今日のお屋敷は
窓の外に郵便屋さんがみえました。急いで前に来たことのあるお手紙とか新聞とかあるお部屋に入れば、婆やたちがいました。プロスペールに従者さんもいます、ばあやが持ってるお手紙にはセシルって書いてありました。
「お手紙!!」
「はいはい、少々お待ちくだいさね。兄王子様から来てますからね。イネス手伝っておくれ」
「はい。セシル様。私たちが良いというまで触っちゃダメですよ」
「はーい」
机の端にくっついて見てると、お手紙の他にも何かいっぱいありました。アランお兄様からはお人形、ウジューヌお兄様は、色水のおもちゃ、エドガーお兄様は綺麗な王都の絵はがき、ジョゼフお兄様からは綺麗な石がついてきました。
お母様からは綺麗なリボン、お父様からは可愛いドレスが一緒みたいです。
「お手紙と一緒にプレゼントまで・・・」
イネスが呆れたように物を並べてつぶやいてます。
「旦那様も心配なんですよ。このドレス、防御の魔法陣が刺繍されてますな」
プロスペールがつぶやきながらドレスを広げてます。
「久しぶりに子供一人だけお留守番ですからね、心配なんですよ。奥様も変わらないですね。」
そういったのは、ばあやです。
「お人形かわいいのー、もういい?もういい?」
ばあやとイネスがいいよって言うまでセシルはお手紙にもプレゼントにもさわれないんですから早くしてほしいです。二人とも手をかざして何か唱えると一つずつ、手に持って確認してます。
「はい、アラン王子からのお人形は大丈夫ですよ。」
「やったー」
ばあやが確認し終えたアランお兄様のお人形を渡してくれました。セシルと同じ赤い髪の毛の可愛い女のこのお人形です。
「名前なににしょうかー ”そうね、可愛いお名前がいいわ”」
女の子のお手てを持って手を振りました。
*
「私、セシルっていうのー、んとーあなたの名前はー ミーナ! ”わたし、ミーナっていうのセシル姫よろしくね!”」
一人お人形遊びを始めたセシル姫を見ながらコンスタンスは他のプレゼントもチェックし続けました。
「それにしても、どうしてこうも色々仕込んできますかね。いつもの郵便屋さん大丈夫でしょうか?」
イネスは嫌そうに、手紙の端にできた小さな穴に、ため息をつきました。今日はいつも定期的にくる郵便屋の男性ではなかったのです、担当してた郵便屋さんが怪我で来れないということで別の人が来たため、今回はいつも以上に厳しくチェックをしていれば、やはり仕込まれた形跡がありました。仕込まれてしまった手紙をコンスタンスは受け取り魔法をかければ、黒い煙が手紙の隙間から出て消えました。
「それだけ、相手はまだ諦めていないという事でしょう。ここ最近は強い記憶を持った箱庭の子が多いそうですからね。」
新聞で報じられた内容を思いながらコンスタンスが言えば、イネスはプリプリ怒りながら言いました。
「だいたい、ちょっと違う世界の記憶があるからって、脅かすほどの知識もありませんのに。何よりも協会の警備がズサンなせいで封印した子供のリストが漏れるだなんて!」
それは自身が狙われたことがあるから尚更なのだろう。
「強い記憶持ちだとそうもいきませんぞ、実際それで土地が汚れた場所もありますな、公にはされておりませんが。」
「えっ?!」
「その時にできた組織と言っていいでしょう。甘い汁を吸った者と苦渋を飲まされた者たち、それらの過激派が今尚続いているんですよ」
「それだけじゃないですよ、まして知識がこの世界の場合は大変ですよ。歴史は勝者の記録です、敗者側の記憶だったら尚更問題になる」
プロスペールの従者の青年が言いました。
「この世界の前世を持った子なんているんですか?授業では大抵違う世界だと聞きましたが」
イネスが困惑したように聞けば、他の3人は小さな声で答えました。
「公にされてはおりませんが」
「いるわ」
「いますね、大なり小なり」
「ねぇー!まだー?」
ぴょこっと机の淵に顔を乗せたセシル姫にみんなびくりと肩を震わせました。すっかり話に夢中になっていたようです。
「はい、こちらのお手紙はもう大丈夫ですよ」
コンスタンスがチェックの終わった手紙を渡せば、セシル姫は嬉しそうに受け取りました。
「ママのお手紙だ!」
ぴょんぴょんと跳ねながら、扉を開けて出て行こうとするセシル姫に慌てて、コンスタンスはデジレ名を呼びました。
「デジレ!!デジレ!!セシル様を頼むよ!!」
「はいはい、ただいまー!」
バタバタと走る音とともに、使用人用の通路の扉を開けてデジレが駆けつけました。
「おっととー!セシル姫!歩きながらお手紙を読むのは危ないですよ!!」
廊下の先を行くセシル姫を見つけて、デジレは慌てて抱き上げました。
「ママからのお手紙読むのー」
「はい、私もご一緒させてください」
「いいよー!」
ご機嫌な様子にホッとしながらもコンスタンスはもとの部屋へと戻りました。部屋では、チェックし終えが手紙とプレゼントを運びやすいように箱に入れている最中でした。
「手紙は2通だけ仕込まれていました。ちょっと手紙の一部が燃えちゃいましたが」
手紙を広げながら焦げたところを確認しながらイネスが言いました。
「文章は読めますから大丈夫でしょう。毒も仕込まれてませんしな」
「で、それはどうするんだい?」
コンスタンスは、プロスペールがもつ複数の手紙を見て言いました。その手紙の宛名はセシル宛。一つは王族のマークが入った封蝋、他には違う貴族からのと何も柄がついていないものだけ。
「王族のは、王太子からでした。他のは少々怪しいですな。旦那様の指示待ちにいたしましょう」
そういうと、王太子の手紙以外は黒い鍵付きの箱にいれました。プロスペールの言葉に、イネスはうなづいてセシル宛の物が入った箱を受け取るとセシル姫に渡すために部屋を出ていきました。
「それにしても、姫様を狙う奴らは、こそ狡い奴らばっかでイライラするね。最初の頃の正面から来た奴らの方がマシだったわ」
コンスタンスは首を揉み解しながら言いました。ここ最近は家への攻撃は鳴りを潜め、逆に商品に呪いやら、毒を仕込まれるようになって来ていたのだ。
「まー武力では叶わないと気づいたんでしょう。一回はしてやられましたが、2回、3回とまでやられるマルディ家ではりませんからな」
プロスペールはふんっと鼻を鳴らして言いました。
「でも良い運動でした」
プロスペールの従者の青年がいうと、二人とも確かにっとうなづきました。3人ともマルディ家の血を引くものたちなので、やはり戦いとなると喜んで勇んで行ってしまうのです。
「まー今回は旦那様がかなり領内のテコ入れをしてから王都に行かれましたからね。あまり表立って攻撃をしてくるものはいないでしょうな」
「そうね。マルディ家の姫であるセシル様を、攫う同族なんて許せないわ。」
「アラン王子と同じく火のマナを強く持っているというのに、なんで害そうとするのか。同族とは思えませんね。敬うべき存在だ」
むすっとした顔で青年が言えば、プロスペールは顎に手を当てて思案しました。
「確かに、本来であれば同族が同族を害するなんて事は早々にない。まして、一度でも姫に会えばそんな事はできないはず。血の濃さは、土地の安定にもつながる。一般常識なのだがな〜・・・まー血が薄いとそういう意識は薄まると聞くが。」
「・・・確かに、マリアンヌ姫は血が薄いせいか、セシル様に楯突いたんですよね?」
「こら、滅多なことを口にしない。マリアンヌ姫の場合は、違う気がするね。・・・前はもっと聡いこだったよ。母君が療養中なせいかね。私は、ここ最近使えた者の影響じゃないかと思うね。ウルス様もそれを懸念にしていると聞いたよ。ってプロスペール何読んでるんだい?」
「ん?王太子からのだよ。セシル姫へのお遊びの誘いが書かれているね。まったくメルクルディ家だというのに、なんでセシル姫にご執心なんだろうなぁ〜これでは昔と逆だな」
「あぁ〜確かに、王太子はマルディ家の始祖みたいに情熱的だね。」
コンスタンスは王太子からの手紙を横から覗き込んで言いました。
「しょうがないですよ!セシル姫は可愛いですからね!」
従者の青年は自慢げに言いました。
*
セシルは今日はご機嫌です。お母様とお父様、お兄様からのお手紙が来ました。プレゼントまでもらって、早速イネスに着せてもらいました。パパからもらった綺麗なドレス!ママからもらった可愛いリボンを頭につけて、お祖父様とお祖母様にご報告です。
「セシルの綺麗な赤い髪が映える色ね。とっても可愛いわ」
お祖母様もニコニコです。
「まったくだ。薔薇の妖精みたいでとっても可愛いよ」
「むふー!パパはいつも素敵なドレスをくれるの!」
「あいつは、そういうのが得意だからな〜」
「そうね、シュゼットにもプレゼント攻撃と言って良いほど贈りながら、告白し続けてたものね〜」
「ん?パパとママ?」
「そうよ。貴方のパパはとっても情熱的だったのよ。周りが呆れるくらいにね」
その言葉にセシルは首を傾げました。家の中では常に仲良しの二人です。それ以外がわからないから尚更です。ちらりとみたイネスは確かにっという顔をしていました。
「おーパパとママ仲良しさんなのー!」
「ふぁっふぁふっぁ、セシルから見ても仲良しさんか〜。セシルはどんな人と結婚するんだろうな〜」
「まー気が早い」
結婚ですか?そういえばアランお兄様がそんな話前にしてましたね。あれ?そういえばセシルはお母様とお父様の馴れ初め知らないです。聞こうとするとお兄様たちが邪魔してくるんですよね。
「セシル知らない!ママとパパ、結婚したの?どうやって好きになったの?」
「ん?二人から聞かなかったのかい?」
「お兄様がじゃまするのー」
ぷくーっと顔を膨らませて言えば、お祖父様とお祖母様は声をあげて笑いました。
「ふはははは!なるほど!確かにあの子たちにしたら苦痛だろうな」
「まあまま、そうよね。アランの冷めた顔を思い出しちゃったわ!!」
「???」
「セシル、お兄様たちの判断は正しいぞ。聞くなら周りのものにしときなさい。レオンに聞くと話が長いぞー」
「ほー?」
「私たちが代わりに話してあげますよ」
そう言ってお祖母様がセシルにお父様とお母様の馴れ初めをお話してくれました。
「貴方のお母様は伯爵家の娘だったの、でも生い立ちがちょっと特殊だったから、周りは大反対したのよ。」
「はんたーい?ばーばも?じーじも?」
「そうさなー、公爵家として難しいとは言ったな。彼女を娶るなら相当の覚悟を持って彼女を守るのなら良いともね」
そうお祖父様がウィンクしながら言いました。
「シュゼットのお祖母様はね、火の国出身なのよ。貴方にドールハウスくれたお祖母様ね。」
「ドールハウス!!アレットばーばー!あいたーい」
そうです。ドールハウスくれたのはお母様のお祖母様です。なかなか会えないです。いつもどこかに行ってるらしいです。
「ふふふ、それは難しいわ、彼女はね、吟遊詩人なのよ、マルディの血を引くのに音楽を愛しているの、もちろん武術も得意だけどね。そんな彼女と結婚したのは、わが家の伯爵家の人よ。そのときも大問題だったけどね。敵国のしかも吟遊詩人なんて怪しい仕事、スパイじゃないかって散々言われたのよ」
「おー」
「そんな娘が公爵家に入るだなんて、周りが許すはずもなく。そして彼女も自分の立場をよく理解していた。だからレオンを冷たく振ったのよ!周りの令嬢たちは彼女を批難したけど、受け入れたって同じ状況だったわ。」
「おーー!!」
「でもね、レオンたら諦めずにもうアタックし続けたの。家族会議にくれば一目散にシュゼットに会いに行くし、彼女が学院にいるときは毎回広場で彼女の名を呼んだのよ。あ、学院は男女別れた建物で勉強するのだけれど、庭は柵で仕切られていて、お互い姿も見えるし会話もできるのよ。」
「ほえー」
「で、その場所で彼女に声をかけ続け。周りの人たちを徐々に仲間に引きずり込んだというか・・・」
「あれは、外堀を埋めてったな」
「そう、あまりにも熱心に告白するし、彼女が出席するお茶会には参加してプレゼントを持って行くし。しかもちゃんと周りにもね。舞踏会でもすぐ見つけちゃうし。もう見てるこっちがハラハラよ。いつか息子が捕まるんじゃないかって」
「パパが捕まる?」
「ある程度マナーは守られていたからな〜それにシュゼットが本当にいやだっと言ったときはすぐに引いたしな。あいつの、そういう引き際を読む才能はすごいな〜」
お祖父様が顎を撫でながら遠い目をしています。
「あまりにもずーっと告白し続けるから、もう一族の女性たちも若干同情したというか、他の娘をあてがったってむしろその娘が可哀想だってことになってね。しかもちゃっかり、シュゼットに近づく男たちをけん制してたのよー。結局一族の者たちがシュゼットとの婚姻を認めたのよ。まーシュゼットも憎からず思ってたのは、はたから見てわかっていたからね。」
「確かにな、あやつも、自分は完全に嫌われてないとわかっていたとか抜かしておったからな」
「パパは・・・策士?」
「いや、あれは腹黒というんじゃよ。まーあやつが夫婦の馴れ初めを話し始めるとな、その愛の告白の右葉曲折数年分をずーっと語り続けるじゃよ。だからパパには聞いちゃ行かんぞ?」
「はーい。セシル、パパにきかなーい。」
それはとても面倒そうです。




