ソートミーとの模擬戦(?)
「此処らへんで良いか」
ソートミーが自前の木剣を2本テントから持ってきて、森の少し開けた場所にウミを連れてきた。
その前に、手首を強い力で握られていて今も痛い。
多分、ソートミーには自覚がないのだろう。
その間ずぅと手首を握られていて、感覚は殆ど無くなっていた。
ソートミーがウミに1つの木剣を渡して、少し遠くに行った。
「相手の体に先に木剣を当てた方が勝ちだ。
それと、髪の毛はなしだ。
髪を判定アリにすると、ウミが不利だからな。」
ハンデが1つ出来たかもなんて言えずに、分かりましたとだけ言った。
「では、開始だ!」
(いきなり!?)
そんな事を思っていると、ソートミーがウミの真っ正面に来ていた。
カンッ
「能力を使う事はアリとする。」
ウミがかわしきれずに、木剣と木剣があたり、顔が近くにまで来ている。
「今いう事ですか!!」
思わず突っ込んでしまう。
ウミはこの力勝負に押されていた。
「そうだな」
ソートミーが木剣と木剣の押し合いを止めて、下がった。
少しウミは体勢を崩してしまい、其処を狙われる。
それをかわして、ザクッとソートミーの木剣が4分の1程土に刺さった。
それを何事もなかったように、木剣を抜いて、木剣を空中で斜めに2回振った。
(ヤバいかもっ)
その場所から大幅に離れて少しすると、ボキッやドーンッなどのと色んな音が聞こえてくる。
後ろを見る暇はないが、木が折れたのだろう。
それを無意識に見ようとしてしまったが、目にソートミーが此方に来ているのが見えて、木剣を避けた。
「上手いな。」
また、ソートミーはウミめがけて木剣を振る。
「能力は使わないのか?」
押されて居るのが分かっているのだろう。
性格が悪い事だ。首輪をしている事は知らないのだろうか。
………少しだけなら大丈夫だろう。
そう思って、能力を解放した。
その瞬間から、色々な物が見えた。
ソートミーが取りそうな行動が何個か見えた。
それと同時に凄い頭痛と首が締まるような感覚に襲われた。
身構えていたが、一瞬使った程度だったからかすぐに収まった。
カンッ、ウミが反撃を始めた。
「能力を使ってくれたのか?」
今では、ソートミーが押し負けている。
ソートミーに木剣を振りかざす、休みなく、無駄なく、躊躇いなく。
一瞬でも隙を作ってしまうと、ソートミーが能力を使ってしまう可能性がある。
それは避けたい。
10分、状況は何も変わらない。
ウミが押しているが、其処から何も変わるような展開がない。
賭けにでも出ようかな。
一瞬、隙をソートミーに見せた。
わざととバレないように。
ソートミーは木の上に乗って、木剣を力強く振る。何回も何回も。
その空気をウミは避ける。
(これにあたったら死にそ〜)
そう思う程の威力なのだ。
なんせ胴体真っ二つ出来るらしいから…。
それに、1振りで木を2本ぐらいあっさりと切っている。
ソートミーが立っている根元に行って、死角に入る。
別に死角に入りたい訳ではなかった。目的のものが其処にあっただけだ。
ドンッと、木を思いっきり蹴る。
「お?」
ドサッとソートミーが地面に落ちて、トンと落ちて来たソートミーに軽く木剣を当てた。
「これで私の勝ち、で良いんでしょうか?」
「ははっ、こうくるか!!」
乾いた笑い事と、関心の声がソートミーから出てくる。
「……卑怯とか言わないんですか?」
「禁止なんて言ってないしな、それに木の上に乗った俺が悪い所もあるし。」
「これはやる」胸元のポケットからロケットペンダントを出して、ウミに投げた。
ちゃんとは見ていなかったが、かなり高価そうだ。
「その中を開けてみろ、凄く綺麗だぞ」
よく分からないが、開けてみる。
外は煌めく夜空だったが、中は…見たこともないほど濃く鮮やかな青と、吸い込まれそうなほど透き通った模様の、とにかく綺麗な石が収まっていた。
「そのペンダントには宝石のラマリーが使われているんだ。」
「……そうなんですね」
ウミはラマリーという宝石は知らないが、本当に…心の底から綺麗だとは思った。
「そろそろ戻ろう、バレたら面倒だからな。」
ソートミーが座っている地面から立って歩き出した途端、声が聞こえた。
「何勝手な事をしてるんですか、ソートミーさん」
テントがある方角、つまりウミ達が行こうとしていた場所にソウがいた。
「木が倒れた音が聞こえたので来てみれば模擬戦とは、いい度胸してますね。」
ニコッと笑いながらそんな事を言ってくる。
(……これ、ヤバいやつだ。)
ウミとソウは今回初めて会ったが、分かる。
色々な人を見てきたからだろうか、目が笑っていなくて顔が笑っている人は超怖いという事を……。
そしてソートミーが焦っているのを見て、更にヤバいと感じた………。




