面に倒れ込み、インベントリから寝袋を取り出したい絶望が秒ごとに高まった。
その時、彼女が現れた。
「ねえ。ちょっと。ねぇ…ここだよ」
木の葉が擦れるような柔らかな囁きに、三人で飛び上がった。誰もいない…ようだったが、近くの木の滑らかな樹皮から、ゆっくりと女性の顔が浮かび上がった。それは中性的で野性的な美しさだった。緑がかった肌、若木の樹液のような色の大きな瞳、細い小枝や乾いた葉でできているかのような栗色の髪が、かすかな固有の光を放っている。いたずらっぽい笑みが唇を歪めた。
「はは、面白い! 新顔だね?人間がドワーフとこんなに…親密なんて珍しいよ。その小さな子、君たちの娘?」好奇心と輝きに満ちた瞳が、イレーネからカラナ、そして私へと移った。「彼は消えかけた火の粉みたいな髪で、彼女は月の紡ぎ糸みたいだけど…予期せぬ場所に育つ愛って、なんて美しいんだろう~」
早口で小粋な言葉の洪水に、私は息を詰まらせた。横のカラナは肩に力を込めた。鋼を貫通しそうな視線が首筋に突き刺さるのを感じた。カラナ、頼む、ハーレムなんて作る気ない!まだ!(その思考は即座に、パニックに満ちていた)
「君…何者だ?」「愛」についての危険なコメントから注意をそらそうと、なんとか絞り出した。
「あら?なんて奇妙な生き物なんだ」彼女の笑みが広がり、小さく完璧な歯を見せた。「木から出てくる私を見て怖がらないの?私はアレティシア。ドライアドよ」手を差し出した。触れた肌は驚くほど柔らかく、湿ったベルベットのようだったが、その下には若い樹皮のような弾力のある強さがあった。彼女の姿はほっそりとしており、苔や地衣類でできた生きている布のようなものを纏い、調和のとれた慎ましい曲線を描いていた。カラナの力強い体形とは対照的だった。背後の危険感が高まった。
「俺はエステル。…冒険者、かな?彼女はカラナ・アイアンシャード、俺の…なくてはならない旅仲間だ。そしてこの小さな光の矢、俺の人生の光、イレーネ。そして彼女の守護者、アルテミサ」早口で紹介し、地面に飲み込まれたいと思った。黙ってろ、エステル。黙ってれば生き延びられる
「初めまして、アレティシア!私はカラナ・アイアンシャード」彼女の声は毒を盛られた蜂蜜のように甘ったるく響いた。前進し、鍛冶屋の握りでドライアドの手を掴んだ。明らかに縄張りを示す動作だ。「エステルの将来の妻よ」強調は金床の上のハンマーほど微妙だった。驚いたことに、アレティシアはほとんど瞬きもしなかった。カラナの力は、ドライアドの弾力的で生命力あふれる抵抗の中に消えていった。まるで水を握ろうとするかのように。
「よろしく!」イレーネはいつも簡潔で、恥ずかしそうな笑顔で挨拶し、アルテミサを強く抱きしめた。人形の騎士は動じず、周囲をスキャンし続け、青い光は一定のままだ。
「へへ~なんて魅力的な仲間たちなんだ、エステル!」アレティシアは笑った。水が滑らかな石の上を流れるような音だった。彼女の瞳は、このやり取りに純粋な面白さを感じて輝いていた。長い間私たちを見つめ、小鳥のように首をかしげた。「野宿するつもり?隅っこを探すの?それとも…私の中で眠りたい?」
その後の沈黙は樹皮のように厚かった。耳がおかしくなったに違いない。カラナを見た。彼女は大きく、輝くような笑顔を返してきた…しかし琥珀色の瞳は笑っていなかった。誤ったことを言えば、ゆっくりと痛みを伴う鍛造が待っているという約束で輝いていた。
「お前の提供する休息場所を受け入れる」カラナは宣言した。声は固く、議論の余地を断ち切った。まあ、覚悟を決め、唾を飲み込みながら思った。黙ってればうまくいく。ずっと上手くいく
状況を処理しようとしている間、最後の疑問が私を襲った。「ここらへんに…冒険者ギルドとか市場とかないか?うるさい場所で、人が集まるところ」
アレティシアは眉をひそめ、考え込んだ。「ギルド…市場…ああ、そうだ!あの騒がしい肌荒れたちが苦い液体を飲んで、プラットフォームに登ろうとして転ぶ場所だ!すごく面白いの!」彼女の笑い声は水晶のようだった。「ここから…太陽が目覚める方角に三本の巨木、それから盾を支える手の方角に四本。…多分逆かも。着いたら教えるわ!」
私が彼女の詩的な指示を解読する前に、彼女が現れた木が息を吹き返した。樹皮が波打ち、有機的な優雅さでねじれ、木目の生きたアーチ状の扉が現れた。窓枠はガラスもなく、小さな花を咲かせる蔦で飾られた単なる開口部だ。内部は暗い空洞ではなく、温かく誘い込まれるような空洞だった。壁は磨かれた柔らかい木のようで、杉と新鮮な土の心地よい香りを漂わせていた。中央には、マットレスはないがビロードのような厚い苔に覆われた広い低い台が、ベッド代わりになっていた。
カラナとイレーネは疲れきって、躊躇しなかった。世界で最も自然なことかのように、苔の寝床に倒れ込んだ。イレーネは幸福のため息をつき、緑の柔らかさに顔を埋めた。アルテミサは真っ直ぐに座り、頭をゆっくりと回して、木の壁の中の見えない存在の動きを追っているかのようだった。青い光は、暗い隅を見た時に一度、素早く鼓動したが、すぐに一定のリズムに戻った。
諦めと深い安堵の最後のため息と共に、私は彼女たちの横に倒れた。苔は信じられないほど柔らかく、居心地が良く、杉の香りが毛布のように包み込んだ。何日もの旅の疲れとレディ・ファンとの対決の緊張が重石のようにのしかかっていた。目を閉じた…
…すると、新しい葉が擦れるような柔らかな笑い声が空洞を満たした。「へへ~ドライアドがあなたたちを抱きしめて眠らせてあげる。休みなさい、小さなカラフルな生き物たちよ」
深く、確かな温かさが私を包んだ。まるで世界の根そのものに包まれているかのようだった。物理的な抱擁ではなく、壁から、床から、空気から放たれる、安心感を与える存在だった。文字通り、彼女の中で眠っていたのだ。意識の霧の中で漂う最後の思考は疑問だった:
ドライアドは木だから生きているのか、それとも木はドライアドが宿るから生きているのか?
そして、温かく香り高い闇が私を引きずり込んだ。




