雨です。大雨です。
「雨ぇえええぇぇぇぇぇ」
「セシル様。お顔が大雨ですよ」
窓に打ち付けるように雨が降ってます。セシルの顔も同じくらい濡れてます。イネスが顔をふきふきしてくれます。
そしてセシルはお留守番の季節に入りました。来年は一緒に行けるよってみんなに言われましたけど、みんな行っちゃいました。そしたら次の日大雨です。セシルの心も大雨です。
「わんわーーーーん」
「くぅーん」
今回もアルファが一緒です。体をスリスリしてくれます。
「うおっ。今日も大泣き」
そう言って入ってきたのはルーシーです。顔にはアザができてます。お兄様たちと遊んでできたらしいです。今着てるのは従者さんのズボンでなく、騎士見習いのズボンになってます。シャツも荒い生地になってます。
「えっぐ、るーじーーー!!!」
袖で乱暴に顔を拭いてきました。痛いです!!ポカポカ殴っても全然こたえてないです。
「セシル姫って本当よく泣くよなー!!あはは痛くねーよー!」
「こら!ルーシー!」
ごつんっとゲンコツを落としたのはキララです。ざまぁみろです!!!ものすごく痛そうな音がしましたよ!
「いーーーーってぇええええ!!!」
「ふぇえええっつひゃあ!!るっーじー!!ふぇっえーん」
「お前、泣くか笑うかどっちかにしろよ!!変な声出てるぞ!!」
涙は急には止まらないんですよ!!!でもおかしいだからしょうがないんです!!悲しいけど楽しいです
「ひぃーーー!!」
ちょっと苦しいです。笑ったら喉に鼻水が!
「はいはい、セシル様落ち着いて!!はい、吸ってー吐いてー!」
イネスの背中トントンで落ち着いてきました。アルファにほっぺた舐められて顔がまたベタベタです。
「くーん。わふ」
なんでしょう、なんか呆れられたような鳴き声が聞こえました。
「ワンワン、のる!」
アルファは賢いです!セシルがいったらちゃんと背中を見せてくれました。よじ登って座れば完璧です。今日はお外に出れないので家の中を散歩なのです。
「セシル様、もうアルファに乗るのは」
アルファがゆっくり歩き始めました。
ルーシーがじーっとセシルのことを見てきますけど無視です!ルーシーの遊びは大変なんです。お兄様たちが無理して遊ばなくていいよって言いましたし。ルーシーの遊びはお兄様よりらしいですからね!
「お前は乗るんじゃないよ!ルーシー」
「えー」
「お前が乗ったら、アルファが動けないだろ。姫様だから乗せられるんだよ。それよりも乗馬をうまくなりな」
「げっ」
「ルーシーまだのれないのー?」
そうです、ルーシーはなぜかお馬さんに嫌がられてるんです。セシルは全然平気ですよ。お兄様と一緒に乗れるし、セシルだけ乗ると、なぜか他の馬さんたちに顔を舐められるのが謎ですけど。
数日続いた雨の後はカラッと晴れてお爺様たちがおうちに来ました。ルーシーとも時々遊んであげて、お勉強もしながらセシルは今年もお手紙を書いて送ってます。今年はクロエとルッツにも書いてます。
「ふんふんふん♪」
「うげ、よくそんなに書けるな。」
ルーシーがセシルのお手紙を覗いていってきました。むしろルーシーはなんで一文なんですかね?
「?いっぱいあるよ?」
「そうかー?」
ルーシーはお手紙以外にも何か書いてます。宿題らしいですけ。そして騎士の間にはレイモンがいるのです!
「レイ!モン!!」
ぴょんぴょんって飛び跳ねながらレイモンのところに行くと、ひょいって抱っこしてくれます。とっても楽しいです。
「姫様、今日も元気ですね」
レイモンはいかつくておっきいです。ライオンさんみたいなおヒゲが生えてます。お髭をびょんんびょんひっぱっても怒らないです。その後ろで騎士さんが驚く顔が面白いです。
「肩車ー!!」
「あははは、味をしめましたな。レオン様には内緒ですぞ」
「はーい」
お父様に知られたら、なんか面倒そうですよね。パパたち以外に抱っこされちゃダメーって前にニコラに高い高いしてもらってたら言われたんですよね。
「は〜あんたも甘やかしすぎだよ。」
キララが呆れ顔です。でもキララはおんぶして走ってくれるんですよね。訓練ついでにって言って夕方走ってくれたりします。とっても楽しいです。
「ずりー」
ルーシーが羨ましそうに見上げてます。
「ルーシーもやるか?」
レイモンがにやりって顔でルーシーをみたら、全力で顔を横に振りました。どうしたんでしょう?
「ルーシーも乗る?」
「いいいいい!!!親父ぜったいなにかするからいい!!やっぱいい!!」
あらら、ルーシー逃げちゃいました。
でもルーシーは時々セシルをおんぶしてくれます。ちょっと寂しくって泣いちゃうと、しょうがねぇなって言っておんぶして中庭をトコトコ歩くんです。
なんだかキララみたいです。一回そう言ったら、怖い目にあったのでもう言わないですけどね!
そして今年はまた雨です。
「あめー」
「雨ですね。」
イネスも怪訝そうに窓の外を見てます。
「頭痛いーイネス〜」
「そうですね。こう雨が降ってしまうと、セシル様にはお辛いですね。大旦那様たちのところで今日は過ごしましょう」
イネスは用意してたお洋服をしまって、なんだかキラキラした赤いドレスを出してきました。
「派手ー」
「本日はこちらの方が良いですね。これは奥様の魔石がついてるんですよ」
「ママのー?」
そう言って着せてくれたドレスは、きた途端ちょっと楽になりました。そして抱っこしておじいさまのところに連れてってくれました。おばあさまはお出かけ中らしいです。
「セシルは体調が悪いのかな?」
お爺様が抱っこしてくれました。
「頭痛いーだるいー」
グリグリおでこをお爺様の肩につけたらなんだかちょっとだけ楽になりました。
「んーこれは水のマナが多すぎるせいじゃな。よしよし、ルーシーも呼びなさい。なるべく大人のマルディ族の騎士を一人用意しよう」
お爺様が呼ぶとルーシーも元気なさげにきました。
「今日は二人とも、この部屋でおとなしくしていなさい。」
「はーい」
「うん」
お爺様はセシルとルーシーの頭をぽんぽんして出て行っちゃいました。入り口には騎士さんが立ってます。アルファも来てくれました。イネスはシャンデリアに赤石をつけてます。
「キラキラ〜」
「イネス姉ちゃん、大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。何かありましたら私もわかりますし、騎士様もいらっしゃいますからね。」
そういうといつもと違ってイネスは窓側に椅子を持ってきて座りました。
ルーシーも辛いみたいで、一緒に積み木を積み上げて遊びます。
「これじゃ、王都みたいじゃないか」
「おうと?」
「おう、水のマナが多いだろ?俺たちには毒なんだよ」
「ママたちは王都に行ってるよー」
「そりゃー制御ができるからだろ?」
「制御??」
うつらうつら喋ってお昼を食べたらお昼寝をしました。いつもしないルーシーも一緒です。
「まー俺が一緒だから大丈夫だ。安心して寝ろよ」
「ルーシーも寝るんでしょ?」
「おう」
「変なのー」




