炎の魔法は見栄えがいいのです
なんとお爺様は今夜おうちに泊まるそうです。起きてもお爺様が居ました!パパも揃ってみんなで夕食を食べ終わったら、明日は楽しいことがまってるよって教えてくれました。なんでしょう?
ワクワクしながら目覚めれば、ママが迎えにきました。
「おはよう、セシル。今日は早起きね」
「ママー、おはようごじゃいましゅ」
「おはよう。今日は動きやすい格好にしましょうね」
そう言ってママが着せれくれたのは、ズボンに前の裾が開いたワンピースです。とっても可愛いです。
「可愛いわ〜。今日は髪の毛は二つに結びましょうね」
鼻歌まじりにママが朝の支度を整えてくれます。抱っこをされて朝食へと向かうと、パパもいました。
「セシル、おはよう」
「パパ!!おはようごじゃいましゅ!」
「セシルー」
「おにいしゃま!おはようごじゃいましゅ」
「おはよう!」」
「セシルやーじいじもいるぞ」
「じいじ!おはようごじゃいましゅ」
食事が終わると、全員でお外に出ました。みんな剣を持っていってます。初めて、パパのお馬さんに一緒に乗りました。
「おぉーぅおーぉー」
ものすごく揺れます!パパの手がしっかりとセシルを捕まえてくれてますがちょっと怖くて楽しいです!
「どうだ?セシル、もう少しスピードを出すかい?」
「あなた、ダメよ。」
横にきたママがダメって言ってます。
「ママに怒られちゃったね」
そう言いながらもパパは楽しそうです。ぽっかぽっかとお馬さんで向かった場所は、綺麗な平地の真ん中にガゼボがあるところに到着しました。ママとパパと一緒にお座りすると、お爺様とお兄様が何かするそうです。
「じゃ、アラン見せてくれるかい?」
「もちろん!」
そう言って、アランお兄様が剣を掲げて何か呟くと剣の周りに炎が巻きつきました!
「ママー!ほのおぉ!!」
「そうね、お兄様は炎剣を習得したのよー。まーただ見栄えがいいだけなんだけど」
ぽそっと後半の呟き、セシルにはしっかり聞こえちゃいました。
「みばえ?」
「でも、かっこいいだろ?ご先祖様が編み出した技なんだよ。アランはもう出来るようになるなんて流石私の息子だ」
パパは嬉しそうに言っていますがママの反応は微妙です。
「難度が高くて、見栄えはかっこいいけど・・・マナの消費量と攻撃力が見合わないわよね」
「・・・そうでもないよ?」
「男性は、ほぼ力技でしょ。セシルは覚えなくていいのよー。」
にっこり微笑みながらママは頭をなでなでしてくれました。おぼえなくていいそうです!忘れます!そのあともお兄様達は炎の魔法をいっぱい出して来ます。剣を振るいながら同時に炎の球をだしたり、炎の壁をだしたりしてお爺様と戦ってます。
「まほー!まほー!!じーじーにーにー!」
すごいです!思わず手を叩いちゃいます!!
「すごいわねー、セシルもやってみる?」
セシルもですか?セシルはやらないですよ?首を横に振れば、困った顔をされました。
「セシルも魔法使えるよ?お兄様達とおんなじ魔法がね」
そうパパにも言われました。魔法はすごいですけど、セシルが魔法ですか?柔道とか合気道で応戦した方が早そうです。んー?柔道ってなんでしたっけ、あとちょっとで思い出せそうです。ん〜ん〜悩んでたら、ママに呼ばれました。
「セシル、お熱が出ちゃうから今考えてることは後にしましょうか。」
「おもいだせないの。じゅうどーとかあいきどーとか」
「・・・セシル。神様のお庭のことは無理に思い出しちゃダメだよ」
パパにも言われちゃいました。おでこにチューしながらくすぐるのはだめです。
「くすぐったい!あはは!やだ!パパ!こうさん」
「降参かー残念」
3人で騒いで居たら、お爺様に呼ばれました。
「セシルおいで」
ママに椅子から降ろされてお爺様のところに行くとお爺様が小さい剣を渡してくれました。
「??」
「セシルも一緒にやってみようか?」
思わず首を横に振ってしまいました。
「んー剣には興味ないかい?じゃー魔法はどうかな?」
そう言ってお爺様はお手ての上に炎を出しました。
「セシルも出してごらん」
「う?セシルだせにゃい!」
「だせるよ!兄様といっしょにやろう!」
そうジョゼフお兄様がセシルの手をとりました。じんわりとお手てが暖かくなって来ます。手のひらを上に向けて掬うような形にされました。
「小さい炎を思い浮かべて、手のひらにだすんだ」
「ちいしゃいほのおー?」
ほわほわーっとした炎が手のひらにある感じを想像したら、ぽわっと炎が現れました。
「ほのおー!!」
「うまいうまい!セシル上手だね」
褒められました!すごいです!セシルすごいです!
「ぽかぽかー!!!ママー!パパー!みてー!!」
ママに見せなければ!振り返ってガゼボにいるママ達の方へ駆け出しました。
「あ、セシル!」
「まずい!」
後ろでお兄様とお爺様の声がしました、おてての炎が消えないようにかけてると、手のひらの上で揺らいでた炎が突如火柱になって目の前に立ち上がりました。
「ひゃ!!!」
パッと手を解放しても、手の周りに炎が巻きついて来て怖いです。振っても消えません!
「ふえええええ!!!ママーー!!!うわーーーん!!」
セシルの周りに炎が舞って、草にも燃えうつりました。怖いです!
「セシル!!落ち着いて!!」
「セシル!」
ふわっと持ち上げたのはお爺様でした。怖いです!!とっても怖いです!!ママがいいです!!怖いです炎こわいです!
「大丈夫じゃ、セシル落ち着くんじゃ」
そう言ってお爺様が、セシルの両手をすっぽりと包むと、すーっと何かが抜けてく感じがしました。
「ママーママー!!」
「セシル、大丈夫、大丈夫よ。嬉しくってマナが強くなっちゃっただけだからね」
頭をぎゅーってしてくれたのはママでした。
「ふぇえええええママごわがったのぉー」
「大丈夫、大丈夫よ。自分の炎では傷つかないからね」
「ふえぇーー」
「ふむ、もう大丈夫じゃ、マナを戻すぞ」
しゅーって抜けてたのが、ぽかぽかしはじめました。でも眠くなって来ます。
「ママーひっくひっく」
手を振り払ってママにしがみつくと、今度は背中がぽかぽかして来ました。
「大丈夫、大丈夫。今お爺様がセシルの体にマナを元に戻してるだけよ。」
「セシル、大丈夫?」
エドガーが父親の足にしがみつきながら聞きました。父親の後ろには息子達がしがみついて、母親とお爺様の様子を伺って居ます。父親が盾となってセシルの炎の壁から守っていたのです。
「大丈夫だよ。疲れて眠ってしまったみたいだね。」
「ひっくひっく、僕、セシルに嫌われたかな?」
「どうして?」
アランがびっくりして聞き返しまた。
「だって、ひっく、ぼく、制御ちゃんと、うぅ・・・できなかった。」
ポロポロと涙をこぼし始めたジョゼフにアランは涙を手でぬぐいながら言いました。
「できてたよ。ただ、セシルが嬉しくなってジョゼフの手から離れちゃっただろ?それは仕方ないことだよ、ジョゼフのせいじゃないよ」
「そうだぞ、ジョゼフ、ちゃんと制御できてた。お前のせいじゃない。泣かなくていい」
力強く父親がジョゼフの頭を撫でて、抱き上げました。そのままジョゼフは父親にしがみつきました。
「でも、セシルのマナは多かったよね。なんで?セシルはまだ赤ちゃんなのに」
「そうだね・・・」
父親は辛そうにそう答えるだけでした。
「思っていた以上にマナを持っておったの。神の庭の子供はマナが多い事があるが、赤子のうちからここまで放出できるほど持っているのは珍しい。」
ぐっすりと眠ってしまったセシルを抱きしめながら、母親は悩ましげに答えた。
「そうですね。普段全く魔法を使う様子がなかったので、油断してましたわ。あんなに強い魔法に変化するなんて」
「困ったのう。トラウマになってしまったかのー」
泣きながら眠るセシルの様子に、お爺様はすまなそうにセシルの頭を撫でました。
「お爺様、セシルは大丈夫?」
ウジューヌが聞くと、お爺様は頭をかきながら答えました。
「大丈夫だと思うんじゃがなー」
「今日は、もう戻りましょうか。おやつにしましょう」
「そうだね」
「おやつ!」
「セシルの分も残しといてあげて」
エドガーは母親の腕の中で眠るセシルを見ながら言いました。
「ふふ、エドガーは優しいわね。えぇ、ちゃんと残しときますよ」
*
キラキラ光るお庭でセシルはお兄様とかけっこしています。さっきまで何かをしてたのに思い出せません。セシルのことを呼ぶ声で振り返れば、そこには嬉しそうな顔のママとお父様!
側に行きたくて、今度はそっちに駆けて行くと、いきなり目の前に炎が立ち上がって二人が見えなくなってしまいました!振り返ってもお兄様がいません!キラキラしてたお庭が炎で真っ赤っかです。セシル一人だけです。怖くて暑くて泣いてると、またセシルを呼ぶ声が聞こえます。
「セシル、大丈夫。大丈夫よ。」
優しく背中をトントンしてくれる感触がします、ママの匂いがします。
「ママー!ママー」
「よしよし、セシル、起きて。それは夢よ」
優しい手の感触に目が覚めれば、目の前にママがいました。
「ママ〜」
「おはよう、セシル。」
「ほのおがばーってセシルね、うわーんてね」
さっきのことを伝えようとママに説明すると頭をいいこいいこされました。
「そう。怖かったのね、もう大丈夫よ。」
「ママとパパが消えちゃったの、ふぇ〜」
「ママとパパは消えてないわよ。ほら、いるでしょ?」
抱っこしてくれているママが周りを見せてくれました、そこにはパパとお爺様がお茶をして居ました。
「いりゅ。ひっく」
「泣かないで。セシルお菓子があるわよ」
「たべる」
お母様がお口にクッキーを持って来てくれます。かぶりつけば甘くて美味しいです。
「まるで子リスのようじゃの〜」
そう言いながら、お爺様がセシルの頬をつつきます。食べてる最中に頬を突っつくのはダメです。お爺様のお手てをペシペシ叩いておとします。
「ご機嫌はなおったかのー」
「大丈夫そうですね」
「?」
あーっと口を開けたらまたお母様がクッキーを入れてくれます。
「おいしい?」
うんって顔でうなづけば頭を撫でられました。
「それじゃー午後また、じいじと魔法をつかって遊ぼうか?」
魔法?魔法ってさっきの炎ですか?ぼわっとでたあれ・・・。
「・・・ふぇ」
怖くなって涙が出ちゃいました。お爺様のお顔がすごいことになってます。
「おお、セシルごめんな。まだ早いな、泣くなー。炎はかっこいいぞ、キラキラ作れたりするぞー。」
いろんな炎を出してきますが怖いものは怖いんです。
「父上、焦りすぎです。しばらくは、セシルに魔法は教えなくても」
「だがなー、お前達は良くても、周りが許さんだろう。一つでもマルディ家のものを習得してることを見せんと」
「そうですが・・・」
「セシルは確かに可愛い。だがな、これからの事を考えたらセシルのためにも、少しは使えるようにせんと、いつまでも私たちで守れるわけでもないんじゃから」
「「・・・」」
ママとパパがしょんぼりしてます。
「じいじ!ママとパパいじめちゃ、めっ!!」
「ん?じいじは虐めておらんよ〜誤解じゃよ〜」
「そうよ、お爺様は、ママとパパに教えてくれたのよ。」
「ほんとう?」
「あぁ、本当だよ。セシル。優しいね」
パパが頭をなでなでしてくれました。
「といっても、今の状態じゃ、今日セシルに魔法を教えるのは厳しいの。ん〜侍女を一人つけるしかないかの、守護派で侍女になってくれる人を探すかの。いつまでも、神の庭の子と隠し通せることでもないだろう、今のうちに守りにも力をいれんと。」
「そうですわね」
「サムディ家あたりでいればいいんだが」
「そっちはワシが声をかけてみる。」




