食堂
夕食の時間、ウミを迎えに来た。
ノックをすると、ドアが開いて顔を少しだけ出てくる。
「少し待っていて下さい!」
すぐにドアが閉まった。鍵を閉める音はしなかった。
2,3分してドアの開く音とお待たせいたしました、すみませんと後ろから聞こえて来た。
「そこまで待っておりませんので、大丈夫です。では、食堂に行きましょうか」
階段を下がった。
ウミの息が上がる時よりも上がっている。
少し、歩くのが早かっただろうか。
只今19時半、食堂の席が2分の1程埋まっている。200人以上の席があり、100席程埋まっている。塔には150人程の人が居る。この時間は人が多い。
(海月は人多いの嫌いだし、もう少し遅い方が良かったかな?)
そんな事を考えてももう遅いか。
「食堂の制度はまだ教えておりませんよね。やりながら説明いたしましょう。」
手前の数人が並んでいる所に並ぶ。
「スイレン塔の食堂では、あっちの世界と少し似ています。
最初に、切符を取ります。1人、1日10切符までです。1食に10切符使い切るのもよし、余ってもよし、種類に寄っては食堂から持ち出しても良いです。それとこれを」
紙を渡す。
1枚の裏表に、長方形が書かれている物だ。
「この紙は、今月のカードですね。
例えでいうのならば、学校にあった図書カードみたいなものです。
これはあの人達に、切符を渡せば良いです。
因みに、このカードがなければご飯は貰えないので注意してください。」
あの人達と言うのは、5体の傀儡だ。
黒の能力者の1人で、料理をするのも食べるのも大好きらしく、此処のコックと店番をしているらしい。それは、その能力者の願いだったそうだ。
説明をしていたら丁度、ハルの番になった。
ハルは、日替わりの切符を1つだけ取った。
日替わりは、結構な量がある。ハルにとっては余裕のよっちゃんだが、ウミにとってはきつい量だと思う。
ウミは、迷っていた。
ウミは、自分で決めるのはあまり好きではないらしい。
何かを食べに行こうと言って、何が良いと聞くと何でもいいよの答えが毎回返ってくる。
たまに、ハルが少し前に行きたいと言っていた物を言ったりした。50回以上は誘ったが、自分で何処かに行きたいと言ったのは1回だけだった。
此処は、アドバイスをしておこう。
此処での常識も、量も分からないのだから。
「ウミ様はカレーライスはいけましたよね」
「辛くなければ…。」
「このカレーライスならば食べられると思います。」
アドバイスをするとそうしますと言って、切符を取った。
因みに、此処のカレーライスは数種類ある。
日に寄って変わるが、甘口カレーは3日に1回程度だ。切符は、ほとんどが日によって変わる。
「この人達に、切符と食堂カードを渡して下さい。」
ハルのやっている姿を見て、ウミはそれを真似てやった。
置く順番も向きも渡し方も全てを真似て。
そうすると、何十秒か待った後に食堂カードだけが戻ってきた。そこには、ハルが選んだ物が書いてある。綺麗な字で。
「あっちで来るのを待っていましょう」
指を差して、歩く。それにウミはついてくる。アヒルが親を追うように。
数分で、2人の頼んだ物が出来た。
それを取りに行く。
此処には傀儡は2体居て、その傀儡に食堂カードを見せるとどうぞと言っては居ないが、お盆を少し前に押した。
ハルもウミもお盆を持って、カウンター席ではなく長いテーブルに座った。
其処の端が空いていて、ひとさも少なかったからだ。端に座ったのはハルで、その隣にウミは座った。ウミの横は、5席空いている。
いただきますと、横から聞こえてきた。
ハルも、ウミよりも小さな声でいただきますと言って食べた。
今日の日替わりのメニューは、白米と焼鮭と具だくさん味噌汁。これなら量は無理でも、ウミでも食べれた物だろう、多分。
そのウミは、カレーを食べている。
いつも通りの顔だ。あまり、美味しそうに食べない。
どうですかと答えても、嘘か本音かどちらか分からない美味しいですと笑顔で返してくるだろう。
2人共食べ終わり、食器とお盆を片してウミを部屋まで送り届けてハルは自分の部屋に戻った。
準備をする、お風呂に入る準備を。
ウミの所には、簡易的なシャワールームがあったらしい。それは、青の部屋にはない物だろう。実際、ハルの部屋にも少年の部屋にもないから。
お風呂に入って、今日は寝た。
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朝8時、ウミを迎えに行った。
昨日、別れ際に迎えに行くと言っておいたので来た。
ノックをすると出てこない。
もう1回やっても出てこない。
やり過ぎると、お隣の部屋の人に迷惑になる可能性もある。居るかは知らないが。
仕方ない、あれを使おう。
ポケットから、縦に2つのボタンが付いている機械を出す。
それの、上のボタンを押した。
十数秒経ったぐらいにノックをした。
少しして扉は開いたが、出てこない。
何か声を掛けようと口を開こうとすると、声が聞こえてきた。
「支度するので、少しだけ待って下さい」
少し早口で焦っている声だ。その声が終わると、扉は閉まった。
5分後ぐらいに、また扉が開いた。
「ごめんなさい、遅れてしまって…。」
少し下をみながら言うウミは、申し訳なさそうな顔をしていた。
「大丈夫です。
此方こそ、無理に起こしてしましたし。
では、行きましょうか」
食堂に行って、切符を取った。
ハルは白ごはんと味噌汁と焼鮭という和風の朝ごはんを、ウミは塩パンとコーンスープの朝ごはんの切符だ。
それは、1枚分の切符だった。
朝食も食べ終わり、夜に言っていた所に向かった。
その場所は、“皇城”だ。




