第三話 家族
ルイスは無事に5歳へと成長しました。
前世が30代ニートだった彼にとって、この2年間の成長は感慨深いものがあるようです。
今回は、5歳になったルイスが過ごす、アークライト家でのとある賑やかな一夜をお届けします。
3歳で魔法の才能を見せてから2年……。ついにルイスは5歳になった。
前世では成し遂げられなかった自己研鑽を、この世界では着実に積み重ねている。
わずか5年で初等魔法を使いこなし、乗馬と剣術の基礎まで学び始めた。
この成長速度は、まさに神童と呼ぶにふさわしい。
前世の記憶を持つ男としての意識が、
5歳になった我が身の目覚ましい成長を誇らしく感じていた。
この2年間で、ルイスは【万能鑑定】を日常的に活用し、
周囲の人々との信頼関係を深めてきた。
母であるエレナとは、彼女の愛情あふれる教育のおかげで、
揺るぎない親愛の情を築いている。
専属メイドのシャロンに対しても、魔法の練習の合間に冗談を言ったり、
ちょっとした手伝いをお願いしたりすることで、姉弟のような親密な関係となっていた。
そして5歳の誕生日を迎えた夜。
家族での祝宴の後、エレナが優しく微笑みながら提案した。
「ルイス、5歳のお誕生日おめでとう。今夜は特別に、お母さんと一緒にお風呂に入って、ゆっくりお話ししましょうね」
ルイスは素直な笑顔を浮かべて応えた。
「ありがとう、お母様! 一緒にお風呂、楽しみだよ」
アークライト伯爵家の大浴場。
大理石の浴槽からは、心地よい香草の香りが立ち上っている。
エレナは、成長した息子の姿を眩しそうに見つめながら、
ルイスの背中を優しく流してくれた。
「この2年で、ずいぶん逞しくなったわね。魔法の練習も頑張っているって、家庭教師の先生から聞いているわよ」
「うん、もっとお父様やお母様を助けられるようになりたいんだ」
背中から伝わる母の温もりと、その優しい言葉に、ルイスは深い安心感を覚える。
鑑定スキルを使わずとも、そこにある深い愛情は明らかだったが、
ふと意識を向けてみる。
【エレナ・フォン・アークライト】
・ルイスへの親愛度:最大
・状態:深い慈愛と幸福感。
息子の健やかな成長を心から喜び、将来を楽しみにしている。
(この温かい家庭を守るためにも、もっと強くならなきゃな……!)
ルイスは温かいお湯に浸かりながら、これからの成長を改めて誓うのだった。
◇
お風呂から上がり、自室でシャロンに髪を乾かしてもらっている時のことだ。
2年前よりも手際が良くなったシャロンが、丁寧にルイスの髪を整えていく。
「ルイス坊ちゃま、5歳になられて、視線が少し高くなりましたね」
「そうかな? シャロンの背に追いつくには、まだまだ時間がかかりそうだよ」
ルイスは少しおどけた様子で答えた。
そして、日頃の感謝を込めて、ちょっとした「悪戯」を思いつく。
彼女が手を休めた隙に、練習中の風魔法を極々微弱に操り、
彼女の耳元をくすぐるようなそよ風を送ったのだ。
「――っ!? ひゃ、今のは……?」
シャロンは驚いて肩を震わせ、あたりを見回した。
ルイスはすまし顔で、窓の外を指差す。
「風が吹いたのかな? シャロン、びっくりした?」
「もう、坊ちゃま……いたずらですね? 魔法をそんな風に使うなんて」
シャロンは困ったように、しかし嬉しそうに笑った。
【シャロン】
・ルイスへの親愛度:非常に高い
・状態:驚きと親愛。
坊ちゃまの茶目っ気のある行動に、家族のような親しみを感じている。
シャロンとの絆も、この2年で確固たるものになったことを確信する。
(お母様との信頼関係もバッチリだし、シャロンも信頼してくれている。5歳のスタートとしては最高だな)
平和な日常を享受しつつも、いつか訪れるかもしれない困難に備え、
ルイスはベッドの中で次なる魔法の訓練計画を練りながら、安らかな眠りにつくのだった。
5歳になったルイスのハーレム(?)ライフは順調そのものです。
家族やシャロンとの絆(と親密度)もしっかり深まって、これからの準備はバッチリです!




