セシルの宝物
セシルのお部屋に宝箱ができました。机の上に置いて眺めて見ます。キラキラ光っててとっても綺麗です。白地に金色の縁、赤い蝶々が真ん中にあって、横はバラです。
ママのお部屋にあった宝箱、ちょっと壊れたからいいよってくれました。箱が閉じなくなっちゃったらしいです。セシルの宝物を机の上に並べて中に入れていきます。お気に入りのドールハウスのコップに、ドールハウスのお人形さんのお人形。それとお兄様がくれた陶器のおもちゃに、木のおもちゃ。
「セシル様、何を入れてるんですか?」
イネスがお部屋に戻って来ました。
「セシルのたからものー!これはーカルロからもらったー木のおもちゃ!これはーアランお兄しゃまからもらったリボン!これはーパパからもらったボタン!これはーエドガーお兄様からもらったー、えとーなんかの鍵!これはージョゼフお兄様からもらった、手遊びのやつ!これはーウジューヌお兄様が落とした、まるいピカピカなやつ!」
イネスに見せながら宝箱に入れてたら、イネスが目をまん丸にして最後の宝物を持つ手を掴まれちゃいました。
「んー!?セシル様!それ金貨じゃないですか!?」
「きんかってなにー?これ、セシルが見つけたのー」
「いえいえ、今ウジューヌ様が落とされたっておっしゃいましたよね?」
「えー?」
そんなこと言いましたっけ?貰ったって言えばよかったです。これは金色に光っててお気に入りです。
「セシル様」
イネスにめって顔で見て来ます。
「・・・セシルのだもん。」
「ダメです。これは高価なものなので。」
「高価なのを入れるのが宝箱だってママが言ってた!あと大切なものー」
「そうですが、セシル様に金貨はまだ早いんです〜」
そういうとイネスに抱っこされちゃいました。久しぶりの抱っこです。最近抱っこしてくれなくなったので、やったーと思ってしがみついてたら、金貨が手の中かから消えてました。どこに行っちゃったんでしょう?
そのまま、イネスはどこかに向かってます。廊下はなんだかバタバタしてます。お外を見ると、なんか煙が出てます。なんでしょう。それよりも、セシルの宝箱はまだ物が入るんですよね。
「ねぇねぇ、イネス」
「はい、なんでしょう」
「セシル、もっと宝物ふやしたーい」
「宝物ですか?」
「うん。あの宝箱いっぱいにしたーい」
「んーあれは、宝箱というより、宝石箱なんですがねー・・・」
「宝箱だよ?」
絵本に載ってた宝箱と同じ柄でした。お母様も宝箱よって言ってくれました。
「んー・・・そうですね」
「でね、セシルもっと可愛いの入れたいの。うさちゃんは入らなかったから、もうちょっと小さいのが良いの。ルッツがくれたのは入ったよ。あー」
「どうしました?」
「みんなからもらうのー!」
そうです、みんなから何か良いもの貰って宝箱に入れるんです。良い考えです。
「セシル様、皆さんから何をもらうのですか?」
「良いもの!」
「「良いもの?」」
振り返ったら、プロスペールがいました。おひげくるりんこしてます。
「あ、ちょうどよかったです。プロスペールさん。セシル様が見つけてましたよ。金貨」
「お!本当ですかな?」
イネスはプロスペールに丸くて金色のピカピカを渡しちゃいました。
「セシルのー」
いやですーセシルの宝箱に入れたいのにー。
「ウジューヌ王子が落とされたそうですよ」
「やはり、王子でしたか。怪しい顔をしてたんですよね。いやー助かりましたよ。イネスさん」
「いえいえ」
「セシルのピカピカ〜」
「セシル様、これは私が管理してる大切なピカピカなので、お渡しすることができないんですよ」
どうやら、ごねてももらえなさそうです。ぷーっと頬を膨らませてたら、プロスペールが何かを思い出したようで、待ってるように言われました。
「なんでしょうね?」
「なにかなー?」
プロスペールが戻ってくると、さっきのピカピカより大きいピカピカがきました
「ピカピカ!」
「実はこれ、ショコラなんですよ」
「お!」
そういうと、プロスペールがピカピカをむいちゃいました。剥がれたピカピカの中はショコラでした!
「しょこ!イネス!たべていい?」
「えぇ、良いですよ」
「やったー!」
甘くておいしいピカピカ、あのピカピカも実は剥けたりしたんでしょうか?ペラペラになったピカピカを持ちながら、お部屋に戻る途中、婆やに会いました。
「ばあや!」
「セシル様、ご機嫌よろしゅうございますね。お口にショコラがついてますよ」
ポケットからハンカチを取り出して顔をゴシゴシされちゃいました。
「ぷろしゅぺーるがピカピカショコラくれた!」
「・・・プロスペールがショコラを?」
「コンスタンスさん。(セシル様が金貨を拾っていたのでそれをお届けしたところ、ショコラの金貨を代わりにいただいたんです)」
イネスがなんかコソコソ喋ってます。聞こえないですー
「あぁ〜なるほど」
「ばぁやー」
「はい、なんでしょう」
「セシル宝箱に入れたいの。なにかちょうだい」
「宝箱ですか?そうですね〜・・・今持っているものだと。これなんていかがでしょう」
そう言ってポケットから出して来たのは、緑色のキラキラした不思議なものでした。
「コンスタンスさん・・・それってエドガー様が壊されたタンスのノブ・・・」
「しー」
「キラキラ〜!セシル欲しい!」
「えぇ、どうぞ」
「やったー!イネス見て!セシルの宝物ふえたー」
「ん〜そうですね」
ウキウキでお部屋に戻ったら、宝箱に追加です。さっきもらった緑色のキラキラと、金色のピカピカ。今日はお外に出ちゃダメだから、お庭のお花はいれられないです。今日はセシルはお部屋で遊ばないとダメらしいです。
「ねーイネス〜セシルドールハースで遊びたい」
「そうですね。ドールハウスは子供部屋にあるので、今日は使えないですね。ピアノなんて如何でしょう」
「ピアノはいっていいの?」
「はい」
ピアノのお部屋に移動したら、誰もいません。いつもお兄様の誰かか、使用人のお姉さんとかお兄さんが弾いてるです。
指の体操の曲を弾いたら、作詞作曲セシルで歌います。
「今日は誰もいなーい♪。セシルつまんなーい♪。お兄様もーあそんでくれなーい♪」
「ふふふ、セシル様。私がいますよ?」
「イネスはー♪遊んでくれる〜♪あのね〜♪一緒に〜お昼寝もしたいな〜♪」
「えぇ、良いですよ」
「やった〜。セシル〜♪良い子だから〜♪イネスと一緒に♪遊んで♪ ねんねするの〜♪」
*
ご機嫌な我が家のお姫様の歌声を聴きながら、ウジューヌはベランダから弓を構えた。
「ったく、さっさと終わらせてセシルと遊でやるか」
狙うは、騎士達が戦闘をしている奥。黒いローブを羽織った集団だ。
「そうですね。負荷強化しましたよ」
デジレはウジューヌの肩に触れて緑色の光を発してから手を離した。
「おう。吹っ飛ばすぜ」
キリキリとひいた弓を離せば、パンと絃がしなる音と共に矢が解き放たれ、それを追うように屋敷のあちこちから矢が黒い集団に遅いかかっていく。
騎士達は一斉に屋敷側に跳びのき、そのあいた隙間に矢が着弾していく。大きな破裂音と共に赤い蛇が現れ、次々と襲いかかっていく。
「我が家の宝物を狙うなんて、良い度胸しているわ。」
そう言ったシュゼットにコンスタンスは新しい矢を渡した。
「全くです。私どもの可愛い宝石ですから。まぁ、見る目はあるようですがね」
「そうね。」
強く引いた絃は、甲高い音をさせながらギリギリまで伸びると、シュゼットの細い指先から解き放たれた。それもまた、集団に向かい大きな破裂音と共に火花を散らして着弾した。
「奥様、少々火力が強かったのでは?あそこには旦那様とエドガー様が」
「大丈夫よ。レオンは頑丈だし、エドガーはほら、ちゃんと当たらないように避けてるわ。」
赤い騎士服を身にまとう先頭に、レオンはいた。大剣を振り回し突進していく。その後ろをエドガーが細い剣と特殊な短剣で進んでいた。
「アランはうまくいってるかしら?」
「バルナベの報告ですと、もう鎮圧されたようですよ。ジョゼフ様も活躍されたとか」
「そう、それはよかったわ。お茶の時間には間に合いそうね」
「左様ですね。その頃には我が家の宝石も、お昼寝から目覚める頃合いでしょう」




