お爺様が来ました
セシルが知ってることはお兄様が知らないことばっかりです。セシルが何か言うたびにお兄様達は。
「それは、お外で言っちゃダメだよ。」
「それはここにはないんだよ、かわりにこれであそぼ。」
「んーようかんは知らないけど、このお菓子ならあるよ。おいしいでしょ?」
知らないって言うの。どうしてだろう、セシルが知ってるのは何もないの。それに最後は必ず、こう言われるの。
「ママとパパ、僕たち以外に聞いちゃダメだよ?」
「あい」
しょんぼりしながら返事をするとお兄様は頭を優しくナデナデしてくれます。
「セシルは、神様のお庭のことを知ってるだよ。でも僕たちはもう神様のお庭のことは覚えてないからわからないんだ」
そう、お兄様に言われました。
「おにわ?」
セシルが知ってることは神様のお庭のことなのかな?とっても不思議です。そんなお話をしているとママが子供部屋に来ました。
「私の可愛いお姫様、どうしたのしょんぼりして」
「お母様、セシルはお庭のこと思い出しちゃったみたいなの」
そうジョゼフお兄様がママに言いました。
「あらあら、困ったわね。セシル」
「ママ、みんな無い無い、いう。どうちて?」
「・・・セシルはもう神様のもとからママとパパの子になって、マルディ家の一員になったの。今まで住んでいた場所と違うから、色々と違うし無いのよ。」
「ちがう?」
「そう、違うの。ママはね、セシルにはもっとこの世界のことを知ってほしいなーって思うの。神様のお庭になかったものがいっぱいあると思うのよ」
「うん」
「じゃー今日は一緒にお茶をしましょうね」
「あい!」
「ジョゼフも一緒に行きましょう、ドラハお爺様がいらしたわよ」
「お爺様!行く!いきます!」
ぴょんっと立ち上がってジョゼフはママよりも先にお部屋を飛び出しちゃいました。
「じょーじょー、いっちゃったーママー?」
「ふふふ、私達も一緒に行くわよ。セシルはお爺様のこと覚えてるかしらね?」
「?」
ママに連れられてついた先には、おひげの生やした恰幅のいいおじいさんがいました。
「お爺様!!」
その腕にジョゼフお兄様とウジューヌお兄様がぶら下がって、楽しそうに遊んでいます。セシルもぶら下がって見たいです。
「はっはっは!元気だな!我が孫達は!」
また、廊下から走る音が聞こえてくると、扉を勢い良くあけたのはアランお兄様でした。
「お爺様!!僕、炎剣が作れるようになったよ!」
「おぉおお!!アラン、もうで出来るようになったのか!!凄いぞ!!」
二人を腕にぶら下げたまま、アランお兄様を持ち上げたお爺様に、セシルはびっくりです!パパもやりますが、執事や従者のお兄ちゃんは笑顔で無理ですって言ってました。やっていいのはパパにだけって。お爺様にもやっていいみたいです。お茶のお部屋は一気に大騒ぎです。そのあとにエドガーお兄様もきて、同じように抱き上げられてます。
「お父様、そろそろセシルにご挨拶をさせてもいいでしょうか」
「おぉ!セシル!お爺様じゃよー、じいじじゃよ〜」
「じいじ?」
「女の子はまた、格別にかわいいの〜」
そう言いながら、セシルの方に腕を差し出して抱っこしてくれました。お兄様達は今はお爺様の周りにくっついてます。お爺様ってなんだか、誰かに似てる。誰だっけ?そうおもってたらパッと頭の中でひらめきました。
「かーにぇるあんだーすだ」
フライドチキンのおじいさんに似てるの、でも名前がうまく言えない、ママの方を振り返って言っても首を傾げられちゃった。
「どうした?」
「かーにぇるあんだーす、ママ、にてるの」
「ん〜?」
お爺様が首を傾げてる。
「じいじ、にてるのぉ!」
思わず力が入ってしまったけど、お爺様は困った顔しかされない。
「ん〜、セシルは神様のお庭でわしと同じ顔の人にあったのかな?」
あ、さっきお兄様に言われた言葉です。神様のお庭ってなんだろう?お家のお庭とは違うのにみんなお庭っていうの。
「おにわ?」
思わず首を傾げちゃう。またここに無いモノなのかな?ん〜って考えると頭が暑くなっちゃってぼーっとしちゃいます。
「セシル。お爺様にちゃんと挨拶しましょうね。出来るようになったのよね?見せてあげましょう」
そう言ってママが抱っこして降ろしてくれました。そうです、教わったんです。ドレスの端を掴んで、右足を後ろに置いて曲げて挨拶する、淑女のお辞儀ほうほうです。
「あい!セシルともうしましゅ!よろしくおねがいしましゅ」
「おー立派なお姫様じゃな〜かわいいかわいい」
「セシル可愛い!」
「上手だよ!」
お爺様やお兄様が褒めてくれました。むっふーセシルはお姫様だからちゃんとママとおんなじ挨拶をするのです!ママにちょっとずつ教えてもらってるんです。
「ママ!できた!」
「えぇ、上手にできたわね。偉いわセシル」
ママに頭をナデナデしてもらえました。その次にはお爺様に抱っこされて、ソファに移動です。お爺様はセシルを抱っこしたまま座るとお膝の上に乗せてくれました。いつもより高い位置でなんだかワクワクしちゃいます。両脇にお兄様達も座って一緒にお遊びしてくれます。ママとお爺様はなんだか難しいお話してます。
ジョゼフお兄様が持って来た馬が、セシルを飛び越えて、エドガーお兄様に飛んで、ウジューヌお兄様、アランお兄様と移動しながら、騎士のお人形が戦います。
「我こそは、炎の剣を操る騎士!」
「えー僕がそれやりたい」
「だめー僕が先に名乗ったんだからね」
「じゃー僕は守護の騎士!」
「僕はお姫様を守る騎士。セシル姫、僕が守るよ」
「あい」
お人形の手を取って、エドガーお兄様が頭をナデナデしてくれます。
「ずるいエドガー」
「僕だってセシルを守るんだからね」
「フォッフォッフォッ、いつのまにか孫達は可愛い騎士になったもんだ」
「ふふふ、やっぱり妹ができると変わるみたいですわ」
お茶とケーキが食べ終われば、お昼寝の時間です。ジョゼフお兄様とエドガーお兄様は一緒にお昼です、アランお兄様とウジューヌお兄様はお勉強の時間だそうです。
「じゃーまたね、セシル。」
「あい!」
「お兄様〜またね〜」
お手てを振って、お爺様に連れられて子供部屋の大きなベットに並んでお昼寝です。
速攻で寝てしまった3人を見つめながら、ドラハとセシルの母親は真剣な表情で話し始めました。
「それで、シュゼット。話とはセシルの事かな」
「はい、一応一部封印はしてもらっているのですが、神の庭と現実がついてないようで会話の端々に出てきてしまうんです。」
「そのようだの〜、体にも影響が出ているようじゃが、他には何かあるかな?」
「庭の記憶を話した後は熱や湿疹が出ることが多いですわ。それと、剣に全く興味がないようなんです。女の子らしいことには興味があるのですが、炎魔法にも剣にも、反応を示さなくって、魔力はあるんですが揺らめきすらしないんです。」
「ふむ、神の庭の記憶が邪魔してるんじゃろう。使えることもわからない可能性があるな。ちゃんとセシルの前で見せたのかい?子供のうちは興味があちこちに飛ぶからの、ちゃんとそういう場所を用意して見せてあげたほうがいい。」
「そういう意味ではちゃんとは見せて居ませんわ。・・・何かの拍子で神の庭のことを話してしまうんではないかと怖くって、まだ外部の人間がいる前では出して居ません。」
「なるほど。なら、わしが孫達を見よう。その時にセシルに魔法を見せればよい。」
「わかりました、お気遣いありがとうございます」
「なになに、気にするでない。神の庭の記憶を持った子供は難しいものじゃ。記憶が邪魔をして馴染めない子は特にな。その点、セシルは大丈夫そうじゃな」
「・・・はい」




