お祖父様のお家
また今年も来ました。お留守番です。でも今年はちょっと違います。なんと、お爺様たちのお屋敷に来ました。
「セシルや〜」
お爺様の頬ずりはヒゲがあたってくすぐったいです。
「くすぐったいーやーめーてー」
ジタバタして降ろしてもらいました。さっさとエメの足元に避難です。
「では、父上。宜しくお願いしますね。あと、母上、くれぐれもセシルが嫌がることはしないでください」
「わかってるわよー。もう泣かせないわ」
お父様がしっかりとおばあさまに釘をさしてる時にウジューヌお兄様はもめていました。
「なんで!デジレは王都に行くんだよ!」
「当たり前です。私は学院に通ってるですから」
「俺の従者だろ!!」
デジレの腕を掴んでいかせまいとウジューヌお兄様が掴んでいると、お父様が来て引きはがしました。
「当たり前だろう!デジレは今年卒業なんだから、連れて行く!代わりにエメがお前の面倒をみてくれる」
そう言って後ろを指差せば、セシルの横で、笑顔で手を振るエメがいます。
「厳しくいきますよー」
「いーーー」
お兄様がとっても嫌そうです。セシルはジョゼフお兄様に抱きつきながら聞きました。
「おっと、どうしたの?セシル」
「ジョゼフお兄様いっちゃうの?今年はセシルと一緒じゃ無いの?」
そうです、今年はジョゼフお兄様も王都に行っちゃうのです。
「ごめんね、セシル。僕は今年は王都なんだ。セシルと一緒じゃないの」
「じゃーセシルは誰と一緒に寝ればいいの?」
「んーウジューヌお兄様は・・・」
「いや、怖い話するから嫌!」
「そうだね。」
ウジューヌお兄様と寝るなんて絶対にいやです。お昼寝の時も怖い話とかくすぐり攻撃を受けて寝かせてもらえないです。
「セシル、僕にはハグしてくれないの?」
「エドガーお兄様」
エドガーお兄様にも抱きつくと、頭をイイコイイコされました。
「いい、セシル。イネスとエメのそばから離れちゃダメだよ。ウジューヌお兄様にいじめられそうになったら、お祖父様にすぐに言うんだよ」
「うん」
ぎゅーっと抱きしめてもらうと、次に待っていたのはアランお兄様でした。
「セシル」
「アランお兄様」
「セシル〜今年も離れ離れになっちゃうなんて。お兄様は悲しいよ。いい子でまっててね。プレゼントいっぱい買ってあげるから。エメがセシルのことを守るからね。あと今年もお手紙いっぱい送ってね、僕もいっぱい返すからね」
「うん!セシル、いっぱい書くね!アランお兄様のお手紙まってる」
そう言うとアランお兄様はセシルの顔にキスを降らせました。
「あ〜可愛いセシル。やっぱり心配だ」
「アラン様、私がいますから大丈夫です。早く馬車にお乗りください。」
そう言って、エメがセシルを抱き上げました。
「エメ!お前、セシルを独り占めする気か!」
「まさか、そんなことはありませんよ。ねー」
「ねー」
「なんか何気に仲良くなってないか?」
だって、エメは綺麗に髪の毛を整えてくれるし、優しくてかっこいいです。ニコニコしてたら、アランお兄様に頬を摘まれました。
「いい、セシル。浮気はダメだよ。エメは僕の従者だからね」
「うん?」
「アラン。お前は妹に何を言ってるんだ。ほら、お前たち行くぞ。早く馬車に乗りなさい」
そう言いながら、お父様はセシルをエメから奪ってぎゅーっと抱きしめてからお母様に渡しました。
お母様もぎゅーっと抱きしめてくれます。
「お母様もお手紙かくからね、セシルも書いてちょうだい。それから、これはお守りよ」
そう言ってお母様が、首にかけていたペンダントをセシルの首にかけました。赤いルビーがついたペンダントです。
「ママ・・・」
「いい子でまっててね」
「うん」
玄関でお母様たちが乗った馬車を見送ったら、なんだか寂しくなりました。
「イネス。抱っこ」
「はい、セシル様」
イネスが抱っこして、イイコイイコしてくれました。
「じゃーお部屋に案内しようかのう。イネスや、そのままセシルを連れて来てくれ」
「はい」
「ウジューヌもおいで」
お爺様はウジューヌお兄様と手を繋いで屋敷の中を案内してくれました。
セシルとウジューヌお兄様のお部屋はお隣どうしだし、イネスも隣の小さいお部屋で泊まるそうです。今日はお屋敷の探検をしていいそうです。イネスと手を繋ぎながら、お屋敷を探検です。
「ここはー!」
扉を開けると、壁いっぱい本が並んでました。
「図書室ですね」
「ここはー!」
大きなシャンデリアに、大きな机がどーんっと置かれてました。
「ダイニングですね」
「ここはー?」
「サロン室か音楽室でしょうか?」
「ここはー?」
「こんにちは、セシル姫」
騎士たちがいました。びっくりしてイネスのスカートの後ろに隠れちゃいました。
「セシル様、ここは騎士たちのお部屋でしたね」
「うん」
小さく、ばいばいって手を振ったら、振り返してくれました。
あとは、入っちゃダメな使用人棟と、お爺様たちのお部屋でした。
「お外はー?」
「どうでしょう?聞きに行きましょうか」
「うん」
お爺様たちが休んでる、休憩室に行くとウジューヌお兄様はお爺様とチェスみたいなやつで遊んでました。お祖母様も楽しげにのぞいてます。
「じいじ!お外見たい!」
「ん?外かい?そうじゃの、エメとイネスを交代して、護衛をつけるないいぞ」
「イネスだめ?」
「まだちょっと、きな臭いからの。イネスとセシルが一緒じゃと狙われやすいんじゃ。その点、エメであれば、戦えるしな」
「はい」
「セシル様、お外の様子の報告、楽しみに待っていますわ」
「うん。いっぱい見てくるね!」
そう言うと、エメとイネスの場所を交代しました。エメはセシルと手を繋いで、騎士たちのところに言って、何人か一緒について来てもらいました。
お外に出ると、すぐに井戸があります。
「井戸!」
「危ないから、のぞいちゃダメですよ。」
「えー」
「ダメです」
「はーい」
次は階段を降りて庭園に降り立ちました。綺麗に剪定されてます。庭園の向こう側には、馬や天馬、不思議な動物が柵毎に仕切られて放し飼いにされてました。
「見えない、抱っこ」
「はい、セシル姫」
抱き上げてもらうと視線が上がって遠くまで見えます。キョロキョロ周りを見渡すと、もう一箇所離れた場所にお家がありました。
エメに抱っこしてもらったまま、向かうと、中が空っぽのお家でした。
「ここはー?」
「ここは、冬の間の食料庫ですね。あそこに並んでいる、果実を入れて冬場も食べれるようにするんですよ」
エメが指差した先には樽の中から木が生えたオレンジっぽい果実が実ってる木がありました。
「ほえー」
「あの樽を転がしてこの中に入れるんです。あちらの建物は、動物たちのお家です。」
エメが指差した場所には木の間から見える建物がありました。
「とおいー」
「えぇ、遠いです。次はどちらに行かれますか?」
「んーじゃーこっち!」
道なりに指差した方向にエメが歩いてくれて快適です。剪定された生垣の道を進んで行くと、ベンチや日時計があったり、木箱で出来た鳥のお家や、太くていたそうなトゲトゲの薔薇の生垣があったり、噴水があったりと、迷路みたいで楽しいです。しばらくお庭を散策してると小川を見つけました。
「川!ちっちゃい!」
船が二隻通れるくらいの川幅です。こないだセシルたちが遊んだ川よりも狭いです。
「この川は食料を運ぶ川でもあるんですよ。」
「へー」
お爺様のお家はなんだか不思議がいっぱいです。
「そろそろ、戻りましょうか」
「うん」
「では、この川沿いから行って見ましょうか」
「おぉ?」
川沿いに上流にむかって歩いて行くと、くねくね曲がりながら、川幅が大きくなって行きます。林を抜けると、そこにはお屋敷があります。
「あ!じいじのお家!」
「正解です」
川をまたぐように、お爺様の屋敷は立っていました。気づきませんでした。川の真ん中に支えのように太い柱が一本立っていて、その横には船が着いていました。
「川の上にある部屋は厨房です。その上にダイニングがあるんですよ」
「ほー!」
そういえば、お部屋からお外の景色をチェックするのを忘れてました。
「あっちは?」
橋のように川の上に立っている屋敷の端っこは反対側の川岸についています。あっち側はなんでしょうか。
「あちら側は使用人棟ですね。」
入っちゃダメって言われた場所ですね。
うんうんとうなづくと、では行きましょうかっとエメが歩き始めました。川沿いに歩いて行くと、ちゃんと階段があって、上に登れました。また、木の扉があって、入ると、そこは最初にみた庭園のはじっこでした。
「おー忍者屋敷みたい」
「・・・しー」
エメがそっとセシルの口に指を立てました。どうやら、喋っちゃダメな言葉だったみたいです。
「・・・イネスに教えてあげたい!」
「そうですね。きっと首を長〜くして、セシル姫を待っていますよ」
お屋敷に戻ると、ウジューヌお兄様が貧乏ゆすりしながら指を噛んでます。お母様がみたらげんこつものです。
「おかえりなさいませ、セシル様」
イネスが気づいてくれました。
「ただいま!イネス!!」
「ん〜〜〜〜〜セシルうるさい!」
「こら、セシルに八つ当たりするんじゃなぁい!」
お祖父様がウジューヌお兄様にチョップしました。
「イネス、ウジューヌお兄様どうしたの?」
「ん〜、悪戦苦闘されているようですよ」
エメが遊戯版を覗いてから、戻って来ました。
「完全に負けてますね」
「まだわからないぞ!」
ウジューヌお兄様が振り返りながら言いました。
「その心意気じゃ!」
お祖父様は楽しそうです。
セシルはおやつの時間になったので、イネスとダイニングに移動してまったりお茶時間です。お外のお話をしてあげてました。




