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第十話 模擬戦

今回は学園編の定番、クラスメイトたちの前での「初めての実技授業(模擬戦)」です!10歳の子供だと侮るエリート貴族たち、そしてプライドをかけて挑んでくるエレノア王女。ルイスの圧倒的な天才っぷりと、エレノア王女のチョロすぎる脳内妄想をどうぞお楽しみください!


 王立魔法学園の特級クラス。

 そこに集められたのは、王国でも一握りの天才や、高位貴族の跡取りばかりだ。


 最初の授業は、広大な演習場での「実技(模擬戦)」だった。


 「これより、各自の現在の実力を測るための模擬戦を行う。……まずは新入生首席、ルイス・フォン・アークライト。前へ」


 厳格そうな担当教官に呼ばれ、俺は木剣を持って前に出る。


 周囲の生徒たちの視線には、試験の噂に対する疑念と、

 10歳の子供に対する侮りが、まだはっきりと混ざり合っていた。


 「教官! 首席の噂が本当かどうか、俺が試してやりますよ!」


 そう言ってニヤついた笑みを浮かべながら進み出てきたのは、

 侯爵家の次男を名乗る大柄な男(15歳)だった。


 俺を「飛び級の生意気なガキ」と決めつけ、

 噛ませ犬に名乗り出てくれたわけだ。


 「おいおい、相手は10歳だぞ? 手加減してやれよな」

 「泣かせるなよ?」


 外野のヤジを鼻で笑いながら、男が木剣を構える。

 俺は構えもせず、ただ自然体で佇んだ。


 「模擬戦、始め!」


 教官の合図と同時に、男が身体強化魔術を纏い、

 猛スピードで突っ込んできた。


 「オラァッ! 子供部屋へ帰りな――」


 ガキィンッ……!!


 「……え?」


 男の笑顔が凍りついた。

 彼が全力で振り下ろした木剣を、俺は一歩も動かず、

 片手で持った木剣の腹でピタリと受け止めていたのだ。

 

 俺の体には、男の数倍の密度を持った

 「超高密度の身体強化」が寸分の狂いもなく施されている。


 「スピードは悪くないけど、重心がブレブレだよ」


 「なっ、ぐはっ……!?」


 俺が木剣を軽く一振りすると、圧倒的な質量差に弾かれるようにして、

 男の巨体が演習場の壁まで消し飛ばされ、そのまま意識を失った。

 一瞬の静寂。

 一歩も動かずに上級貴族の天才を一撃で黙らせた俺に、

 クラスメイトたちがゴクリと息を呑む。


 「……次、次は私が相手をいたしますわ!」


 その静寂を破ったのは、

 金髪ツインテールを揺らした第一王女、エレノアだった。


 彼女は凛とした表情で木剣を構え、俺の前に立つ。

 緋色の瞳には、王族としての強いプライドと、

 昨日クッキーを貰ったことへの複雑な感情が入り混じっていた。


 「アークライト卿。先ほどの男とは一緒にしないでちょうだい。王族に伝わる極上の魔戦技、その身に刻んで差し上げますわ!」


 (威勢はいいけど……本心はどうかな?)


 俺はエレノアを見つめながら【万能鑑定(オールアプレイザル)】を発動した。


 【エレノア・フォン・アルカディア(15歳)】


 ・状態:極度の緊張、心臓バクバク


 ・脳内妄想:『な、なにあの一撃……! 10歳なのに強すぎるし、戦う姿が格好良すぎて反則じゃないの……! っ、でも負けられないわ! ここで私が勝って、昨日のお礼(クッキー)を言ってあげるんだから……! え、ええい、私の心臓、うるさいくらいに高鳴るのをやめなさいな!!』


 (相変わらず脳内がチョロくて可愛いな、この王女様は)


 俺は思わず口元が緩むのを抑え、木剣を正対させた。


 「始め!」


 教官の声が響く。次の瞬間、エレノアの姿が掻き消えた。

 王族秘伝の高速移動術だ。

 瞬時に俺の死角へと回り込み、風の魔術を纏わせた鋭い突きが放たれる。


 「これならどうかしら――『風裂(ウィンドスラッシュ)』!」


 確かに見事な速度と威力。だが、前世の格闘技術と、

 父上の地獄の特訓を潜り抜けてきた俺の経験からすれば、

 その軌道はあまりにも素直すぎた。


 俺は最小限の動きでその突きを紙一重でかわすと、

 すれ違いざまに彼女の木剣の手元を軽く叩き、弾き飛ばした。


 「ああっ……!?」


 武器を失い、勢い余ってバランスを崩したエレノアの体が、

 無防備に前に倒れ込む。


 地面に激突する寸前

 ――俺は彼女の細い腰を、後ろからそっと抱きとめるようにしてキャッチした。


 フワリと、エレノアの髪から甘い花の香りが鼻腔をくすぐる。


 「危ないですよ、エレノア様。怪我はなかったですか?」

 「ひゃあ……っ!?」


 耳元で優しく囁かれたエレノアは、

 顔から火が出るのではないかというほど真っ赤になり、小さな悲鳴を上げた。


 俺の腕の中で、彼女の体は完全に硬直している。

 後ろでは、観戦していたニアの黒い猫耳がこれ以上ないほどピンと逆立ち、


 「ル、ルイス様がまた他の女を抱きしめてるにゃぁあ……!」


 と静かな殺気を放っていたが、今は置いておこう。


 「は、離しなさいな……! この不届き者……!」

 「おっと、失礼」


 俺がゆっくり手を離すと、

 エレノアはよろよろと後退りし、胸元を押さえながら潤んだ瞳で俺を凝視した。


 【エレノア・フォン・アルカディア(15歳)】


 ・好感度:55(完全に意識している・恋心の芽生え)


 ・脳内妄想:『な、ななな、なんなの今の抱きしめ方は……! 心臓が破裂しそうだわ……! 負けた悔しさなんてどこかへ飛んでいっちゃったじゃない……! あ、圧倒的に強くて優しくてスマートだなんて、そんなの、好きになっちゃうじゃない……っ!!』


 周囲の生徒たちは、

 王女を圧倒した俺の実力に完全に戦慄し、言葉を失っていた。


 だが、そんな周囲の恐怖をよそに、俺はまた一人、

 学園の最高峰の美少女を完璧にベタ惚れルートへと引きずり込んでしまったのだった。

YES、ルイスハーレム化計画

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