セシルは癒しグッズじゃないです!
「セシル姫、少々お時間をいただいても良いですか?」
そう声をかけてきたのはお父様の執事、ニコラです。思わずイネスと顔を見合わせちゃいました。
「大丈夫だよ?」
「それは、よかった。急ぎますので抱っこさせていただきますね」
そう言うとニコラに抱っこされました。初めてです。イネスもびっくりな様子ですが一緒についてきてくれます。ニコラが向かったのは、普段セシルが入っちゃダメだよって言われてるお父様のお部屋です。
ニコラが扉をノックするとお父様の声がしました。
「レオン様、セシル姫をお連れしました。」
「え?!セシル?!」
「開けてもよろしいですか?」
「まて!!眉間にしわ寄ってるか?」
「まだ寄ってますね」
パパの従者の声です。何かボソボソ話してます。
「・・・よし!いいぞ」
お父様が許可するとニコラは扉をあけて入っていきました。
「おぉー」
落ち着いたお部屋の中は本がいっぱいです、そしてインクと紙の匂いばっかりです。お父様は前と違って怖くないです。
「セシル〜」
「怖くないパパだー」
お父様がぎゅーって抱っこしてくれました。
「いつものパパだー!」
「セシル〜!!こないだはごめんよ〜ちょーっとアランが悪いことしたから、パパ久しぶりに怒っちゃっただけなんだよぉ〜もう怖くないからね〜」
「そうなの?」
お父様が頬ずりしながら言ってますけど、最近のお父様はちょっと怖い雰囲気ばっかりで、近づけなかったんです
「あぁ〜セシルはかわいいな〜癒しだな〜」
なんか最近、みんなそういって抱っこしてきますね。セシルは癒しグッズじゃないんですよ。それにしても、みんな疲れてるんでしょうか。パパも目元にクマができてます。
「パパ〜疲れてるの?」
頭をなでなでしてあげたら、お父様はとっても喜んでくれました。
「セシル〜優しいな〜。本当、セシルはいい子に育ってパパは嬉しいよ〜」
そう言いながらパパは頬にキスしてきました。ちょっとくすぐったいです。あとしつこいです。
「うー」
顔をペチペチ叩いても、お父様は嬉しそうです。
「あ〜可愛い〜可愛い〜、おててがちっちゃいなー」
「パパの手はおっきぃの!」
「そうだねー」
お父様がいつものお父様になってます。ニコニコ笑顔です。
コンコンって叩く音と一緒にお母様の声がしました。
「貴方、いらっしゃる?」
「ん〜今はいないよ〜」
お父様がそう返事しながら、セシルをお膝に乗せておててニギニギしながら遊んでます。
「いるじゃない」
お母様が呆れた顔をしながら入ってきました。
「今はセシルに癒されてる最中なんだよ〜ねーセシル」
「ねー?パパと遊ぶの久しぶりなのー」
「そうだね。そうだよ〜〜パパだってセシルと遊びたいだよ〜」
「はぁ、アランが荒れてるのよ。貴方。」
「・・・」
「パパ、こわいぃ」
「はっ!!!ごめんねーセシル〜怖くないよー怖くない!あぁ〜パパ達と一緒にねんねしようか!」
「パパ達と!いいよ!!」
「貴方!・・・もう、しょうがないわね」
「シュゼットもセシルに癒されたいだろ?」
「そうね・・・あ〜セシル〜」
お母様がセシルごとお父様に抱きつきました。
「はははは!!セシルはモテモテだな〜」
「もう〜昔はアランも可愛かったのに、どうして今はあんなに腹黒いのかしら、ねーセシルの前だとキラキラ王子のくせに、ママの前だと黒い笑顔するのよ、ひどいわよねー」
「ねー?」
「はははは!俺なんて、笑顔どころじゃなくにらみ合いだったぞ〜パパも怖かったぞー」
「嘘おっしゃい」
お母様がお父様のおでこをぺちんって叩いてます。とりあえず、お父様もお母様もアランお兄様で疲れてるみたいですね。でも、アランお兄様も最近セシルに抱きついて癒し〜って言うんですよね。謎です。
「もう、エドガーの婚約者候補を探した方が楽な気がしてきたわ。」
「そうだなー。」
「でも、あともう一件はお茶会に出てもらわないと、はぁ」
「いっそのことセシルを餌に連れていくか」
「・・・そうするしかないかしら」
お父様とお母様は代わる代わる、セシルの頭を撫でながらお話し合いしてます。セシルなんだか眠くなってきちゃいます。
「旦那様、決済の資料です」
「ん?」
あれ?騎士さんが書類を持ってきました。
「あら・・・」
お母様はニコラにお茶の用意を頼んでます。セシルはなぜか、お父様の机に移動してお膝に乗せてもらえました。
「およ?」
セシルの前に書類の束が置かれると、その紙にお父様がサインしていきます。
「ぐちゃぐちゃー」
「パパだけのサインだから真似できないよに書いてるんだぞー」
「セシルも真似できるよー」
お父様を見上げて言ったら、ニコラが紙と手が汚れないように紙を巻いた木炭を渡してくれました。
「セシル姫、こちらを」
「おー、みてみてーー」
セシルってグリグリ書いて、お花に、ハートも書いちゃいます。
「セシルのサイン!」
「んー!!かわいいな〜!!」
お父様がサインしながら、セシルの頭に頬ずりしてきました〜揺れます〜。またノックの音がしたら、別の騎士さんがきました、なぜかガッツポーズしてます。そしてすかさずまた紙をお父様に出しました。
「レオン様!これも!」
「うんうん。いいぞー」
「セシルも、パパの横にサイン書きたいー」
「んーこの紙にだめかな〜」
お父様のサイン、全部一緒です。どんどんカリカリ書いていきます。
「はやーい」
「すごいだろー」
「貴方、ちゃんと書類読んでちょうだい」
お母様がお茶を飲みながら言いました。ちょっと呆れ顔です。
「読んでるよ〜ねーセシル」
「セシル読めないー難しいーじがいっぱーい」
お父様が読んでる横でセシルも読んでみましたけど、難しいです。待ってる騎士さんはなぜかセシルを見てます。
「姫様かわいい、ニコラさんナイスです!」
「いえいえ、時にはセシル姫をお呼びするのも仕事効率がよくなる事がわかりましたので」
「次回もよろしくお願いします。」
なぜか騎士さん達とニコラが手を握り合ってます。
セシルはちょっと暇です、お母様に手を振ると振り替えしてもらえました。机に隠れてばぁって顔を出してみたり、お母様の方にイネスに教わった飛行機を折って飛ばしてみたりしてたら、横で紙のお山ができていました。
「セシル〜かわいいな〜」
「姫様はおとなしいですから、安心して執務室に入れられますね」
ニコラがそう言いながらお菓子をくれました。やりました〜!美味しいクッキーです。
「癒される〜レオン様の執務室なのに癒される〜」
騎士さんも変なこと言ってます。
「よし!終わった!仕事おわった!セシル〜パパと遊ぼう!」
「お?」
「それがまだあるのよ。貴方、セシルお疲れ様。また後でね〜」
そう言ってお母様がセシルをぎゅーって抱っこしてから、イネスを呼んで渡されてしまいました。お父様は悲しそうです。
「セシル〜」
「パパ〜またねー。お仕事頑張ってね!」
「がんばるよ〜〜!」
お父様とお母様は何処かに出掛けちゃいました。
「セシル様、旦那様の執務室はいかがでしたか?」
「んとねー騎士さんがいっぱいきたよ。あと紙がいっぱい。あ!セシルねパパみたいにサインかけるようになったよ。ほら!」
イネスにさっき書いたサインを見してあげました。
「まぁ!可愛らしいサインですね」
「えへへー!」




