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武闘派のセシルは清楚可憐な姫様になりたい   作者: siro


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王子様たちは、妹姫が可愛い

「セシルから手紙が来ない」

寮の談話室のソファーの上でアランはクッションを抱きしめながら嘆いていました。

「セシル大丈夫かな?・・・泣いてそう」

ウジューヌの呟きにアランは起き上がりました。

「やっぱり、確認しに行かせたほうがいいよね」

「でも、父上が許してくれるかな?」

二人は真剣に顔を合わせて話し合いはじめました。それを止めたのが

「おいおい、シスコン兄弟、落ち着けよ」

アランの友人、エリクでした。二人が座る向かいにはエリクと他に、アルベールとギョームが座って、同じように呆れながら新学期のカリキュラムの冊子を開いていました。

「俺たちは落ち着いてる」

「うん」

真剣な顔で言う二人にエリクは呆れました。

「いや、絶対落ち着いてないだろう。弟も同じく重症とは、どんだけ溺愛してるんだよ」

「うんうん。二人とも、カリキュラム読まなくていいの?しかもウジューヌ君は新入生なんだよ?」

ギョームも同じように言うも、二人は止まりません。

「エリク、俺たちの妹だぞ?」

「セシルはおばかで可愛いですよ。エリク先輩、ギョーム先輩」

「セシルは甘えん坊なんだ、きっと独り寝で泣いてる。」

「デジレが添い寝してたらどうしよう。俺、殴っちゃうかも」

「いや、イネスがいるから、それは阻止してくれるはずだ」

また妹姫のセシルについて語り合う兄弟に周りにいた人たちは呆れながらも聞き耳を立てていました。

「いやいや、落ち着こう、二人とも、しかもデジレってウジューヌ君の従者じゃないか」

アルベールは思わず突っ込みながら聞けば、ウジューヌは素直にうなづきました。

「そうですよ」

参考資料を山積みに抱えて入って来たオーギュストが机にどさりとおきながら聞きました。

「入学して早々、弟君も末姫の話で盛り上がってるのか?そんなに可愛いのか?絵姿こなかったけど」

「「可愛い」です」

「絵姿はもってないのか?」

 アルベールが聞けば、アランとウジューヌが手帳くらいのサイズの薄い本のようなものを取り出して開きました。それは小さなアルバム立てにもなるもので、蛇腹状になっています。そこには、家族全員が一人ずつ描かれた絵姿がはめられており、一番最後にエメラルドグリーンの可愛らしいドレス着て、自分と同じくらいの大きさのぬいぐるみに抱きついてる女の子がいました。

 みんな身を乗り出して絵姿を見つめる中、あえて無言を貫いていたのに、隙間から覗き見た通りすがりの生徒が思わずつぶやいてしまいました。

「わー可愛い」

「本当だ。さすがアランの妹」

その言葉に、見ていた友人たちはパッと振り返り睨みつけましたが、その生徒達はやばっと呟くも、その腕をアランとウジューヌに掴まれました。

「「だろ!!」」

「うちの妹は可愛いだ」

「可愛いから、父上が絵姿を配るのはやめようという話になってるんだ」

「変な虫がついたら大変だからね」

「うんうん。すでについてるし」

「だから、これで終了だ。ウジューヌしまえ」

「わかった」

そう言うと二人は、アルバムをたたんでしましました。捕まった二人は、手が離れた瞬間に逃げてしまいました。友人達は、確かに可愛いと思いつつも口にしたらこのシスコンが黙っていないことは容易に想像ができたので、無難な言葉を選ぶことにしました。

「まーたしかに、お前達そっくりだな」

「だね、全員美人系だよね」

「うんうん」

「エドガー君に似てるな」

その言葉にアランとウジューヌは顔を見合わせました。

「確かに似てるかもね」

「そうだね。でも、あいつは甘えてこないし、むしろ母上みたいにうるさくて可愛くない」

嫌な顔をしながらウジューヌが言いました。

「それは、お前が悪さするからだろう」

アランの言葉に友人達は笑いました。

「まーなんとなくウジューヌ君はわかるな。」

「さて、そろそろ就寝時間が間近だよ。二人はカリキュラム読まなくていいの?俺たちは部屋に戻るけど」

エリクが言うと、二人は同時に言いました。

「「もう読んだ」」

意外にもウジューヌもしっかりと読んでいたようです。その様子に友人達は苦笑しました。

「そうかよ・・・」

「・・・くそーーなんで余裕なんだよ」

「アランお兄様に絞られたから?」

ウジューヌが首を傾げながらいえば、友人達は納得しました。


そして、学園生活も始まり王都での暮らしが落ち着く頃には、学園の休日にあっというまになりました。

王太子のご学友でもあるアランとウジューヌ、そして親戚であるアルベールは今王城の一室にきていました。


「久しぶり!ウジューヌ!」

扉を入った瞬間元気良く現れたのは、この国の王太子。

「おう!っいて」

片手を上げて返事をしたウジューヌにアランはゲンコツを落として挨拶をしました。

「お久しぶりです王太子」

「お久しぶりです。おうたいしさまー」

「ふふふ、久しぶり、アランも。あ、アルベール兄さん」

「ごきげんうるわしゅう、ルートヴィッヒ王太子」

大げさに腕をふるって礼をしたアルベールに王太子は楽しげに返事をした。

「アルベール兄さんも!さあ!入って!!」

中にはすでに各家の王子やお姫様が集まっていました。

「もうほとんど集まってるのかな?」

「エドガーもジョゼフも来ているね」

アルベールとアランが言えば、エドガーとジョゼフもきづいてアラン達の方に来ました。


「アランお兄様、セシルから手紙は来た?」

「いや、まだ来ていない。もしかして屋敷にも届いてないのか?」

「うん。まだこないんだ」


「・・・この兄弟は。」

アルベールは下の弟達ともにあって早々妹姫の話をし始めた様子に頭を抱えました。


「セシル姫がどうかしたの?なになに?」

好奇心に目を輝かせながら王太子が聞けば、アランは嫌そうな顔をしました。

「王太子には関係ない話です。家族の話なので」

「へーそうなんだ。まーセシル姫はすぐ泣いちゃうからね、心配だよね。でも今は賢い犬が慰めてるから大丈夫だよ」

王太子の言葉に、4人の兄弟は固まりました。

アルベールや他の子供達もびっくりです。まだセシル姫の情報は他家には出回っていないのです。

「なぜ、セシルが犬と一緒だと?」

アランが聞けば、王太子はにっこりと微笑みながら言いました。

「え?見たからだよ」


「はぁ”?」

ドスの効いた声を出したアランに、弟達は一歩後ろに下がり3人でコソコソと会話をしました。

「やばい、お兄様が切れかかってる」

「王太子の見たってどう言うこと?」

「知るかよ。むしろなんで、セシルの状況知ってるんだよ」

「セシルの警備薄くないよね?」

「当たり前だよ。そのためにデジレを留守番組にしたんだから」

「とりあえず」

「アランお兄様、お、落ち着いて」

弟達の様子に、内輪でしか知らないはずの情報だったことがうかがえたアルベールは、この場を収めるべく、アランを止めながら王太子に聞きました。


「王太子、いろいろと突っ込みたいところが満載ですが。とりあえず、他家のお姫様を覗き見はいけません。それと、どうやって覗き見したんです。」

「だって、マルディ家から全然セシルの絵姿がこないんだよ?催促しても返事がないしね。心配で水鏡でのぞいただけだよ」

にっこりと微笑みながら言った王太子の言葉に、周りの人たちはびっくりです。

「まて、だからどうやって他家の中を覗いたんだ。媒体がないと無理だろう?!」

アルベールの問いに、アラン達兄弟は王太子が1回家に襲撃、もとい遊びに来たことを思い出しました。

「・・・まさか?!」

「「あの時?!」」

「えへ」

 可愛らしい笑顔を浮かべる王太子に、アランはすぐさま控えの間にいる自分の従者に家に至急伝言を伝えるように指示しました。それに驚いたのは王太子です。


「ま、まて!アラン!!」

「なんです?人の家を盗み見るなんて変態ではないですか。この事は我が父から王へご連絡させていただきます。エメ、父上にすぐさま連絡を」

「かしこまりました」

エメはすぐさま、控えの間から出ていってしまいました。


「げっ!!いいのか?!セシル姫の状況が見れなくて!今見せられるぞ!」

その言葉に兄弟たちは反応しました。

「「・・・・」」

「一回見てからにしようよ、アランお兄様」

「とりあえず、セシルが元気かどうか見よう」

「・・・そうだな」

やはり、妹のセシルの様子が気になってしまってしょうがない兄王子達。

「なら移動しよう!」

そう王太子が言うとみんなで庭に出て噴水のある池の前に立ちました。

呪文を唱えると流れ落ちる水が揺らめき、鏡のように違う庭を写し始めました。赤い髪を頭の両端にシニヨンでまとめられ、小さな花とリボンで飾られてる女の子が映りました。


「「セシルだ!!」」


 +


 ちょうどセシルも中庭の噴水のある小さい池の縁に顔だけ乗せていました。その横には同じようにアルファも顎を乗せて、セシルとくっついてます。

[ぐす・・・わんわん]

[くーん]

[あのねーお兄様達にお手紙書いたの。でもね、セシル寂しくなっちゃったの]

そう言うと、セシルの緑色の瞳はウルウルと揺らめき、ポロポロと涙がこぼれ落ちて来ました。

[くーん]

アルファは困ったように鳴いています。

[わんわん・・・しぇんせい・・困ってたの。お姫様は・・・泣いちゃダメなんだって。今はいいけど、大きくなったらダメんだって・・・・セシルは泣き虫だからお姫様になれないの。]

[くーん]

アルファはポロポロと落ちる涙を舐めたり、額をセシルにグリグリと押し付けてみたりして一生懸命こっちを見てくれるように動きますが、セシルはじーっと池の中を見て泣き続けています。

[アランお兄様に会いたいよう。ジョゼフお兄さまと手遊び歌したい。エドガーお兄様とお昼寝したい。ウジューヌお兄様はいたずらするけど、・・・会いたいよ]


 +


泣いてるセシルの姿は、兄王子達と向かい合うように写って見えています。思わず兄王子達は身を乗り出して叫んでました。

「「セシル!!」」

「いてっ」

若干2名に挟まれてしまった王太子は、それでも術を乱れさせずに映像を映し続けます。


「セシル!!僕たちも会いたよ」

ジョゼフが言うと、他の兄弟達も声は届かないけどセシルに向かって声をかけました。

「セシル!泣かないで!あー今すぐ会いに行きたい」

アランは胸を押さえながらセシルにいいました。

「セシルお手紙書いてくれたんだ。僕もすぐお手紙出すよ。寂しくならないようにいっぱい書くからね」

エドガーもちょっぴり涙ぐみながら声をかけます。

「泣き虫セシル。やっぱり泣いてる。デジレのやつなにやってるんだよ!」

ウジューヌは自分の従者が近くにいないことを怒っていました。


その後ろで見ていたアルベールは、確かに可愛らしい姫だと思いつつ、先日悪い虫がついてるというのはもしかして王太子のことかっと思い始めました。周りの子供達もアラン達の様子を後ろから見つつ、こっそりとセシル姫の顔も確認していました。

「可愛いね」

「だね、ロジェアンシャンの頭より小さい」

「まだ小さいね。」

「王子達がかわいがるのわかる気がする」

そうコソコソ話してる間に、セシル姫の方では誰かが近づいて来ました。


 +


[セシル様]

[イネス]

[こちらにいらしてたんですね。ダメですよ、・・・ちゃんと声をかけてくださいね]

そう言いながらもイネスはセシルの横に座ってから抱きしめました。

[イネス〜]

[わふー]

[お兄様まだ帰ってこないの。]

[そうですね。まだ社交界は始まったばかりですからね。セシル様、今度は勝手に抜け出さないでくださいね、心配でイネスは泣いてしまいますよ。セシル様みたいに]

そうイネスが言うと、セシルはびっくりして顔をあげました。

[イネス泣いちゃう?]

[はい、セシル様がいないと泣いてしまいます。だから、私のそばにいてくださいね。ダメな時はデジレにお声掛け下さい。]

[わかった・・・ねぇ。・・・イネスとデジレ、今日は一緒に寝てくれる?]


 +


「「ダメだろ!」」

セシルの言葉に兄王子達は声を揃えて叫びました。

「イネスだけだよ!セシル!」

「デジレは異性だよ!ダメだよセシル!!」

「デジレ!ちゃんとことわれよ!!」


「いやいや、聞こえてないから。向こうには」

王太子は耳を塞ぎながら言いました。


 +


[ん〜・・・セシル様、デジレとは難しいですね。私と一緒に寝ましょう]

[デジレだけ一人じゃ可哀想だよ?]

[んー・・・デジレは男の子なので、女の子と一緒のベットには入れないんです。]

[ママとパパは一緒だよ?お兄様も一緒にネンネしたよ?]

[奥様や旦那様は夫婦ですから、それに王子様達はセシル様のお兄様。そこは大丈夫ですけど、他の異性の方はダメですよ。]

そうイネスが言うと、セシルは首傾げて言いました。

[ルッツは?]

[あれは緊急処置です。忘れてください、お外で言っちゃダメですよ]

[はーい]


[あ、いた!!イネスさん、そこの池!!仕込まれてるそうです!!]

「あ、デジレだ」

ウジューヌが呟くと同時に王太子も声をあげました。

「げっもう連絡ついたのか!早すぎだろう!」

[え?!]

イネスが驚いて池の中を覗きこみ魔法を使うと、池の底にキラキラと輝くブローチを見つけました。そして呪文を唱えると、ばしゃりっと水音を立てて映像が途切れてしまいました。


「王太子様、我が家に仕掛けを仕込むなんてどう言うことでしょうかね。」

よく聞いたことのある声に、王子達はそっと振り返れば、アラン達の父親、レオン公爵が立っていました。

「やぁ、レオン公爵。お久しぶりです。」

王太子はにっこりと微笑みながら挨拶を返しました。

「えぇ、お久しぶりです。お前達も、なに一緒になって見てたんだ。止めなさい。全員に見られたぞ」

父親の言葉に、アラン達はアッとした顔をしましたが、もう時すでに遅し。マルディ家の末姫の顔はここにいる王子やお姫様にばっちり見られた後でした。


「さぁ、王太子様、王子達との挨拶は済んだようですねの。私たちとお話をしましょう」

そうニッッコリと微笑みながら、レオンはしっかりと王太子の肩を掴んで引きずるように連れていってしまいました。

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