お手紙は難解です。
お兄様たちからお手紙がきました。絵本やおもちゃも一緒です。でも、今回はエメからのお手紙も入ってました。
「んー???」
「どうしました?エメからはなんて書いてあるんですか?」
デジレがそわそわしながら聞いてきました。
「セシルとエメだけの秘密ーって書いてあるの。・・・読めない。」
習った気がするけど読めない字があります。エメの字は綺麗なんですけど、難しいです。
「秘密ですか・・・」
「そうだ、この後はセシーナ先生!だよね?」
「えぇ、そうですよ」
「じゃーセシーナ先生にきくー」
「え、何をですか?」
「秘密なのー」
セシーナ先生がいるお部屋にたどり着けば、いろんな本が置いてあります。
「ごきげんよう、セシル姫」
「ごきげんよう、セシーナ先生。あのね、聞きたいことがあるの・・・あります!」
「はい、なんでしょうか」
危ない危ない、授業中はちゃんとお姫様言葉にしないといけないんでした。持ってきたエメのお手紙をセシーナ先生に見せました。
「あのね、セシルとエメだけの秘密だけど、セシーナ先生は、先生だから見て欲しいの。セシルにはよくわからないのがあるの・・・です」
お手紙を見せたら、先生が困った顔をしてます。デジレが失礼っとか言って一緒にのぞいちゃってます。
「デジレはダメなの、エメがダメって書いてある。セシル一人で読んでねって書いてあるの」
「確かに書いてありますね。先生に見せてる時点でもうアレですが・・・」
「困りましたわ。守秘義務がありますので、口外はいたしませんが、これは・・・」
先生は頬に手を添えて首を傾げてます。先生でも難しいんでしょうか?
「・・・デジレはいざという時に役に立たないので、イネスさんの側になるべくいてください・・・だと。あいつ・・・イネスさんは騎士のどなたとおしゃべりをされていたのですか?って、何気に騎士の事気にしてたのか。騎士たちは優しくしてくれるとは思いますが、男性なのであまり近づきすぎてはいけませんとか、へーふーん」
デジレの様子にセシーナ先生が困ってます。
「えっと、セシル姫はどこがわからなかったのですが?」
「んーここー”つきまとい”ってなに?」
「”つきまとい”は本人が望んでいない状態でいつも離れずにいるということです。んー難しかったでしょうか、側にいる、一緒にいるということですわ」
なるほどー、でもイネスはいつもセシルと一緒ですよね。
「へーでもイネスつきまといされてないよ?ねーデジレ」
「えぇ、そうですね」
「あとね、ここの騎士さんと一緒に遊んじゃダメってことかなー?イネスと一緒にいてねって書いてある?」
綺麗な字で、ちょっとよくわからないことも書いてあるんです。デジレはちょっと怒ってますね。なんか、難しいです。
「・・・いいえ、そうではありませんわ。姫様が御心を煩わせる必要はございません。」
にっこりとセシーナ先生が言いました。
「従者としてあるまじき行為ですね。セシーナ先生申し訳ありません。セシル姫、いいですか、姫がエメに返信する必要はありません。エメへの返信は、私が行いますので」
なんでしょう、デジレは笑顔なのに怖いです。
「そうなのー?じゃーおねがーい」
なんか、二人の様子に怖気づいたわけじゃないですよ。えぇ!
「そ、そうですね。こういう問題は他人が口出していいものではありませんからね。」
セシーナ先生が困ったように言うとデジレが頷いてます。
「ほえ?」
「大丈夫です」
にっこり笑顔のデジレです。
「そ、そういえば、本日はイネスさんはいらっしゃらないのですね」
セシーナ先生が手を叩いて言いました。
「今日は、イネスはお休みなのー、街にお買い物だってーセシルも行きたかったのにー」
「あら、そうでしたか。」
「そうなんです、件の騎士と一緒に」
デジレがいい笑顔で答えてます。その言葉にセシーナ先生は口をおててで押さえちゃいました。
「騎士さん二人といったよー」
「あらあら、ちなみにイネスさんはおつきあいは?」
「誰ともおつきあいされておりません」
「まぁー・・・彼女可愛らしいですからね・・・引く手数多なのですね」
また、二人だけ解ってる会話ですー。ずるいです。セシルも仲間に入れて欲しいです。
「むーーーセシルも仲間に入れてー」
「そうですね、今日は恋文のお勉強をいたしましょうか」
「そ、それはまだ早いのではないですか?」
デジレが焦ってます。
「恋文ってなぁに?」
「好きな人に送るお手紙のことです。」
「へーー」
「詩に例えたり、花や綺麗なものに例えて送るんですよ。直接的な言葉で送るのも良いですが、貴族同士では知性がない行為とされますわ」
「ほえ、ウジューヌお兄様苦手そう」
「うぐ・・・」
デジレが笑いをこらえたせいで咽せてます。
「デジレ笑ってもいいんだよ?」
「まぁ・・・・」
「し、失礼・・・」
デジレはお部屋の隅に行っちゃいました。セシーナ先生は本を出してきました。お花の本です。
「これは、花言葉が載っている本です。花を使って伝えてくる場合もありますからね」
「へーーー。あ、セシルはよく薔薇の妖精さん見たいって言われるよ?」
「まぁ、確かにセシル姫は、綺麗な赤い御髪をしていらっしゃいますし、エメラルドグリーンのドレスがよく似合います。可愛らしい薔薇の妖精に例えられるのも頷けますわ。それに例えて文章を書くとしたら…そうですね。”薔薇の庭園を眺めるたびに、可愛らしい薔薇の妖精を思い出すのです”となると、セシル姫に会いたいという意味合いに捉えられる文章になりますね。」
「へーーむずかちぃー」
例え話ですね。
「そうです。それに気付けるかも、重要になります。セシル姫は本を読まれるのがお好きと伺いましたわ。お花の本も勉強になります。どうぞお読みになって」
「はーい」
*
デジレとダンスの練習してたら、窓の向こうに走る馬車が見えました。
「あれ、イネスかな?」
「さぁ、どうでしょうか?」
デジレがくるんっとセシルを回しました。ダンスが終わったら早速イネスを探しにいくのです。渡り廊下を歩いてる途中、騎士さんにエスコートされながら庭を歩くイネスが見えました。
「あれ?」
「ん?!なんで庭?!」
デジレも驚いてます。二人で窓に張り付いて見てると、騎士さんがイネスに淡いお花の髪飾りをプレゼントしてました。早速頭につけてます。
「あ!あのお花、セシーナ先生の本に載ってたよ!」
「え?!」
「あのねー花言葉は、”あなたに夢中です”だって!」
「えええ?!」
「おーーー騎士さんはイネスが好きなの??」
「で、ですよねーー」
「デジレ大丈夫?」
「大丈夫じゃないですけど、イネスさんの自由ですからね。そういうのは。」
「ほえ?」
「二人して何をしてるんですか?」
声に振り返れば、婆やがいました。あとお祖母様も
「イネスがデートしてる!」
「「まぁ」」
「やるわね」
「やっぱり、行動派のほうがいいわね」
お祖母様も婆やも楽しげです。
「えぇーー!!」
デジレだけ驚いてます。
「そうそう、セシル姫に恋文が届いてますよ」
「お?」
婆やがセシルにお手紙をくれました。誰からでしょうか?中を開いたらルッツでした。
「あ、ルッツだー!元気だよー」
お手紙に元気にしてますか?って書いてあります。もっと遊ぼうねーって、ルッツと遊んでみたいですけど、ウジューヌ兄様と同じ雰囲気があるんですよね。あれは一緒に遊ぶと楽しいけど、ものすごく怒られるやつです。
「ルッツ遊ぼうっていってるー。セシルもすきだよーばいばーいだってー・・・恋文じゃないよ?遊びのお手紙だよ、ばーば」
「んー・・・セシルにはそう捉えられるのか・・・」
お祖母様が苦笑してます。どういうことでしょうか?
「まー間違ってはいませんね」
「お?」
「まー姫様は聴き慣れておりますからね」
みんな何で勝手に納得してるんでしょうか?不思議です。
ルッツのお手紙にはセシル姫大好きだよってことが書いてありますが、セシルにくる家族からの手紙に毎回書かれているので、全く気にしてません。




