Route Cause
「庭も軍も動き出しましたな...」
「計画通りですね...あとはこちらも首元様を待つのみですか...」
「必要ない...羅針盤は既に東を指している」
「ここが、任務の場所...」
遠く離れた離島にて春が呟く、領海の地すれすれのこの場所で船の救難信号が途絶えたらしい。今居るのは春、夏目、D、新沢の四人。向こう側に廃墟が見える、
「人っ子一人見えないな...」
新沢が呟く、歩けど歩けど見えるのは密林のみ、この島に生息する動物が船を乗っ取るとは考えにくい。船が見えてきた。船は座礁し、船体に巨大な穴が空いている。間違いなく何かが開けた穴だろう。
「何だこれは...動物園か何かか?」
Dが呟く、船の中は引っ掻いた痕や生物を引っ張ったであろう血痕があり、それは船の中の惨劇を想像するに難くない。部屋の至る所に鉄格子のようなものが打ち捨てられているのを見るにこれは魔法生物を運んでいた船だろう、だがこの手の危険物を運ぶ船の場合、腕利きの魔法使いを同行させているはず。
「妙だ...どこにも魔法使いの死体がない」
Dが死体の一つを見て呟く、周りに転がっているのは船員の死体だけ、魔法使いの死体はない。
「こっちもだ」
新沢も違う部屋を見ながら呟く。
「となると次は地下か...」
階段をゆっくりと下っていく。階段を下るにつれて壁の傷や血の量が増えていく。
「それに動物の死体も」
階段を下り、一つのドアに手をかけて開ける。そこには先ほどの風景とはあまりに異なる情景が写されていた。
「うっ...」
吐き気を催した春に夏目が肩に手を置く。目の前には大量の動物と人間が惨殺されている。あたりは赤一色で初めからその色であると錯覚できるほどである。漂う血と肉の匂いのみがこの赤は動物由来の物と教えてくれる。
「鏡崎春、お前は残れ。奥には俺と兄貴殿と行く」
「了解」
新沢と春が残り、夏目とDが向こうへ行く。庭の人間と組ませたのは監視のつもりなのだろう。
「しかし、気持ち悪い...」
「見たところ血が大量に出るように殺されてやがるな...」
死体の大半は首や胸に穴が空いている。そして大半は首から上が無い。血は奥に進むほど濃さを増していく。
「この先は居住スペース、緊急時の避難先のシェルターとは正反対の場所だ」
そう言い、Dが地面に手を当てる。
「今、かすかに何か動いた。これは...震えているのか」
「生き残りか...もしくは」
二人はゆっくりと歩みを進める。そして扉を開ける、血はさらに濃さを増していく。
「うっ...うっ...」
一人の男性が部屋の奥で泣いている。傍には何人かの船員の死体がある。
「違う...違うんだ...ぼくはこんなことがしたかったんじゃない...」
船員はむせび泣いている。だが、船員の小さくなった背中とは全く釣り合わないレベルの邪気のようなものが漂っている。
「お前...一体...」
船員がゆっくりと立ち上がる。頭には角が生え、両手にはいつの間にか鉈が握られている。
「ぼくは...ああ」




