セシルの肺活量は万全です。
目が覚めたらヴィルジニー姫と一緒に夕飯が食べれました!やりましたー!夜は絵本も読んでもらえました。次の日には帰ってしまいましたけど、セシルは満足です。ちょっと泣いちゃったけど。
「まさかの、ライバル出現・・・」
アランお兄様が真剣な表情で呟きました。
「アラン様・・・ヴィルジニー姫は、義理の妹になるかたですよ?」
エメが呆れ顔で言いました。
「俺の婚約者がまさかのライバル認定?!」
ウジューヌ兄様も驚いてます。
「冗談だよ。みんな焦りすぎ」
にっこり微笑むアランお兄様と、怪しむ周りの人たちという不思議な空間になりました。セシルは困ったので、バルナベの足にしがみつくことにしました。
「?」
「たかいたかーい」
「かしこまりました。」
さすがバルナベです。すぐにセシルを抱っこしてくれました。
「って目を離してる隙に、セシル。なんでバルナベに抱っこされてるの?」
アランお兄様が見上げてきました。
「たかーい」
両手あげてばんざーいです。目線が上がると見え方が変わっていいですよね。ヴィルジニー姫が乗った馬車はもう見えなくなっちゃいました。
お母様たちはなんだかホッとした様子です。あれですね、気疲れってやつですね。
ちなみに、アランお兄様はどうやら婚約者候補のお姫様たちと適度にお友達になって決めるそうです。お父様はとりあえずって言いながら、セシルの両方の頬をなでなでするのをやめてほしいです。お話ししながら、なんでセシルの頬を撫で回すんでしょうか。
「たぶん、イライラするのを抑えるためじゃないかな。セシルの頬を触ってる限りは手を出さないだろうしね。自制してるんだよ」
って教えてくれたのはエドガーお兄様です。
「ほう。じせい?」
「そう。でも、そのせいで次は僕の番らしいだよね〜来年あたりから僕の婚約者候補を探すんだってー」
そう言いながらエドガーお兄様はセシルのお腹をモミモミしてきました。やめてください。お腹はだめです。ペチペチ叩いてもやめてくれません。
「へーエドガーお兄様もこんにゃくしゃできるの?お腹は嫌なの」
「ウジューヌお兄様みたいに順調にいけばね。セシルのお腹やらかくてきもちいんだよ。ごめんごめん抓らないで」
そう言いながらセシルの頭をなでなでに切り替えてくれました。。
そんな感じで過ごしていたら、またセシルだけお留守番の時期にはいりそうです。屋敷内の荷造りが始まったのです!!
そう。セシルだけお留守番。
「いぃぃぃぃいいぃぃぃいいやぁぁぁぁぁあぁぁぁぁだぁぁぁああああぁぁぁああ!!!!わぁぁぁああああん!!」
お兄様たちを見つけてしがみつこうとするとみんな逃げます。やっと見つけたウジューヌお兄様の腰にしがみついてお願いすることにしました。
「セシルもいくのぉおお!!セシルのお荷物もいれるのぉおお!!!」
「セシル・・・」
ウジューヌお兄さまが腰から剥がそうとします。セシルは今ウジューヌ兄様の腰にしがみついてるんです。意地でも剥がれませんよ!!!
「セシルもう行けるもん!!!魔法も上手に使えるもん!!!!おうとにぃ行ってもぉおおおお平気だもおおおおん!!」
「ダメだろ。俺に言ったってだめだって。耳がいてぇー」
「ウジューヌにいいさまああああああ!!」
「はいはい」
「ジーナお姉ちゃんに言っちゃうよ!!意地悪するって!!セシルもジーナお姉ちゃんと おうと で遊びたい良い!!!」
「うん。王都の意味わかってないな」
はぁっと大きなため息ついてウジューヌ兄様がそのまま歩き始めました。
「ずるいいいのぉぉおおお!!ウジューヌ兄様も残ればいいいのぉぉお!!」
「ダメだろ。学園があるし。むこうで…」
お兄様が何か想像して楽しげです。ずるいです。やっぱりヴィルジニー姫と遊ぶんです。セシルも遊びたいです。誰かに協力を仰がなければ!!そうだ!
「うわぁぁぁ。あああ!!!ルッツにいってやるーーーー!!」
「何でそこでルッツ何だよ。てか鼻水を俺の服で拭くなよ」
「ウジューヌ兄様の悪いお友達ぃいいい!!」
「すごい覚えられ方だな」
ウジューヌお兄様にしがみついてたら、誰かに腰を掴まれました。
「お?」
「セシル」
「パパ!!!」
なんとお父様です!!パッとウジューヌお兄様から手を離せば、そのまま抱っこしてくれました。
「パパ〜!!セシルはもうおうとにいけるのぉー!!」
がっつりと首にしがみつきました。これでしばらくは剥がされないです。
「んーそっかー困ったなー」
背中ぽんぽんしながらお父様が歩き始めました。
「セシルいい子にするから、おうとにつれてってー!!セシル自分でお荷物まとめるから!」
「そっかーそっかー」
「・・・パパきいてる?」
「聞いてるよ〜」
お父様の顔をたらニコニコ顔です。
「パパ?」
「でもなーパパは、セシルが寂しくないようにお友達を呼んじゃったんだよねー」
「ん?お友達?クロエ?!クロエ来るの?!」
「セシルの言ってるクロエは、クロエ・カンズかな?セシルの一個上のお姉さんだよ」
「うん。」
「そのお姉さんは・・・今年は来れないんだ。だから代わりに、セシルと一緒に遊んでくれるお友達が来るんだよ」
なんと、クロエは来れないそうです。じゃー誰が来るんでしょう?
「会ってみるかい?」
「いるの?」
「いるよ、じゃー会ってみようか」
そう言いながら連れてきてくれたのは、騎士の間です。そこにいたのはいつもの騎士さんに、普段はいない人がいました。
「レイモンおじちゃんだー!」
団長のレイモンがいました。その後ろには女性と子供もいます。
「セシル姫。お目目がまっかですな」
「さっきまで大泣きだったからね。まぁ聞こえてただろうけど」
「はははは!いい声でしたな!」
なんと、セシルの声がここまで聞こえてたみたいです。ちょっと恥ずかしいですね。
「それでね、セシル。私たちがいない間、セシルと一緒に遊んでくれる友達をレイモンが連れてきてくれたんだよ。」
「セシルと?」
「そう、レイモン。紹介を」
「はい、私の妻と息子です。」
そう言って、後ろにいた二人が前に来ました。
団長さんの奥さんは肝っ玉母ちゃんみたいな感じです。というかガタイが良いです。
「はじめまして、セシル姫。私はキララと申します。姫様の身辺警護も努めますのでよろしくお願いしますね。」
ちょっとダミ声で怖いですけど。にかっと笑った笑顔は豪快な感じがして楽しそうです。
「ルーシーです。今年、8歳になります。」
セシルの顔をじっと見ながら言ったルーシーは単発に顔に傷がついてる男の子です。服もちょっと汚れてます。
「おとこのこ?」
「セシル、ご挨拶はできるかな?」
「セシルです。今年5さいになります」
「ふーん」
そう言うと、ルーシーがセシルの頬を摘みました。
「変な顔〜」
「?!」
「こら!ルーシー!!」
キララのゲンコツがルーシーに落ちました。すごい音がしましたよ。びっくりです。
「いてっ!!!」
「姫様に向かってなんてことするんだい!!」
「んだよ。可愛いのに泣いてるからいけないんだろ!」
「???」
謎な理由です。セシルは訳も分からずお父様のほうに振り返りました。お父様はすでにいないです。
「パパがいない!!!置いてかれた!!!」
「うるせー。てか、セシル姫ってそんなに王都に行きたいの?」
「?いきたいもん。お兄様達みんな行っちゃうんだもん!」
「あんなところ、くそつまんねぇーよ。水のマナばっかりだし。息苦しいぜ。こんな住みやすい土地にいるのになんであんな嫌な場所に行きたがるんだよ」
え、どう言うことでしょうか?キララが怒った顔で拳が落ちる前にルーシーがセシルの手を掴んで走り始めました。
「こら!ルーシー!!!」
「俺はセシルの遊びががりなんだろう!!遊んでくるー」
「え??」
つんのめりながら、なんとかルーシーと走ってると後ろからまたキララの声がしました。
「中庭以外に出るんじゃないよ!!!!」
「わぁっってるってー!!」
「ええええ???」
そしてついたのは、中庭でした。
「よし、遊ぼうぜ」
セシルよりも堂々と中庭で宣言しました。あれ?ルーシーは初めてうちにきたんですよね?
「ルーシー」
「ん?なんだ?」
腕まくりしがら聞いてきました。もう遊ぶ感じですか?
「何して遊ぶのー?」
セシルはびっくりしながら、ちょっとだけ見上げながら聞きました。身長はジョゼフお兄様よりも大きくて、エドガーお兄様くらいでしょうかね?ルーシーが固まってます。じーっと見てたら、なんだか頬がほんのりと赤くなってます。熱でも出たんでしょうか?
「・・・セシル姫かわいいな」
ルーシーが何か呟きました。なんだか真顔で怖いです。
「?」
「まぁ、なんだ、その。庭で追いかけっこしようぜ。」
「いいよー」
*
「なんというか、子供の順応能力ってすごいですね。」
イネスは、中庭で唐突に始まった二人の追いかけっこを見ながら呟きました。さっきまで大泣きしてたセシルは今は楽しそうに大声で笑っています。
「イネスちゃん、ごめんねーうちのバカ息子が」
キララが苦笑しながらやってきました。
「いえいえ、セシル様が遊びに夢中になってる限りは、忘れているので大変助かります。」
「あははは、そりゃー良かったよ。うちの子は逆に王都に行きたがらなくってね、。」
「これから、よろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくね。まぁー来年大変なのはうちの息子だけどね」
「?」
「うちの息子は王都が嫌いだからね、ちょうどよかったのよね。今年は頑として行かないって言い張ってたから、どうしようっと思ってた時にこの話がきたからね。」
にっこりとウィンク付きでキララが言いました。
「そうだったんですね」
そんな風に会話している二人とは変わって、兄達は先ほどまで聞こえていたセシルの鳴き声が、笑い声に変わっていることが気になって仕方がありませんでした。
「セシルが馬鹿笑いしている。」
エドガーは手元から視線を外さずに聞きました。
「ジョゼフ、宿題終わったの?」
「まだ、でもさ、さっきまでウジューヌお兄様に絡んでる叫び声だったのに笑ってるよ?」
「そうだね」
「さて、僕は終わったから様子を見てくるよ。ついでに勉強から逃げ出したウジューヌも捕まえないといけないし」
「アランお兄様、ウジューヌお兄様が優先だと思います。」
「エドガーは真面目だねー」
アランは苦笑しながらエドガーの頭を撫でました。
「ぼ「ジョゼフはまだ宿題終わってないだろ!」」
「ぶーーーエドガーお兄様のけちー」
「ははは、じゃーね。ジョゼフ宿題終わらせたら中庭に集合だよ」
「はーい」
アランが部屋を出て中庭を覗きに行くと、セシルが知らない男の子と遊んでいました。周りを見渡せばイネスと、レイモンド団長の奥さんを見つけました。
「イネス、それにキララも久しぶり」
「アラン王子。お久しぶりです。大きくなられましたね。」
「まぁね」
「アラン王子、授業は終わられたんですか?」
「うん、終わったよ。それよりセシルと一緒に遊んでる子は?」
「私の息子になります。名前はルーシー、セシル姫遊び相手として、ゆくゆくは従者か護衛にでもというお話です。」
キララの言葉に、アランはちらりと中庭で遊ぶルーシーを見ました。
「・・・ふーん。」
「アラン王子。笑顔が消えてますよ!」
イネスに突っ込まれて、アランはにっこりと微笑みました。
「かわいい妹に悪い虫がついたのかと思ってね」
その返しに、キララは苦笑しました。
「溺愛しているとは伺ってましたがこれほどとは、なんというか血は争えませんね。旦那様そっくりですよ」
「そう?」
アランは軽く答えながらも、中庭へと進んで行きます。
それに慌てたのは、ちょっと離れた場所で付き添っていたエメです。
「え?アラン様、ウジューヌ王子を探しに行かないと」
「大丈夫大丈夫。バルナベが探しにいったからそのうち見つかるよ」
そう言って中庭へと向かってしまいました。
「セシル」
アランが呼びかければ、すぐにセシルは振り返ります。
「アランお兄様!!!」
きゃーっという叫び声と共にジャンプして抱きついてきました。
「セシル、僕に遊んでる子を紹介してくれるかな?」
「うん。いいよー!ルーシー!セシルのお兄様だよー」
セシルはニコニコ顔で中庭にいるルーシーを呼びました。
「何?セシル姫のお兄さん?」
木の上からぴょこっと顔を出したルーシーは抱っこされているセシルを見てちょっとだけムッとした顔をしました。
「ふーん。君がルーシーか」
「・・・初めまして。ルーシーです。」
「初めまして。セシルの一番上の兄のアランだ。よろしくね」
セシルを片腕に抱っこしたままルーシーと握手しました。
「・・・強そう」
ルーシーの声にセシルがすぐに反応しました。
「アランお兄様は一番強くて格好良いいんだよー!」
「ふふふ、ありがとう」
アランはご機嫌なセシルの頬に軽くキスをしました。
「ふーん」
「僕の妹をよろしくね。」
アランが言えば、ちょうど目の前にウジューヌが落ちてきました。
「うわっと!!あぶねー」
受け身をとってごろごろと地面を転がり落ちた後にはバルナベがすたっと着地しています。
「あーバルナベだ!もしかして、ウジューヌお兄様逃げてる?」
「正解だよ。セシル」
「げ、アラン兄様。っと誰だこいつ」
ウジューヌはすぐにルーシーに気づきました。
「セシルのお友達ーパパがよんだのーセシルと遊ぶのー」
「・・・へーってバルナベ!空気読めよ!」
油断していたウジューヌにバルナベが後ろから羽交い締めにしました。
「油断大敵です。では、アラン様。ウジューヌ王子を勉強部屋に連れて行きますね」
「あぁ、よろしく」
「ええええ!!アラン兄様!!そこは、俺と一緒にそいつを確認したほうがいいじゃん!!兄としてさ!!」
「それは、エドガー達が来たらやるからいいよー」
二人のやりとりにセシルは何がなんだかわかっていません。二人のやりとりに、イネスとキララは苦笑してしまいました。
「んー兄王子達もなかなかにシスコンだわね」
「そうなんです。」
キララの言葉にイネスは笑うしかありません。




