第五話 視線
5歳になり、魔術だけでなく剣術も「中級」へと至ったルイス。今回は、かつて王国最強の聖騎士と呼ばれた父親・レオンとの、男同士の真剣勝負が幕を開けます!
「――構えろ、ルイス。今日はお前がどこまで通用するか、我が剣をもって測ってやる」
アークライト邸の広い訓練場。
いつもの木剣ではなく、刃を潰した本物の大剣を構える父レオンの佇まいは、
まさに「鬼将軍」そのものの圧倒的な威圧感を放っていた。
「はい、父上。全力で行かせていただきます!」
5歳になった俺もまた、特製の小剣を引き抜き、正対する。
これまでの地道な特訓の成果、
そして【万能鑑定】で常に自分のフォームを最適化し続けた結果を、
元・王国最強の聖騎士にぶつける時が来たのだ。
「――はあああ!」
俺は小さな身体をバネのようにしならせ、一瞬で間合いを詰めた。
中級に至った神速の踏み込み。
目にも留まらぬ速さで放たれた俺の突きを、父上は大剣の腹で危なげなく受け止める。
金属同士が激しくぶつかり合い、甲高い音が訓練場に響き渡った。
「素晴らしい速度だ! だが、実戦の重みを知れ!」
父上の大剣が、嵐のような猛攻となって俺を襲う。
一撃一撃が文字通り岩をも砕く重さだ。
俺は持ち前の動体視力と魔力による身体強化をフル回転させ、
紙一重でそれをいなし、受け流していく。
(くそっ、やっぱり親父はバケモノだ……! でも、ここで負けるわけにはいかない!)
俺は一歩下がり、剣に極小の「火魔法」を纏わせた。
刀身が青白い熱を帯びて激しく爆ぜる。
「これで……終わりだ! ――『炎斬』!」
魔術と剣術を融合させた俺の全力の一撃が、父上の防御を弾き飛ばした。
父上の大剣が宙を舞い、地面に突き刺さる。
同時に、俺の小剣の刃が、父上の首筋の一歩手前でピタリと止まった。
「……私の負けだ。5歳にして私から一本取るとは、お前は紛れもない天才だよ、ルイス」
父上は驚愕の表情から、すぐに誇らしげな笑顔へと変わった。
額の汗を拭いながら、俺がふと訓練場の端に目を向けると、
そこにはアークライト家と親交の深い「フェリス伯爵家」の馬車が停まっていた。
そして、その陰から、ピコピコと動く可愛い三角形の耳を持った女の子が、
顔を真っ赤にしてこちらを熱い目で見つめていた。
◇
決闘のあと、屋敷のサロンで汗を流して寛いでいると、
先ほどの女の子がトコトコと入ってきた。
名前はニア・フォン・フェリス(6歳)。猫獣族の由緒正しき貴族の令嬢だ。
艶やかな黒髪のショートヘアに、大きな金色の瞳。
そして頭の上でそわそわと動く黒い猫耳がたまらなく愛くるしい。
「あ、あの……ルイス様! 先ほどの決闘、とっても、とっても格好良かったです……!」
ニアは両手を胸の前でぎゅっと握りしめ、尻尾をパタパタと激しく振りながら、
憧れの眼差しを俺にぶつけてきた。
どうやら俺の戦う姿に完全に一目惚れしてくれたらしい。
「ありがとう、ニア。そう言ってもらえると、厳しい特訓に耐えた甲斐があるよ」
俺が微笑みながら彼女の隣のソファに腰掛けると、ニアは嬉しそうに、
でも少し恥ずかしそうに身体をモジモジと縮めた。
俺はさっそく彼女に【万能鑑定】を向けた。
【ニア・フォン・フェリス】
・種族:獣人族(猫獣族)
・職業:フェリス伯爵家・長女
・秘密:ルイスへの好感度が早くも『一目惚れ(最大)』。
彼ともっとお話ししたいけれど、緊張で胸が張り裂けそう。
実は『マタタビの香り』を嗅ぐと、お酒に酔ったようにルイスにデレデレに甘えたくなってしまう。
・弱点:猫獣族の特性として、顎の下を優しく撫でられると、
気持ち良すぎて「にゃう……」と声を漏らし、完全に無抵抗になってしまう。
(ほう……顎の下が弱点、ね。これは良いことを知ったぞ)
「ニア、そんなに緊張しなくて大丈夫だよ。僕たちは幼馴染のようなものなんだから。ほら、もっとこっちにおいで?」
「は、はい……っ。ルイス様、私、もっとルイス様のこと、知りたいです……」
俺が少し声を低くして優しく促すと、ニアは嬉しそうに距離を詰め、
俺の袖を小さな手でちょこんと掴んできた。
近づくと、彼女の猫耳が小刻みに震え、可愛い尻尾が俺の足にそっと絡みついてくる。
猫獣族のニア。彼女のあまりの愛らしさに、
俺はこの世界でのハーレム計画が、最高に順調に進んでいることを確信するのだった。
ここまでお読みいただきありがとうございました!元・王国最強の聖騎士である父親を相手に、見事な一本勝ちを収めたルイス!さらにそのルイスに接近するネコミミのニア!今後の展開を期待していてください!




