かえります!
セシルは木のおもちゃを手に入れました。これは、カルロがくれたらしいです。お祖母様が頭をなでなでしながら教えてくれました。机の上でカルロとルッツと三人で遊んでたら、今日はお家に帰れる日でした。
お祖母様に抱っこされて、お城のお庭とか言うところに来ました。そこには不思議な文様が描かれた石畳があります、ここが行き来する場所らしいです。
でもそこで、カルロがお祖母様にしがみついちゃいました。セシルはお祖母様に抱っこされたまま足元を見下ろしてますが、離れる様子がないです。ひっつき虫になってます。
<いやだ!>
「おい、離れろ!!」
ルッツが怒って引っ張ってますが離れる様子がないです。
「<こらこら、カルロ。離れなさい>」
バルトロも言ってますが、カルロは離れません。
「バーバ、どうしてカルロくっついてるの?」
「そうさねぇ・・・」
お祖母様は呆れながら片足だけあげました。すごい脚力です。片足立ちですよ!カルロはしっかりとお祖母様の足にくっついてます。
「カルロ、いい加減離れてくれないかのー?」
<いやだ!だってフィー姫も帰っちゃうんでしょ!!僕全然遊べてない!姫と一緒にもっと遊びたい!僕も一緒に行く!!>
その言葉にバルトロが頭を掻きながら言いました。
「<無理だって。フィーの国に俺たちは行けないし、行けたとしても・・・自分が自分じゃなくなる。カルロ、離れなさい。>」
<いやだー!一緒にいたいー!>
バルトロの言葉に、カルロが泣き始めてしまいました。困りました。セシルは早く帰りたいです。
イネスも困ったように呟きました。
「困りましたね。ドミニク様、どうしましょう」
「ドミニク!早くこいつを放りなげろ!」
ルッツはちょっと横暴です。
「はぁ。カルロ。離れなさい。姫が驚いてるぞ。ほら、みてごらん」
そういうとカルロはお祖母様の足にくっついたまま見上げて来ました。
<ヒッく。ひっく。フィー姫かわいい>
「<はー・・・>」
「親子じゃな・・・」
お祖母様もバルトロも大きなため息をつきました。なんて言ったんでしょうか?お祖母様は教えてくれる様子がないです。
「何?なって言ったの?」
お祖母様に聞いても、頭を撫でられるだけです。お祖母様はあげていた足を下ろすと、セシルも降ろされました。
「姫や、カルロの頭を撫でておくれ、侍女や頼んだぞ」
「ん?」
「あ、畏まりました」
撫でればいいんですか?お祖母様の足にひっついたままのカルロの頭を撫でると、カルロのお顔は真っ赤になって、お祖母様の足から離れました。
<フィー姫!!>
その手はセシルに向かいましたが、ドンッという音と共にとまりました。セシルの周りに薄い膜が出来上がってます、これはイネスの魔法です。
<なんで!>
「ナイスじゃ」
「よくやった!い・・・姉や!」
お祖母様とルッツがイネスを褒めてます。イネスは苦笑してますがそのまま手を振るうと、その膜が広がってお祖母様とセシルを包みました。
ズルズルとカルロが押されると、そのままバルトロに抱き上げられました。
「<ほら、諦めろ。>」
<嫌だー!父上!おろして!!フィー姫が行っちゃう!!>
「カルロ。姫は本来なら、この世界には来てはいけない年齢なんじゃ。」
お祖母様が諭すようにカルロに話しかけました。
<じゃー次はいつ会える?姫が来ていい年齢はあとどのくらい?>
「それは、難しいの〜・・・そうだな、魔法が上手くなれば、お話ぐらいはできるようになるかもしれないな」
<僕が契約者になったら姫は来てくれる?>
「姫は契約者にはならんよ。我が家の中で一番血が濃い姫だからな。本来なら、この世界に来ては行けないんじゃよ。だからカルロ、お前は幸運なんじゃ」
そうなんですか?初めて知りました。お祖母様のお話は知らないことばかりです。
<これっきりなんて嫌だ!!>
カルロが大きな声で叫びました。ちょっと怖いです。
「<カルロ。言ったろ、魔法を鍛えれば会話くらいはできるかもってな。これから精進していけばいい。これ以上とどめておくのは姫の体に悪い。ドミニク世話になったな。また呼ぶと思うから、またよろしく。>」
そうバルトロが締めくくると手を振りました。お祖母様も手を軽く降って言いました。
「あぁ、世話になったな。こちらも、また連絡すると思うからな。よろしく」
「ばいばーい」
セシルもお世話になりましたから、バルトロとカルロにおててを振りました。
<フィー姫!!!>
カルロがまた泣きながら手を振って来ました。ちょっと引いちゃったのは秘密です。
お祖母様が床の石に、剣で軽く叩くと火が吹き出し、柄に沿って燃え上がるとそのまま空間が歪みました。怖くてお祖母様にしがみついてると、大きく揺れ動いたと思ったら、懐かしい空気を感じました。
「セシル!!!」
顔をあげれば、ウジューヌお兄様がお爺様に肩を掴まれた状態でいました。
「・・・ウジューヌおにいしゃまぁー!!」
なんででしょう、お目めからいっぱい涙がでてきます。お兄様に手を伸ばせばお祖母様がお兄様のところまで連れてってくれました。
「セシル!!よかった」
お兄様がぎゅーっと抱きしめてくれました。お兄様の匂いです。今までそんなこと思ったこともなかったのに、お兄様の匂いがします。
「うわぁあああああん」
「・・・セシル痩せた。前より軽くなってる」
お兄様が悲しそうに呟いてるのが聞こえました。セシルはお兄様に久しぶりに抱っこされて離れたくないです。とっても安心します。涙が止まりません。
「ルッツ様はこちらに」
「あぁ・・・」
「イネス、良く頑張りました。」
「エメ様・・・」
「おっと」
「知らせを!」
「魔石の用意を」
後ろでバタバタと人が動いて行くのを感じましたが、セシルは久しぶりのお兄様から離れたくありません。ぎゅっと抱っこしてもらってるのでそのまましがみついてます。お兄様はセシルが落ち着くまで背中をずっと優しく撫でてくれました。
「ウジューヌ、よく耐えたね。」
お祖母様がお兄様の頭を撫でてるを感じました。そのあとセシルの頭もなでなでしてくれました。
「お祖母様、ありがとうございます。」
「当たり前のことをしたまでさ」
「さぁ、ウジューヌ。セシルを部屋で休ませよう。栄養のあるものも出してあげないとね」
「はい」
「ウジューヌ!!」
お兄様を呼び止める声が聞こえました。セシルも顔を上げてみれば、ルッツが騎士さんたちに囲まれていました。
「ルッツ・・・」
「悪かった。俺・・・」
「ルッツ、お前が無事でよかったよ。また、来年王都で会おうな。その時まで、ちゃんと俺も勉強するし、鍛えるよ」
「ウジューヌ・・・うん。俺も勉強するよ。じゃーまた」
「あぁ、またな!」
そう言うと、ルッツは用意された馬車に乗ってしまいました。お爺様達のお城は綺麗になってました。穴が開いた部屋はまだ工事中でしたが。セシルはお兄様と同じお部屋でずーっと抱っこしてもらえました。
お医者さんの診察で丁寧に調べられて、マナ不足でしばらくは絶対安静だそうです。お兄様と一緒にいるのが今のところ一番いいらしいです。もっといいのはお母様と一緒にいることらしいです。
「ママに会いたい」
思わず口に出してしまいました。涙も一緒にこぼれちゃいました。
「セシル・・・そうだよな。ママにも会いたいよな。ごめんな、お母様はセシルが攫われたって知って、心労で倒れちゃったんだ。だからこっちに来るのが遅れてるんだ。だから、お母様がこっちに来るまでにセシルも元気になってお母様を安心させてあげよう?そんでいっぱい甘えような」
「ママ・・・すぐこれない?・・・パパは?」
「お父様は・・・セシルを助けるために、王都でいろいろ作業してたから・・・お母様と一緒にくるよ。あぁ〜泣かないで、俺がいるだろ?一緒にいるからさ」
「ウジューヌお兄様」
「うん」
ぎゅーっとお兄様が抱きしめてくれます。お兄様がとっても優しくなって、アランお兄様みたいになりました。一緒におててを繋ぐか抱っこです。お勉強の時も隣に座らせてくれます。セシルはお兄様にくっついてると安心するのは、兄弟だから火のマナの波長が合うせいらしいです。
武術のお勉強の時だけ、お祖母様に抱っこしてもらってます。使用人の人たちはみんな悲しそうな顔をしてるのが辛いです。どうやらセシルは攫われる前よりも痩せちゃってるみたいです。
しかも、話から総合するに、セシルは21〜28日間くらい攫われてたっぽいです。気づかなかったです。イネスもこっちに戻ってから体調を崩して寝込んでます。エメ曰く、長時間結界を貼り続けた反動による疲労だそうです。
イネスは疲れてマナが安定しないから、弱ってるセシルは今は会えないそうです。ちょっと寂しいです。
そんな風に数日が経った後、窓の外を見たら大きな馬車が勢いよく入って来るのが見えました。
「ウジューヌお兄様、馬車」
「本当だ。お父様達かな?」
セシル達の会話にお祖母様も窓の外を見ました。
「あんな無茶な走りをさせおって」
お祖母様がそう呟きながら、お兄様とセシルを玄関に連れて来ました。セシルはお兄様の腕の中です。
馬車が止まる音がするなか、扉がバーンと勢いよく開きました。
「セシル!!ウジューヌ!!」
「セシル!!」
お父様とお母様、そしてお兄様達が飛び込んで来ました。
お母様はセシルとお兄様ごと抱きしめてくれました。
「ママ!」
「あぁ!!よかった!!」
お母様が泣きながら抱きしめてくれました。セシルも涙が出て来ちゃいました。
「ママー」
「ウジューヌ。よく頑張った」
「お父様」
お父様もお母様ごと抱きついて、少し泣いてます。お兄様も少し泣いてます。
「セシル!ウジューヌお兄様大丈夫?!」
「お母様セシルを僕たちにも見せて」
「ほらほら、ここじゃ、他の人達の邪魔になる。部屋を用意してあるから移動して、疲れを癒しなさいな。かなり無理して来ただろう。この通りセシルは無事じゃ。ウジューヌも騎士らしくあったよ」
「母上、父上ありがとうございます。」
「お義母様、ありがとうございます」
お部屋を移動すると、セシルは久しぶりのお母様の腕の中でうつらうつらしてしまいました。でも離れたくないです。
ジョゼフお兄様が頭を優しくで撫でながら言いました。
「セシル、なんだか弱々いしよ」
エドガーお兄様がセシルの首にかけていた、お母様から貰ったネックレスを取り出しました。
「石がこんなに小さくなってる」
「火のマナがない場所にいたせいね。でもよかった。お守りが役に立って」
お母様がぎゅっと抱きしめながら震えてるのを感じました。
「みんな、いっぱいセシルを触ってあげて、マナが無くなりかけた子には身内が触れるのが一番なのよ」
お母様がそう言いながらお兄様達の手を取ってセシルの頭をナデナデしてくれます。
家族が揃った安心感か、お兄様達の声を聴きながら、セシルはお母様の腕の中で眠ってしまいました。




