第一話 転生
いよいよ第一話スタート!ここから物語が展開していきます。是非お楽しみください!
『――警告。目を覚ましてください。これより、主神より下された「至上命令」を伝達します』
真っ暗な闇の中で、再びあの機械的で冷徹な声が響いた。
『貴方に固有スキル【万能鑑定】を授与しました。その眼ですべてを見通し、世界を脅かす「巨悪」を暴き、討伐してください。それが貴方の義務となります。……以上です。転送を開始します』
(えっ、ちょっと待って! 巨悪って何!? 俺はただ女の子の秘密が見たかっただけで――)
反論する間もなく、俺の意識は強烈な光に包まれた。
◇
「……う、ううん……?」
次に目が覚めたとき、俺の視界に飛び込んできたのは、
見たこともないほど豪華な木製の天井だった。
外からは、小鳥のさえずりと共に、かすかに馬のいななきが聞こえてくる。
明らかに現代日本ではない。身体が異様に重い。
というか、自分の手がめちゃくちゃ小さくて、赤ちゃんのものになっている。
(本当に……転生しちまったんだ)
前世の記憶を持ったまま生まれ変わった俺は、自分が今、
静かな寝室のベビーベッドに横たわっていることに気づく。
生後まもない赤ん坊の身体は体力がなく、
一度眠るとすぐに起き上がることができないらしい。
俺が目を覚ましたのは、ちょうど授乳や着替えの合間の、
静かなお昼寝の時間だったようだ。
そこへ、重厚な部屋の扉が静かに、しかし焦った様子で勢いよく開いた。
「おお! ルイス、我が息子よ! やっと目を覚ましたか! ずっと寝ていたから心配したぞ!」
現れたのは、豪華な甲冑を身にまとった、いかにも強そうな金髪のナイスミドルだ。
「あなた、そんなに大声を出すとルイスが驚いてしまいますわ。まだ生まれて間もないのですから、静かにして差し上げて」
後ろから呆れたように、しかし愛おしそうに微笑みながら入ってきたのは、
絶世の美女。
彼女がそっと手をかざすと、手のひらから優しい緑色の光が溢れ、俺の身体を包み込んだ。
あたたかいエネルギーが満ちていく。
(間違いない、これが『魔法』ってやつか……! すごい、本当にファンタジーの世界なんだ!)
興奮する俺を、美女は優しく抱き上げた。どうやらこの二人が、俺の新しい両親らしい。
二人の会話を聞く限り、俺の新しい名前は「ルイス」というようだ。
(よし、神様かなんか知らないけど、巨悪を倒せとかいう命令はとりあえず後回しだ! 俺はこの世界で、今度こそ最高の人生を謳歌してやる!)
まずは、さっきの声が言っていた固有スキル【万能鑑定】とやらを試してみよう。
俺の顔を覗き込んでいる両親に、視線を集中させてみる。
(いけっ、鑑定!)
頭の中に、ピコーンと小気味いい音が響き、
二人の頭上に謎の文字が浮かび上がった。
俺の脳内に直接流れ込んできた情報を見て、俺は初めて、
二人の詳しい名前や身分を知ることになる。
【レオン・フォン・アークライト】
・種族:人族・職業:辺境伯爵(元・王国最強の聖騎士)
・関係:対象の実の父親
・秘密:厳格な鬼将軍として恐れられているが、中身は重度の『親バカ』。
ルイスのために可愛いベビー服を自作しようとして、
夜な夜な裁縫の練習をしている。
・弱点:妻に睨まれると、蛇に睨まれた蛙のように動けなくなる。
【エレナ・フォン・アークライト】
・種族:人族・職業:伯爵夫人(元・天才治癒魔導士)
・関係:対象の実の母親・秘密:実は重度の『ショタコン』。
我が子が可愛すぎて、毎日こっそり匂いを嗅ぐのが生きがい。
・弱点:脇腹をくすぐられると、どんなに真面目な顔をしていても一瞬でフニャフニャになる。
(……ぶっ!!!)
俺は心の中で思いきり吹き飛んだ。【万能鑑定】のおかげで、
父親が「レオン」でこの国を守る凄い伯爵であること、
そして母親が「エレナ」であることが一瞬で理解できた。
ステータスや強さがわかるのは素晴らしい。だが、それ以上に……。
(この親父、鬼将軍のくせに夜なべでベビー服作ろうとしてるのかよ! 母親もショタコンだし……アークライト家、まともな奴がいねえ!)
前世の最期に抱いた不純な煩悩は、100%の精度で具現化していた。
これなら、この世界にいる美女たちの秘密を全部丸裸にできるに違いない。
我が身に宿るチート能力の恐ろしさ(と素晴らしさ)を自覚した俺は、
赤ん坊の姿のまま、未来のハーレム生活を夢見てニヤリと不敵な笑みを浮かべるのだった。
次回は第二話です!もう続きが気になりましたか?これからも応援お願いします。




