こんにゃくしゃは優しいお姉さんです。
机の下で右往左往しながら、とりあえずアランお兄様の場所にバルナベがいるのでウジューヌお兄様の場所にダッシュです。ドレスの壁をくぐり抜けてお兄様の足にしがみつけば、お兄様の手がテーブルの下に入ってきて、指でばってんしてきました。と言うことは、今お兄様のところに誰かがいる可能性が!
「そんな怖い顔で睨むなよ。セシルはこっちにきてない、きっと机の下を右往左往してるんだろ」
ウジューヌお兄様の声です。
「ウジューヌ王子もセシル姫の味方ですか。流石に私には机の下に潜り込みセシル様を確保する、と言うことはできませんからね」
バルナベが淡々と言ってます。
「そうだな、それはそれで面白いけど」
「ウジューヌ王子・・・」
どうしましょう。悪巧み天才、ウジューヌお兄様にしかこの状況は打破できないと思うんですよね。だってアランお兄様はきっと捕まるのをみてるだけです。あとで慰めてくれるけど。ウジューヌお兄様の足にひっついてたら、テーブルの外で足音がします。
「ふふふ、懐かしいですわ。私も兄達とよくテーブルの下に潜り込みました。」
ウジューヌお兄様の横に座ってたお姉さんが楽しげにお話しし始めました。
「へーヴィルジニー姫は以外とおてんばなんですね。」
「ウジューヌ王子のようにいたずら好きな兄がいましたので、よく母のお茶会に忍び込んでばれずに戻ってくる、というお遊びをしていましたの、もちろん協力者は必須でしたが」
「へーどうやって?」
「従姉妹のお姉さまですわ。・・・・」
コソコソ声に変わって聞こえなくなっちゃいました。
「なるほど、それならセシルが前に母上でやって怒られたな」
そう言うのが聞こえたら、しがみついていたウジューヌお兄様の足が横に動きました。そしてドレスが頭から被せられました。
「セシルはかくれんぼが得意なんだ」
これは、お姉さんのドレスの中に隠れていいってことですかね?
お姉さんのドレスに隠れたら、バルナベの声が聞こえました。
「楽しいお茶会の中、大変申し訳ございません。我が家の幼い姫君がどうやら机の下に隠れてしまいましたので、お手数をおかけして申し訳ございませんが、一度席をお立ちになっていただけますでしょうか」
そう聞こえたと思ったら、お姉さんが立ちました。セシルは慌ててお姉さんの足の方にこっそり移動です。すると重いものを持ち上げる音がしました。
「バルナベ、どうやらセシルは逃げたみたいだよ」
「・・・そのようですね。では、お茶の席を変更いたしましょう。あちらに立席ですが新しいお茶菓子を用意いたしました」
そう聞こえると、お姫様達が移動してるみたいです。セシルも慎重にお姉さんが動く方向に歩いていきます。
「ははは、バルナベは怪しんでるな〜たしかにドレスの間に逃げ込まれたらセシルは小さくて見えないからね」
「そうですわね。ふふふ、久しぶりにこんなにワクワクしましたわ」
「テーブルもむき出しとは、セシルが隠れる場所を無くしたな」
「あとはどれだけ我慢できるかですわね」
「そうだな。我慢大会は得意だったかなー?セシルは」
「がんばる」
小さい声でお返事しときました。
その声にウジューヌお兄様とお姉さんが反応して笑ってます。
しばらく足音がいっぱいしてましたけど消えました。するとアランお兄様の声がしました。
「ウジューヌ、セシルはうまく逃げた?」
その声にウジューヌお兄様とお姉さん笑ってます。
「?・・・二人は随分打ち解けたみたいだね。」
「まぁね、彼女は協力者だから」
「協力者?」
アランお兄様の声がする方のドレスを少しだけ持ち上げたら、ちょうどお兄様の足がみえました。ツンツンって突っついてみました。
「?!・・・・まさか」
「そのまさかさ」
「なんというか、申し訳ない・・・」
「いえいえ、とっても楽しいお茶会でしたわ。さて、私はそろそろお暇する時間ですわ、お屋敷の方にエスコートしていただいてもよいかしら?」
「えぇ、喜んでヴィルジニー姫」
そうお返事したのはウジューヌお兄様です。ゆっくりとお姉さんが歩き始めました。セシルも慎重に歩きます。
「ウジューヌ王子、どこらへんで隠れんぼさんは逃した方が良いかしら?」
「そうだね、玄関ホールに行く途中の柱かな?そこには大きな窓もあるし、立ち止まるにはうってつけ」
「なるほどでは、そうしましよう」
セシルはふたりの会話を聞きながドキドキしながらお姉さんのドレスの中に入ったまま、お屋敷の中にはいりました。周りをドタバタ歩く音がするのに誰もセシルに気づきません。
「ヴィルジニー姫は・・・マルディの血も引いてるのですよね。でしたら武器も扱うのですか?」
「えぇ、嗜む程度ですが。乗馬と軽い狩しかしていませんの。」
「我が家の庭も広い。私も時々弟達と一緒に庭で狩をするんだ、その・・・また遊びに来てください。」
「まぁ・・・喜んで」
セシル、なんだかむず痒いです。これってあれですか?ウジューヌお兄様はお姉さんのこと気に入ったんですよね?お兄様の口調が違いすぎてなんだか変ですー。ゆったりと進む二人はなかなか止まりません。ということは抜け出す場所はまだまだ先ですか?もうちょっと早く歩いても平気なんですけど〜。
と思ってたら、わんわんの声がしました。
「ワンワン!!!」
「あ、アルファだ」
「?!」
なんと、アルファが出動されちゃいました。最悪です!!見つかっちゃいます。
「まぁ、なんて立派な猟犬!」
「やばい、アルファ、止まれ!!」
「ウジューヌ王子?」
騎士さんの声です。きゃーまずいです。
「きゃっ!!」
「アルファ?!」
「やーーー」
アルファはお姉さんのドレスの中に突っ込んできました。セシルの首根っこのドレスを掴んで引きずり出そうとします。嫌ですー怒られちゃいますーお姉さんの足にしがみついたら。ちょっといつもと違って細くてびっくりです。お母様とかお祖母様とか婆やの足と違ってものすごく細いです。折れちゃいそうです!!
「まさか?!ウジューヌ王子!」
「あはは、ばれたな、セシルもう無理だ。出てこい」
「いーやー」
「アルファ、やめ!!」
騎士さんが鋭く声を発したらアルファが離れました。
「セシル姫、もう大丈夫ですよ」
「セシル出てこい。」
お姉さんがドレスを少しあげちゃいました。ウジューヌお兄様の手が見えます。とりあえずお兄様にしがみつきます。
「うぉっと」
「まさか、姫君のドレスの中に隠れられるなんて・・・見つからないわけだ・・・」
「セシル、見つかっちゃったな。見ろ、怖い顔のバルナベとお母様がきた」
「ひぃー」
ウジューヌお兄様にしっかりしがみつきました。
「ウジューヌ、セシルは今までどこに隠れてたの?」
「さぁ?」
「シュゼット様、こちらの姫君のドレスの中におりました」
騎士さんがさらっと言っちゃいました。
「うらぎりものー」
その言葉にお母様の笑顔が黒くなりました。
「セシル・・・他家のお姫様のドレスの中に隠れたの?お姫様はそんな不埒な事はいたしませんよ?」
「ひぃ・・・・ごめんんなさぁいぃい」
「今日は、お兄様達の大切なお茶会だって伝えたでしょ。それを壊すようなこと」
「お、お待ちになってください、シュゼット夫人。私は率先してセシル姫に協力してましたの。その、昔の自分を思い出してつい」
「・・・まぁ」
「申し訳ございません。シュゼット夫人。」
「お、おねえしゃーーん」
「はぁ・・・とりあえず別室にお連れして、ウジューヌしっかりとエスコートをするのですよ」
「はい、母上」
そういうと、バルナベに部屋を指示して行っちゃいました。ウジューヌお兄様は片腕にセシルを乗せながら、もう片方の腕でお姉さんをエスコートしてます。
「申し訳ない。私たちの遊びに付き合わせてしまって」
そうウィンクしながら言ったお兄様に、セシルはガン見しちゃいました。思わず口が開いたのはしょうがないんです。前を歩くバルナベをみたら、バルナベも驚いて振り返りってます。
「いえ、むしろ楽しそうで、思わず参戦してしまいましたわ」
「ははは、それは良かった。」
「・・・ウジューヌお兄様が変!」
セシルの言葉にお兄様が笑顔のまま頭突きしました。痛いです!!
「いたいーーー!!」
「お前が変なことを言うからだろ」
「だって、変だもん!!セシルにそんな優しい声でお話ししたことない!!!」
「いや、あるぞ?」
「セシルが泣いてる時だけだもん!!」
「ほら、あっただろう」
「くすくすくす」
「ほら、見ろセシル。笑われただろう?」
「ウジューヌお兄様がね!」
「違う」
「違わない!」
「こほん、お部屋に着きました。」
バルナベは優雅に扉を開けて待ってました。3人仲良くソファに座るとバルナベがお茶を用意して出て行っちゃいました。
「・・・未婚の男女だけになって大丈夫でしょうか」
「あーセシルがいるから平気だって判断されたんだろうな」
「ん?何が?ウジューヌお兄様ーおちゃとってー」
「おう」
お膝の上に乗りながらお兄様にお茶をとってもらいました。
「バルナベの入れたお茶おいしー。お姉ちゃんも飲んでー」
「まぁ、では是非」
「セシル。お姉ちゃんじゃなくて、ヴィルジニー姫な」
「びうじにー?」
「ヴィ ル ジ ニ ー ちゃんと発音しろ」
「むーー!びーるー・じーにー?」
「ふふふ、ジーナとお呼びください。家族はそう呼びますわ」
「ジーナお姉ちゃん!!」
どやっとウジューヌお兄様を見上げれば、呆れた顔をしてます。ひどいです。
「じゃーウジューヌお兄様はジーナって読んじゃダメね。セシルが呼ぶから」
「なんでだよ。おかしいだろ」
「いーーー」
「助けてやっただろうが」
頬をつままれました。痛いです。
「ふふふふ、セシル姫は可愛らしいですわね」
「あほかわいいだけだよ。・・・ヴィルジニー姫」
「・・・・」
上でなんか雰囲気が変わりました。どうしましょう、って思ったら少し開いてた扉の向こうからお父様がきました。
「・・・失礼。お邪魔するよ」
「パパー」
セシルもう無理ですーふたりの雰囲気は無理ですー。って抱っこしてもらったお父様に軽くゲンコツ落とされました。
「い、いたいー、ひどいー」
「セシル、お前はお茶会に侵入したこと忘れてただろう」
ウジューヌお兄様の声でハッとしました。
「くっ・・・ふたりの雰囲気に当てられて、すっかり忘れてたねセシル。そうだぞ、悪いことしたんだから、あとで謝りに行くぞ、あと婆やとお母様からもお説教がまってるからな」
お父様が笑いながら言いました。
「ひぃーやだーパパーごめんなさいー。」
「ははは、さて、うちの姫がご迷惑をおかけしたね。ヴィルジニー姫。」
「い、いえ!!レオン公爵。こちらこそ楽しいお茶会にお呼びしていただきありがとうございます。姫君もとても可愛らしく、ご迷惑だなんんて」
ヴィルジニーお姉ちゃんが顔を真っ赤にしてあわあわしてます。
「いやいや、それにしてもウジューヌが先だったか。セシルはさしずめ恋の縁結びをしたのかな?」
「ほえ?」
「セシルは新しいお姉さんができたら嬉しいかな?」
「新しいお姉さん?」
「そうだよ?彼女とかね」
「ジーナお姉ちゃん?」
「おや?もうお姉さん呼びかい?」
「へ?」
「それじゃー他の兄弟も呼ぶかな。セシルはパパと一緒に謝りに行くぞ」
そういってお父様に連れられちゃいました。セシルはお姫様達の前でごめんなさいをしました。お姫様達は平気ですよとか楽しかったですって返ってきました。
アランお兄様とウジューヌお兄様でお姫様たちを見送ったあと、最後まで残ってたヴィルジニーお姉さんと別室にいたらしい両親とお話し合いだそうでうす。
「ウジューヌ兄様とお似合いの姫だったね」
「だね、ウジューヌお兄様のあの顔なんだか慣れない」
「浮かれていたな」
エドガーお兄様とジョゼフお兄様もヴィルジニーお姉さんと顔合わせしたそうです。アランお兄様はちょっと不機嫌です。
「アランお兄様?」
「何?セシル」
にっこり笑顔で抱っこしてくれました。
「アランお兄様のお相手は決まらなかったんだって」
「なんで?ウジューヌお兄様は決まったのに?」
「アランお兄様が誰でもいいって適当に答えててお母様が怒ってたのみちゃった」
「えー・・・ウジューヌお兄様はヴィルジニー姫が良いって言ったの?」
「いや、なんかセシルを匿うの協力してくれたらしくって、その流れでふたりともいい感じになったんだって、バルナベが教えてくれた。」
「へー」
エドガーお兄様とジョゼフお兄様がコソコソお話してます。アランお兄様はセシルに頬ずりするのに夢中みたいです。
「セシルは癒しだな〜かわいいな〜」
「・・・・」
セシルは、アランお兄様の癒しグッズじゃないです。




