表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

これがイケメン先生

 委員会を決め終わり、流れるようにクラス係も決め終わったため、少し早めに終わりのHRをすることになった。

 明日に部活動勧誘会をして仮入部期間が始まると伝えるとクラスの陽キャたちは大いに盛り上がっていた。仲間と切磋琢磨できるのが嬉しいのかもしれない、まさに青春の一ページと呼べるものだ。

 それに中学よりも部活動の幅は広いし楽しみに思う気も分からなくはない。当時高校生だった俺は部活動に顔を出すことはしなかったが。

 そういえば、あの五人はそれぞれ何部に入るのだろうか。そもそも部活に入らなそうな子もいるが、一教師としては部活動を楽しんでくれることを願っている。


「はぁ……大変だなぁ」


 職員室で小さくつぶやくと、ことっと缶コーヒーが俺の机に置かれた。


「お疲れ様です、冴島先生」


「浅羽先生、お疲れ様です」


 机に缶コーヒーを置いてくれたのは今年度で4年目の浅羽湊先生。

 まるでモデルのような背丈に整った顔立ちというあふれ出るイケメン感から上級生は陰でイケメン先生と呼んでいるらしい。女子人気が高く、人一倍時間に厳しい。

 去年度新任の俺にも優しく教師としての仕事を教えてくれた性格もイケメンなかっこいい先生である。

 去年度に浅羽先生の受け持つクラスが卒業したらしく、今年度は一年生の担当となった。

 隣の1-Bでは浅羽先生が担任ということで女子が盛り上がっていたとのことだ。負けた気がするというか完全に負けている。


「どうですか?そちらのクラスはもう慣れましたか?」


「だいぶ仲良しだと思いますよ。委員会もかなりすんなり決まってくれたので」


「もう決まったんですか⁉うらやましい限りです……こっちはあまり自主性の強い生徒がおらず、決まったのは学級委員だけで」


「はー……学級委員が先に決まるとは、珍しいですね。リーダーシップのある生徒なんですか?」


 学級委員は担任と接する時間が増えるわけで、浅羽先生が担任ならそういうこともあるかもしれないと考えていると、浅羽先生は困ったように笑って伝えてくれた。


「学年主任と学年集会の話し合いをするって伝えた瞬間思いっきり挙手した生徒がいてですね……。彼女はクラスでも人気者なので男子も多く立候補してくれて」


 既視感のある出来事に頭が痛くなる。澪と同じような事をする生徒は流石にいないと思ったのだが、あとの四人も同じようなものだったのかもしれない。

 1-Bとなると確か……。


「冴島先生と、神木怜さんってどういう関係なんですか……?」


 神木怜。銀髪ショートカットでクールな立ち振る舞いが人気だとうちのクラスでも早速騒がれていた。


「あぁ、塾のバイトの時の生徒の一人なんですよ。あいつ、当時は結構大人を嫌っていて……まぁ気づけば気に入られてたんですけど」


「へぇ~、昔っからいい先生だったんですね!」


 クッ、やはりイケメンだこの人。彼の左薬指にはまっている指輪を見て、「そりゃあ女性も放っておかないわな」と内心で納得したように呟いた。

 それにしても、俺がいなくとも神木はそういうノリなのだとしたら先生方に大変な思いをさせてしまうのではないかと心配してしまう。

 ただ注意してもあの五人の様子は変わりそうもないので青春の素晴らしさを教えてやれば数か月後には普通の高校生らしく日常を謳歌してくれるだろう。


「いやぁ、愛されてますね~冴島先生」


「嬉しいんですけどね、教師の立場からすると困ることもあるんですよね」


「ハハッ!確かにそうですね、冴島先生も変な気は起こさないでくださいよ~?先生はまだ大学出たばかりで若いんですから」


「起こしませんよ。それに若さで言ったら浅羽先生こそまだ二十代じゃないですか」


 浅羽先生も大学を出てすぐ教師になったとの事で、まだ二十代後半に差し掛かったところだ。その若さあってか女子高校生から恋愛感情を向けられることがあるが既婚者なので真に受けることはないらしい。

 浅羽先生曰く結婚して幸せな家庭を築いているらしく羨ましい限りだ。奥さんが妊娠したら冴島先生に任せるからよろしくとまで言われている始末だ。

 産まれてこの方彼女すらできたことのない俺には一生分からない感覚なのだろう。教員という夢を追いすぎて疎かにしていた部分は確かにあるが。

 そういえば、一緒に教員を目指していた幼馴染は教員免許を取ったと連絡が来てから音沙汰がない。教員生活で忙しく連絡を取っている暇などないのかもしれない。少なくとも去年の俺はそうだった。


「冴島先生は結婚とか考えてないんですか?モテそうなものですけど」


「いやぁ、大学までずっと教員になるために勉強していたので。女性関係は全然なんですよね……唯一一緒に教員を目指していた幼馴染は女子ですけど、彼女から見ても俺は対象外でしょうしね。それに今は生徒と接しているだけで楽しいですし」


「気持ちは分かりますけどね……相手は選ばないと万が一性格が悪い女性だったら大変ですし」


 たくさんの女性に言い寄られるであろう浅羽先生は昔を思い出してかため息をついていた。

 浅羽先生ほどイケメンであれば性格の良くない女性や自分の格をあげるために付き合おうとする女性は多かったことだろう。やはりイケメンは大変そうだな、と同情しておいたが結婚して幸せそうなので同情する意味はないのかもしれない。


「冴島先生、この後飲みとかどうですか?」


「良いですね、どうせなら一年担当全員に呼びかけますか」


 まだ昼間だがやることは少ないのですぐ行くことが出来るはずだ。まだ成人してちょっとなので人と飲みに行ったことはないので楽しみである。

 その後一年担当の教員数人と飲みに行き、一年生の印象を語った。といってもまだ授業は始まっていないので、どのように授業を進めるかも話し合った。

 有意義な時間を過ごせたが、俺は酒に強いので酔っぱらいを介抱するのが大変だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ