蟲の影
「私と教授はマザーを片付けます。あなた方はここで雑魚の始末をお願いします」
「ご武運を!」
そう言って、二人は山の方へと向かっていった。二人を塞ぐように大量の羽虫が現れる。
「影魔法 影蜘蛛」
影で出来た蜘蛛から糸が出る。糸が虫を絡めとり、それを蜘蛛が捕食する。
「爛川さん任せましたよ、僕の魔法はこういうところには向いてない」
「言われなくてもそのつもりです...よ」
爛川は蜘蛛の量を増やす。大量にいた羽虫の数もかなり減ってきた。羽虫たちは恐れをなしたのか上空へと撤退していく。
「引きましたね。新藤さんたちがマザーを片付けたのでしょうか」
「いや、多分違うわね」
羽虫たちが集合し一つの形をなしていく。それは巨大な蟻のようであった。蜘蛛も糸を吐くが健闘虚しく全て千切られてしまう。
「あんたの出番よ、霧島」
「補助ユニット”雷電”起動!」
霧島の体が青白く光る。そして異常な速度で蟻へと向かっていく。そして蟻へと攻撃を仕掛ける、蟻も対応しようとするが全く追いつけていない。
「体術 五連掌」
蟻の腹部に攻撃を放つ、腹部から蟻を構成している虫が漏れ出てくる。蟻を構成している部位が崩れていく、そして虫がまた霧散し、新たに巨大な虫になる。今度は巨大な蜂になる。
「何度やっても同じこと、体術 紫電脚」
蹴りを放ち、蜂を撃破する。だがまた虫が形成される。今度は蜘蛛のようだ、虫の数はあまり減ってないように見える。攻撃の割りに全くあっていない。
「全くきりがないな」
「虫を攻撃して外に出して、影虫で片付ける」
「りょうかい」
霧島の口から血が零れ落ちる。身体に負荷をかけすぎた、だがまだ使うことができる。霧島は蜂に肉薄する。そして攻撃の構えをとる。
「最終体術 海千山千爆裂拳」
蜂から出た虫を虫が絡めとっていく。虫の原型が一瞬で見る影もなく崩れていく。
「これで最後!」
最後の虫を糸が絡め取り、虫を全て倒した。
「おう、そっちも終わっとるか」
「申し訳ありません。遅れました」
奥から鷹野と新藤が歩いてくる。
「いやー、済まなかった。マザーが思いのほか強かったのでね」
「報酬はなんとかするから心配はいらんぞ」
新藤が陽気に話す。
「そういえば、ここに住んでた人ってどこへ行ったんですか?」
霧島が尋ねる。
「元々この町は邪神を信仰していたんです。詳細は分かりませんが虫を用いて蠱毒を作り、不死になろうとしたようです。そして最終的に蠱毒を生き延びた虫になることで不死となろうとした、その証拠に虫の死骸を見て下さい、単一の種類のはずです」
見てみると全ての虫の死骸は全て単一の虫であった。
「彼らは禁術を使って自身の姿を変えたようです」
「迎えが来るまで暇じゃろう、ワシの家に来い」
そう言い、新藤は二人を案内する。
「ここが、マザーの居城か」
爛川達から分かれて少し経った新藤が巨大な繭を前にして発言する。繭はそんなことは我関せずというように一定のリズムで躍動を行っている。繭からは小さな虫が絶えず湧き出ている。鷹野は後ろで魔力を溜めている。虫はこちらに気づいたようで向かってくる。一部の虫は集合して巨大な蟲になる、あたりは一瞬で地獄、四面楚歌という言葉を体現している。
「鷹野、マザーを片付けろ。ワシは雑魚をやる」
「承知しました」
「爆発魔法 天鎖爆星」「空間魔法 個人的虹色計画」
虫たちは爆裂し、繭はその場から消えた。傍の椅子に新藤は座り込み、遠くを見据えて言う。遠くでは二人が虫と闘っていた。
「よし、あとは見物だ。あの魔法具はどこまでやれるかな」




