二人の王子とお姫様
ドミニクは平野とかした土地で騎乗しながら槍を振り回し、敵陣の中に突っ込んでいた。その槍の先端には炎が巻き付き、それだけで人々は怯え逃げ惑ったり勇敢にも剣を向けるものもいる。力強く振るわれた剣も、ドミニクの槍にぶつかれば、相手の剣が天高く吹き飛んでいく。
「軽いの」
大きく振りかぶり、炎の球を出現させて破裂させれば、気弱なものは上官の指示を無視し戦線離脱をするものが増えて着ていた。
<フィーがいるなんて聞いていない!!>
<こんな戦無理に決まってる!!>
<逃げるな!!!立ち向かえ!!!>
<安全な場所で騒ぐ奴らの指示なんて聞いてられるか!>
ざわめく戦場でドミニクは、焦り出した敵陣の様子を見ながら、ぐるりと戦場を見渡した。契約者の元に向かう集団を見つけ、手綱を引き寄せ、すぐさま方向を変えて走らせた。
*
目が覚めたら、天井が知らない木の柄です。両脇にはイネスとルッツがいました。起き上がると、イネスがん〜って言った後、目がぱちっと開いて慌てて起き上がりました。
「わぁ!気が抜けてました!私としたことが!」
「おはようー」
「おはようございます。姫様」
イネスが慌ててベットから降りて、衣服に着替えてます。セシルもベットから降りて、お部屋の窓に近づきました。なんか、そわそわします。ふわっと何かが爆ぜるのを感じるです。
「どうされました?」
「イネス。ブワッとするの。あっちで」
窓の外でブワッとするのを感じるんです。指差す方向を見ながら、イネスはセシルにドレスをかぶせてきました。お外が見えないです。
「それでしたら、ドミニク様が戦われている最中です。火のマナが集まって激しく動いてますから。姫様は、それを感じられているのでしょう」
「火のマナ?」
「えぇ、この世界はマナが不安定みたいですね、誰かが魔法を使うと感じやすいです。使う場所にマナが集まるようですよ」
「ほえ?セシル達の世界では感じないよ?」
「そうですね、私たちの世界であれば、こんだけ距離があったらわかりませんね。かなり大がかりの魔法を使うとかしない限りは。あ、ルッツ様が目覚められましたね。姫様。おまちください」
「はーい」
ルッツもベットから降りると大きな欠伸をしてます。イネスが着替えを持って、頭がフラフラしてるルッツに着替えさせて行きます。
「おはよう〜ひめ」
「おはようー!王子!髪の毛 はねてるー」
頭からピョーンと上に向かってる髪の毛を押せてみると、ルッツはセシルの頭をぐちゃぐちゃされちゃいました。
「やーめーてー」
「鳥の巣みたいだな」
「ぶーーー!!イネス!」
「はいはい、お遊びはそこまでですよ。髪の毛を整えましょう」
イネスが櫛で髪の毛を梳かして、三つ編みを作ると頭にグルーっと撒かれました。
「おお?」
「これで、頭をぐちゃぐちゃにされませんわ。」
なんかかっこいい髪型になりました。隣の部屋に移動すると、昨日見た侍女さんたちが待ってました。お辞儀をすると、ポケットから木の板を出して見せました。
「食事を用意します。と書かれてますね」
「ばーばの字だ!」
イネスがうなづくと、侍女さんもうなづいてお部屋から出て行きました。
「なるほど、言葉が通じないからな。あらかじめ用意しといてくれたのか」
ルッツはそう言いながら、昨日座った椅子の上に座って机の上に置かれていたオレンジみたいな果実をとって皮を剥いて食べました。足は机の上にどかっと置いて。
「おぎょうぎ わるい!」
「別にいいだろう。うるさい大人がいないし」
「王子、姫様の教育に悪いのでやめていただけますか?」
ニッコリ笑顔でイネスが、ルッツの足を指差して言いました。
「・・・はい」
ルッツがお行儀よく食べ始めたので、セシルはイネスに向かって両手を広げました。
「ふふふ、抱っこですね」
「うん!」
抱っこしてもらってからお椅子に座ると、侍女さん達が戻って着ました。机の上に食べ物が並べられると、扉から昨日の男の子、カルロが入ってきました。
<僕も一緒に食事するぞー!>
「お前なんて呼んでないぞ!勝手に座るな!」
ルッツが立ち上がって怒ってます。
<何を言ってるか分かんないな。ねー姫>
ニッコリ何か言いながら、カルロがセシルの方を向いて笑顔をむけてきました。思わず首を傾げれば、笑顔が深まりました。なんだか、面倒そうなので、出された食事に手をつけることにします。
二人は言い争いながら食事をしてます。
固いパンに、スープとお野菜とスクランブルエッグです。パンをスープにつけながら食べますが、あんまり美味しくないです。
「イネス。美味しくない」
「姫様、ここで一番美味しい料理かと思います。あと1日の我慢ですよ。」
「本当だ、まずいというより、味が薄いのかな?前の場所よりは見た目はましだが、ん〜マナの量が少ないのかもしれないな。これだったら果物を食べたほうがマナが多いぞ。」
「加工の仕方の問題かもしれませんね」
「ほえ」
マナが足りないと美味しくないってことでしょうか。そういえばポケットに宝石いれてるんでした。縫われた糸を引っ張ったら簡単に抜けて、ポケットの中に手を突っ込みました。
「あれ?」
手の中には小さい赤い石だけです。おかしいです、ポケットに入れた時は大きな石でした。
「イネス、ちいちゃくなったー」
「どうされました?あー、魔石が小さくなってしまったんですね。大きいので持つと思ったのですが」
困ったようにイネスがセシルの手の魔石を見てます。
<火の魔石なんて持ってたの?>
カルロも覗いてきました。
「意外にマナの量は少なかったか。まードミニクもいるし大丈夫だろう。全部吸い取っても」
「ほえ?」
「手でぎゅーっとにぎって、マナだけを体に取り込むんです。最後にただの黒い石が残るんですよ」
「ほう」
ぎゅーっと握ってパッと手のひらを開いたら、赤い石が消えて、普通に足元に転がる石になってました。
<フィーって本当に魔石食べるんだな!!凄い>
カルロはなぜか興奮してます。
「姫様、スコーンはまだありますか?」
「ありゅ」
「姫様には、まだマナが足りませんので、スコーンを召し上がってください」
マナの量が問題みたいです。ボロボロになってきているスコーン。ちょっと湿気ってるけど美味しいです。体が少し楽になるのが謎です。でも出来立てが食べたいです。
「ばあやのお菓子が食べたい。お家に帰りたい」
思わず口にしたら、何だかお目めが熱くなって来ました。ばあやの作るスコーンはちょっとしょっぱくて甘いスコーンなんです。時々こっそりくれるんです。
「わ〜姫様〜どうされたんです?!可愛いお目がこぼれちゃいそうですよ。」
イネスが慌てて、ハンカチで目元を拭きながらイイコイイコしてくれます。
「ママにあいたい」
「姫様・・・大丈夫ですよ。帰ったらすぐに奥様に会えます。それまでイネスが代わりにぎゅーっとしてますね」
イネスがぎゅーっとしてくれても、お家を思い出したら寂しいです。ルッツもお手手を繋いでくれました。
「大丈夫だよ。姫、僕が一緒だ。そうだ、家に帰ったら我が家のお菓子を届けるよ。うちのシェフの作るお菓子も美味しいだよ。何が好き?タルトもシューもスコーンも色々ある」
<どう、どうした、フィーの姫が泣いてるけど。お家が恋しくなったのか?〉
カルロも慌てて、なぜかポケットの中を漁ってます。出てきたのは、木彫りのライオンでした。
<これ、俺の宝物!やるよ。めっちゃつよい炎の獣なんだぜ!強くなれるんだ>
何を言ってるのか分かんないけど、セシルの手に木彫りのライオンを握らされました。
「何これ?」
「リオンだな。てか、お前ポケットにいっぱい入ってるな。」
ルッツがカルロの方に向き直すとポケットから他の動物の木彫りも出て着ました。なぜか机の上に並べて二人は遊び始めてます。
「かっこいいな!それ」
<これはいっぱいあるんだ>
「よわっちそう」
<これは食料>
「こう並べようぜ」
<おまえ、その並べ方かっこいいな!>
二人ともなんだか楽しそうです。さっきまで言い争ってたのに。
「イネス、会話してる?」
二人を指差して聞くと、微妙な顔で首を傾げてます。
「まー遊びに言葉は不要なんですよ。」
「ほえ?」
二人の不思議な遊びを見ていたら、お祖母様が帰って着ました。
「私の可愛い姫。体調はどうだい?」
「ばーばー!」
ぎゅーっと抱っこされると、やっぱり落ち着きます。しっかりを頬を挟まれて顔をジロジロ覗きながらお祖母様が言いました。
「顔色は少しましになったかしら。見つけた時には焦ったけど、良かった」
「ばーば、もうおわり? おうちかえる?」
「姫や・・・今日はまだ無理じゃ、今日は他に攫われた子供達が元の世界に戻ったところだが、その子達は水のマナが強い。同じ道を通るには、1日置かないといけないんじゃ。今の姫は弱ってる。その状態では危ない。明日一緒にばーばと帰ろう」
つまり、体がよわってるから無理ってことですか。早く帰りたいのに、まだ帰れないですか。
「うーー」
今すぐ帰りたいです。でも言ったら困らせちゃいます。
「我慢強い子じゃ。あんまり指をしゃぶりすぎると、指が溶けちゃうぞ。よしよし」
お祖母様に指を外されてしっかりと抱っこされてしまいました。背中をトントンされると心地がいいです。
*
「姫は眠っちゃった?」
ルッツが聞くと、ドミニクはうなづきました。
「他の子達は全員帰れたのか?」
「あぁ、無事ついたらしい。我が屋敷にな。メルクルディ家のものを待機させてたおかげか、子供達も落ち着いて、そのまま王都に戻っている最中じゃ」
「そっか、よかった。」
「王がお怒りだそうだぞ」
「げっ・・・」
<ねぇねぇ、ドミニク様!フィー姫は眠っちゃったの?>
「ん?そうだね。まだ幼いからね寝るのも仕事だよ」
<ちぇー姫とも一緒に遊びたかったのに。あ、その木彫りはプレゼントだからね。リオンは守り神なんだ。さっき姫が泣いてたから、僕の守り神をあげたの>
カルロはセシルが握りしてめている木彫りを指差しがなら言いました。
「・・・意外にやるのう。ありがとう」
ドミニクがお礼を言ってカルロの頭を撫でました。その様子にルッツが反応しました。
「ドミニク、こいつ何いったの?」
ドミニクが答える前に、扉が大きな音を立てて開きました
「<かー疲れた!!置いてくなんて酷いじゃないか>」
「事務処理は契約に入っておらんからな」
「<くっそー盛り込んでおけばよかった・・・って二人は何してるんだ>」
ルッツとカルロはドミニクを挟んで、正確にはセシルを巡って言い争っていました。
「お前、何言ったんだよ!」
<何、お前、僕は今フィー姫の寝顔見てたんだけど?!>
「気安く触るなよ!」
<お前のじゃないだろ。だいたい水のフィーのくせに火のフィー姫にくっつくなよ!なよっとしてるくせに!>
「今、俺の悪口言っただろ!!」
「似た者同士じゃな」
「<みたいだな>」




