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武闘派のセシルは清楚可憐な姫様になりたい   作者: siro


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アランお兄様って?

「セシル」

アランお兄様に呼びかけられて振り返ると、お兄様一人です。エメもバルナベもいません。

「あ、アラン王子」

イネスが焦ってます。

「アランお兄様ー!抱っこ!」

「僕と一緒に遊びにいこうか」

「アランお兄様と!行く行く〜!」

「い、いけません。本日は」

イネスが焦ってます。どうしたんでしょうか。あれ?遠くの方でお兄様を呼ぶ声がします。

「じゃぁね、イネス」

アランお兄様が笑顔で言うと、廊下の窓を全開にして飛び降りちゃいました?!イネスが大きな悲鳴をあげてます。そして

「エメさん!!!バルナベさん!!!アラン王子が!!!!」

「およ?」

 なんだろう、デジャブを感じます。というか、アランお兄様も窓から出るタイプだったんですね。ウジューヌお兄様と違って、安定感があってそんなに怖くないです。

「どこに行こうか、セシル。お外に出たら流石に怒られるから、安全なお庭で追いかけっこかな〜」

 お屋敷から離れて、馬小屋にきましたけど、屋敷内ではなんか騒がしいですよ。しかもアランお兄様を呼ぶ声が聞こえます。いつもだったらこれは、ウジューヌお兄様の名前なのに、ちらりと見上げてもアランお兄様は笑顔で馬に鞍をつけると、セシルを乗せてその後ろにお兄様も乗りました。

「アランお兄様?」

「よし、セシルちゃんと捕まっててね。追いかけてくるからね」

にっこり笑顔でアランお兄様は馬の腹を蹴ると走り出しました。お兄様にしがみつきながら、後ろを振り返れば屋敷からは騎士さんとお父様が出てきてます。

「アラン!!!!」

「パパが怒ってる。」

 顔を真っ赤にして鬼のような形相です。セシル初めて見ました。とっても怖いです。ジョゼフお兄様に怒ってる顔よりもっと怖いです。セシルにはあんな怖い顔で怒ったことないです。

「あははは、真っ赤っかで怖いねー、大丈夫だよ〜お父様はセシルにはあの顔で怒ったりしないから」

 あまりの怖さにプルプル震えてたらお兄様が優しく頭を撫でてくれました。あれ?ということは、今お父様はアランお兄様に怒ってるですか??なんで平気な顔をしてるんでしょう。

後ろから騎士さん達が追いかけてきてます。もちろんお父様も。


「ほら、追いかけっこが始まったよセシル。どのくらい逃げ切れるかな」

「ええええ?!」

 お兄様の言ってた追いかけっこってこれですか?!怖すぎるですけど!というかお兄様が怒られることなんて初めて見る気がします。

「アランお兄様?セシル一緒に謝るよ??どうちたの?」

「セシルは優しいな〜。」

そう言いながら、アランお兄様は林の中に突っ込んでいきました。速度を落とさず木の間をスイスイ避けながら進んでいきます。

「おーーーー!!」

なんだか木の方が避けてるみたいに見えるほどです。すごいです。林を抜け切ると、そこは小さな湖がありました。そこでお馬さんを止めると、水を少しのませて少し休憩だそうです。

「どう?セシル、僕の腕前は」

「すごかったのー!」

「でしょー」

「久しぶりにアランお兄様とお外で遊んでるー」

「そういえば、そうだね。最近はお互い授業が増えちゃったからねー」

 そうなんですよね。お勉強の時間が増えて、お兄様達全員と遊べるきかいが減りました。特にアランお兄様は忙しそうです。セシルとちょっとお話とか抱っこして、充電〜って言ってからまた授業です。


「ウジューヌの婚約者が決まったんだから、僕のことは気長に待っててほしいのにねー」

「ん〜?」

「っと、そろそろ追いついてきたみたいだな。」

 お兄様が林の方をみて、また馬を走らせ始めました。そして思ったのですが、アランお兄様は逃げるのがとても上手です。ウジューヌ兄様よりも素早く巻いてしまいます。通りでお兄様を追いかけるのが騎士さんなのかわかります。従者じゃ無理ですね。セシルはまだ乗馬を習ってないですけど、お兄様は相当すごい腕前なんだと思います。小高い生垣のある場所も難なくジャンプさせるし、騎士さん達も同じように追いかけてくるんですけど、何人かは速度が落ちるし、生垣をうまく飛べないお馬さんもいました。お父様も難なく追いかけてきますけど、やっぱりちょっとスピードが落ちます。

「おー」

お兄様の顔は、普段見ないほど真剣な顔でお馬さんを操ってます。とってもかっこいいです!


でも、そんな追いかけっこも平原に出た瞬間

「アラン!!!いい加減にしないか!!!」

お父様の怒鳴り声と共に炎の火柱がたちました。

「ひぃい!」

「ちっ!」

 アランお兄様の舌打ち!!今、舌打ちしましたよね!!お馬さんの方向をくるっと変えて、隙間のある火柱に対してお兄様まで火柱を立てて無理やり隙間を広げ始めました。でも、その先には先回りした騎士さん達が駆けつけてます。

「ここまでだ!」

そう言ってお父様は怖い顔で剣をお兄様の肩に突きつけてます。

「ぴぇ」

「はっ!セシル?!」

お父様がびっくりした声でセシルと目が合いました。

「パパ、おこっちゃやだーこわい〜」

 すごく怖い顔です。セシル泣いちゃいます。アランお兄様はセシルを抱きしめてくれました。

「大丈夫だよ、お父様はセシルに怒ってるわけじゃないからね〜」

「そ、そうだぞ〜セシル〜泣くな〜パパはアランに怒ってただけだからな〜」

「こわいーーーわーーーん」

無理ですー!!!お父様の怖い顔は間近で見れないです!!眉間にまだシワが残ってます〜!怖いです

「あ〜ごめんよ〜ちょーっとパパ怖い顔しちゃってたかな〜あ〜セシル〜」

「わーーーん!!!」

「と、とりあえず戻るぞ。セシル〜パパのところに「やだー怖いー」」

アランお兄様にしがみついちゃいます。無理です怖いです。ちびりそうです。


「そうだよね、お父様は怖いよね〜」

「アラン、おまえ・・・」

「わーーー、怖いーパパじゃないー」

怖くって泣きながら戻ったらお母様が待ってました。

「ママ〜!!パパが怖いー」

「あらあら、貴方」

「違うんだよ〜アランがセシルを連れ出してたんだ」

「だから、言ったでしょ。イネスがアランがセシルを連れて外に出たって」

お母様が呆れながらアランお兄様からセシルを抱きしめてくれました。

「全く貴方達は、妹のセシルを盾にするなんて。怖かったわね、セシルもう大丈夫よ〜」

そう言いながらお母様がよしよししてくれます。怖かったです。お父様とっても怖かったです。赤鬼みたいに怖かったです。

「アランも観念して、お茶会に行ってきなさい。急いで馬車を走らせれば、まだ許される範囲での遅刻ですからね」

「・・・わかりました。」

「せ、セシル〜」

「貴方も、少し落ち着いてからじゃないと、眉間にシワがよってるし。お茶会!」

「はい」

 お父様とお兄様はお茶会に行っちゃいました。セシルはお母様によしよしされながらおやつの時間です。そこにお兄様達がきました。


「久しぶりにお父様が激昂してるのみたけど、どうしてセシルが泣いてるの?」

エドガーお兄様が不思議そうに聞いてきました。

「パパ怖かったのー」

「怒ってるお父様の顔をみちゃった?確かにお父様怒ると怖いよね、今日は僕の時以上に怖い顔だった」

ジョゼフお兄様も怖い怖いって言いながらお菓子をつまんでます。

「アランもセシルを盾に使ったのよ。もう、そのせいで間近にレオンの怒り顔を見ちゃったのよね。セシルは」

「ごわ、ごわかった。ひっく」

「あーお父様はセシルを連れてくと、怖さ半減するもんなー。俺もやってたけど」

「そういえば、そうだね。」

「貴方達は・・・セシルは何も悪いことしてないのに、やめなさい」

お母様が順番にお兄様の頭をセンスで叩いていきました。

「いて」「いて」「いて」っと音階みたいに聞こえます。


「それにしても、久しぶりにアランお兄様の逃走をみたなー。やっぱり、兄様の逃げ足早いよね。見たか?精鋭の騎馬隊つかったぜ」

「みたみた!!しかも1時間くらい逃げ廻ったよね!!すごい!!」

「セシルは一緒に馬に乗ってたんだよね、どんな感じだった?」

「ヒック、ヒック、・・・ウジューヌお兄様より上手!木がね!避けてく!!」

「木が避ける?」

「スピード落とさず駆けてくのか?」

「そんなことできるの?」

「んーーー」

お兄様達は何か議論し始めました。セシルはお母様にあーんしてもらって慰めてもらいます。

「どうして、お兄様達はセシルを連れてくの。セシル、パパが怖かった」

「はぁ、アランも結構悪知恵が働くのよね〜」

お母様はため息をつきながら頭を撫でてくれます。

「だって逃走経路は大体アランお兄様から教えてもらったしな。俺」

なんと、ウジューヌ兄様の逃走経路はアランお兄様直伝だったんですか?!

「そうでしょうね。アランが使ったことある経路ばっかりだもの。」

「・・・アランお兄様って悪戯っ子だったの?」

「「ん〜・・・」」

なぜでしょう、みんな頭を悩ませ始めました。

「アランお兄様ってそつなくこなすよね」

「確かに、何かに躓いてるのって見たことないかも」

「強いて言えば、今の婚約者探し?」

「てか、なんでアラン兄様はってあんなに嫌がってんだ?適当に決めそうな気がしてたのに」

「僕もそう思ったー」

「お茶会参加者はある程度、公爵家にふさわしそうな人を集められたんでしょ?」

「おう、ちゃんと俺と兄様で別れてたからな。」

「アランお兄様なら、その中の女性選ぶかと思った」

お兄様達の言いようにお母様が頭を抱えてます。

「ママ、大丈夫?」

「セシル〜大丈夫よ〜。あ〜癒しだわ」

そういうとお母様がぎゅーっと抱きしめてくれました。最近こういうの多くないですかね?

「お母様大丈夫?」

「お母様、アランお兄様ってセシル基準で選んでないかな」

「え?どういうこと?」

「ほら、セシルが乱入してさ、お茶会がまー楽しいお茶会になったけど、そん時お兄様の所の令嬢はみんな表情はあまり変えなかったけど、あんまり良い顔はしてなかったんだよね」

「まーあれは此方の落ち度ですからね」

はう!そんな、セシルが怒られたお茶会の話を今するんですか!

「俺の所は、セシルの登場で兄弟の話になって面白かったけど。お兄様の所は教育の話になってたから」

「あー・・・そういうことね」

お母様が何か納得した様子です。セシルは大人しくしてますよ。えぇ、いっぱい怒られましたから。不用意な発言はしない方がいいのです。もぐもぐとお菓子を口の中に入れるのです。


「セシル様、食べ過ぎです。」

イネスが小さな声で注意してきました。

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