セシルとウジューヌお兄様
セシルはなぜか、お兄様とナイフ投げをしてます。
最初は輪っか投げをしてたんです。お庭で。木の棒を立てて、その棒に向かって丸くしたロープを投げ入れてたんです。全部入るようになったら、お兄様が今度は難しいのにしようぜって言って、柵に引っ掛けてたら、なぜかナイフに変わって、今は、板にチョークで書かれら丸の中に向かって投げてます。
またトスっと縁の中に突き刺さるとウジューヌお兄様が嬉しそうに声をあげました。
「おーすげー!また真ん中だ!」
「素晴らしいですね。」
エメも手をパチパチ叩いて褒めてくれます。
「あんなクルクル回ってるのになんで、綺麗に突き刺さるんだ?謎だ」
「確かに、ですが、コントロールがお上手ですよ」
「ふふーん!」
セシル、すごいみたいです。お兄様も褒めてくれるし!突き刺さったナイフを騎士たちが抜いてくれています。
「やっぱり、セシルって才能あるよな。コントロールが上手いとなると、弓かな?でも、腕力が弱いし、スティレットなら瞬殺できそうかな?長剣ならエストック?」
「全部突き系じゃないですか。それに早計すぎます」
「そうか?」
なんかよくわからない話をしてます。とりあえずセシルは。
「ウジューヌ兄様。あきた」
「えーもう少しやらないか?」
「やだ。」
「えー」
腕も疲れました。お祖父様たちは、家庭教師を迎えに出て行っていないですし。
「エメ抱っこ!」
「はい、セシル姫」
「エメってセシルに甘いよな」
「そうでしょうか?」
「ふちゅう!」
ぎゅっとエメにしがみつけば、ウジューヌ兄様がすごい顔をしました。
「なんか、俺より懐いてないか?」
「ちらなーい。」
ウジューヌお兄様はすぐ悪戯するからです。
屋敷に戻れば、イネスがお茶を用意してました。エメが降ろしてくれると、ウジューヌお兄様がエスコートしてくれました。
「どうぞ、お姫様」
「ありがとうございます。王子様。・・・えへへ」
なんだか恥ずかしくなりました。お兄様もセシルの頭を撫でくりまわしてます。
「セシルとこうして、お茶をするのは初めてか」
「うん。いつもママとイネスと一緒」
「なら、イネスも座れよ」
「では、ご一緒させていただきます。」
エメが給仕をしてくれました。イネスを見ながら、ゆっくり、カップをとって口につけて、紅茶を飲みます。置く時もゆっくりと、がちゃんって鳴らさないように。
「ふーん。りっぱなレディじゃんか」
「ふふーん。ママとお姫様ちゃんとしてるの」
胸を張って言えば、ウジューヌお兄様が肩を震わせてます。
「かわいいなーうちの妹は」
「左様ですね」
エメが呆れながらケーキをサーブしてくれます。
ケーキも一口サイズにきって、口に運びます。時々失敗してホークからおちやいますけど、手で拾って食べるとイネスがあって顔をしてますけど、黙っててくれます。
「んーまだまだ、食い意地がはってるおこちゃまだな」
そういいながら、お兄様は手でシューを一口で食べてしまいました。
「あーずるい」
「俺は男だからいいんだー」
そうなんですか?男の子だと手で食べていいの?とか思ってたら。
「「ダメです」」
イネスとエメの声がハモりました。
「ダメって言ってる!ウジューヌお兄様うそつき」
お茶会が終われば、今度はお手紙です。昨日と今日のあったことをママとパパ、アランお兄様たちに書きます。
「イネス。あのね、去年はね、ゆうびんやさんがね来てくれたの」
「郵便屋さんが来てくださったんですか?」
「うん。ドラゴンさんにお駄賃あげた!喜んでくれたのー。ここでも来てくれるかな?」
「たぶん、来てくださいますよ。あとで確認してみますね」
「うん」
「はい、ウジューヌ様はちゃんと課題を終わらせてください」
「なんで、俺は手紙じゃなくて課題なんだよ」
「本当に、王都の学園に通えなくなりますよ?」
「・・・」
ウジューヌお兄様はエメに監視されながら、課題をやってるそうです。数日毎にお父様に送らないといけないそうです。
「わからない場所があれば、ここには図書室もあります、調べることも可能ですよ」
「いーー」
ウジューヌお兄様が頭を抱えてます。そういえば、図書室には絵本があるんでしょうか、新しい絵本が読みたいです。
「絵本はー?」
「絵本は持って来てますよ」
イネスが荷物から絵本を持って来ました。
「違うのーお祖父ちゃん家のとしょしつー」
「さすがに、ここには絵本はありませんね」
イネスが困ったように言いました。残念です。
「くそー本当だったら、ルートヴィッヒと今頃遊んでたはずなのにー」
「ルールを無視されるからですよ。」
セシルはお手紙を書き終わってしまいました。イネスにも読んであげました。さて、これから何をしましょう。おもちゃは持って来てるですが、遊びたいものがないです。ウジューヌお兄様が何か新しい遊び作ってくれないでしょうか。
「ウジューヌお兄様まだー?」
「まだだよ」
「はやくー遊ぼうよー」
よじよじと椅子に登ってお兄様の背中にくっついてのぞいて見ました。紙の半分までしか文字が埋まってないです。
「文字いっぱーい。終わった?遊ぼうよ」
「俺も遊びたいよ、エメをどうにかしろ」
お兄様の背中にくっついたまま、横にいるエメを見上げました。
「エメー」
「あと3枚書き上げないといけないので、ダメですよ、セシル姫。ウジューヌ様を急かしてください」
「ダメだってー。早くー」
「んーーーー難しいだよ。」
「セシル手伝おうか?」
首にしがみつきながら、ウジューヌお兄様の顔を覗き込んだら、お兄様が呆れた顔をしてきました。
「セシルは書けないだろうが、だいたい俺が書いてる内容理解できないだろう。」
「うん!」
さっぱり読めないです。
「・・・セシルが邪魔してできないから、もう無理だ。遊ぶ」
「「いけません」」
あら、イネスとエメの声がまたハモりました。そしてセシルはイネスに回収されてしまいました。
「あーー」
「セシル様、ウジューヌ王子のお勉強のお時間をお邪魔しちゃいけません。」
「セシルつまーんなーーい」
「そうですね。私と一緒にピアノを弾きに行きましょう。サロンにピアノが置いてありましたし」
「ピアノ!ひく!!ばいばい!ウジューヌお兄様!」
「おい、お兄様を見捨てるのか!」
お兄様のお勉強は時間がかかりそうです。イネスとピアノで遊ぶ方が楽しそうです。サロンにつけば、小さいピアノが置いてありました。蓋を開けて、カバーを外すとイネスが鍵盤をたたきはじめました。
セシルも横でぺったんぺったん押すと音が出て楽しいです。
そんな風にして遊んでいたら、お祖父様たちが帰って来ました。
「ただいまーセシル、いい子にまってたかい」
おばあさまが荷物を抱えて駆け寄って来ました。
「ついでに買い物もして来てしまったわ。」
ちらっと見た限り、子供用サイズの武器ばっかりに見えます、見なかったことにします。
「ばあさんや、わしにもセシルを抱かせてくれ」
お祖父様にも抱きしめられてたらら、その後ろに綺麗なお兄さんとお姉さんがいました。
「だれ?じいじ」
「おーっと、紹介するぞ、ピアノの先生のエクトルと、マナーの先生ダニエル女史だ。自己紹介出来るかな?」
「できる!おろして!じいじ」
「ほい、お姫様」
お祖父様が床に降ろしてくれました。
お母様にならったお姫様のご挨拶です。片足を後ろにもっていってドレスをちょこっと持ち上げて、背中はまっすぐのまま腰を落とすんです。
「初めまして、セシル・アン・マルディです」
「まぁ、素晴らしい、立派なレディですね。私、マナーの講師を務めさせていただくダニエルです。どうぞよろしくお願いいたします。セシル姫」
ダニエル先生は黒髪をきっちりとまとめ茶色の瞳のキリッとした顔で、とっても綺麗な礼をしてくれました。
「ピアノの講師を務めさせていただきます。エクトルです。どうぞよろしくお願いいたします。セシル姫」
エクトル先生は、灰色の短髪に橙色の瞳の優しそうなお兄さんです。
「じいじ、ピアノ習うの?」
「そうじゃよ。セシルとウジューヌもな。そういえば、ウジューヌはどうした?」
「ウジューヌお兄様、課題終わらないの。エメがめってしてる」
「おや?午前中に終わらせると言っていたのにな」
「午前中はセシルと遊んでたよ?」
「あら、早速約束を破ったのね」
おばあさまが呆れたように言ってます。どうやら約束してたらしいです。
「・・・あやつは」
お祖父様も苦笑してます。
「お仕置きは何がいいかのぉ〜」
「セシルのお馬さん!」
「それじゃ!」




