おべんきょうのおじかんです
うっかり聞いてしまいました。だって気になったんです、イネスの名前について。でも、もう難しくてよくわからないです。アランお兄様が黒板を持ってきて書いてきます。なぜかウジューヌお兄様も一緒に横に座らされてます。
さっき何か間違えたことを言ったみたいでアランお兄様が笑顔で怒ってました。エドガーお兄様とジョゼフお兄様は正解してたみたいで、違うお勉強中です。
「良いセシル、ちゃんと覚えるんだよ?大事なことだから。」
「あーい」
「基礎中の基礎からやろう。まずこの世界では、大きく7つの血統があるんだ。それがメルクルディ、ランディ、マルディ、ジュディ、ヴァンドルディ、サムディ、ディマンシュ」
カリカリと黒板に書かれていきます。でも、セシル文字がまだ全部読めないんです。たぶん、これはウジューヌお兄様ようですね。ちらりと横を見れば、顔がやばいってかいてあります。
「大昔は、おおまかに7つの大国があり、それぞれの一族しか住んでいなかったんだ。だからこそ、各地の土地ごとの特性が強く出ているし、今もその国が残ってるところもあるんだ。でも、一つだけ違う国がある、それがここアピードゥディス国。セシルはもう絵本で読んだよね。」
「はい」
お祖母様が読んでくれた絵本ですね。覚えてます。
「もともと、この国はメルクルディ一族が治めていたんだ。それを僕たちのご先祖様が亡命してきたんだよ。そのかわり国境を守るお仕事をさせて貰ってるんだ、他の一族の人たちも多くのこの領内に住んでいるんだ。」
「ほー」
「あくまでも、僕たちはよそ者。だから中央に行けばいくほど、メルクルディ一族の人が増えていくんだ。彼らの特徴は、青い髪の毛に黄色系統の瞳。属性は水。」
「ぞくせい?」
「そう、僕たちは血統ごとにマナの属性があるんだよ。」
そう言ってお兄様がセシルの頭を撫でました。
「我が家、マルディ一族は、見ての通り赤系の髪に緑の瞳が特徴だよね。そして火の属性。もともとロジュディゼ国から流れてきたんだ。次に、ランディ一族は、緑系の髪の毛に茶系の瞳が特徴、神性の属性を持ってる。ウジューヌの従者、デジレがそうだね。」
なんと、そうだったんですね。部屋の中を見回すと、名前を呼ばれてこちらを見たデジレと目が合いました。従者の人たちはまとまって勉強してるみたいです。こうやってみると、お兄様が言った通りの特徴です。
「ほえー。はい!アランしぇんせい!」
「はい、何かなセシルくん」
「しんせいってなんですか!」
「神性は体に作用させる属性のことだよ。セシルの神様の庭の記憶の封印もその一つだね。あと肉体の強化、体の回復速度を早めたりとか色々。生き物にしか通用しないんだ」
「ほえー」
「じゃー次に、ジュディ一族。彼らの特徴は、茶系の髪の毛に瞳の色は灰色とか榛色とかになるか、瞳と髪の色が逆転しているかなんだ。特に決まっていない。オッドアイになる人の方が多いし、細かい系統を持っているんだ。属性としては、錬金術。薬剤や、からくりを作るのが得意な人たちだね。秘密主義で僕も詳しいことはわからないんだ。セシルが知ってる人だと、侍女のエリーナかな。彼女に聞いても、複雑でわかりませんとしか答えが返ってこないんだよね。」
「「へー」」
ん?ウジューヌお兄様も初めて知ったみたいな反応してますよね。思わず見れば、ハッとした顔で顔をしたあと、急いで顔を引き締めてますけど、アランお兄様がウジューヌお兄様を睨んでますよ。知っておかないとダメなやつですね。
「つぎに、ヴァンドルディ一族。特徴は、紫系の髪の毛にピンク系の瞳、属性は芸術っていう事になってるけど、音や瞬間的な記憶力や風に優れているんだ。エドガーの従者、バジルがそうだね。」
確かに、バジルはおしゃれさんです、振り返ってみれば、バジルが手を振ってくれました。
「次に、サムディ一族、メルクルディ一族と似ているけど、ちょっと違うんだ。特徴は青系の髪の毛に茶色の瞳、属性は水と木、メルクルディ一族よりも水の扱いはうまくない代わりに木が操れるんだよ。セシルの専属侍女になったイネスと僕の従者エメだね」
「エメ!イネス!」
パッと振り返れば、笑顔で手を振ってくれました。
「次に、ディマンシュ一族の特徴は茶系か黒の髪の毛か瞳を持ってる。属性は土や木。彼らが一番人口が多いかな。国もあるけど、あまり属さずに移動していたりするし、農耕が得意だからいろんな国に住んで、農作物を作ってくれるんだ。ジョゼフの従者、コーム、侍女のルルーリナがそうだね」
「ほえー」
「絵本の通り、僕たちのご先祖様は、火の国で他の一族に戦争を仕掛けて領土を奪っていたんだ。これは本当の話だよ。」
「ひょえ」
「でも、ご先祖様は奪った領土に住んでいた人達を匿ってたらしいんだ。そしてこの国に移動してきた。もちろん、未だに僕たち一族をよく思わない人はこの国にもいるし、ロジュディゼ国では裏切り者の家系として嫌われてる。」
なんと、敵が多いじゃないですか。
「だからこそ、我が家は自分の身は自分で守れるように武術を身につけるんだ。次に属性の話だけど。僕たちが国境沿いに住む理由は、火のマナが多いからなんだよ。ここは山を越えたら、乾燥地帯になっていて火のマナがあるんだ、それに水のマナも多い、そうすると木のマナもあるし土のマナも集まっていてバランスがいいだよ。」
「ほー」「へー」
「だから、この領土には比較的様々な人たちが住んでいるんだ。奥に行くと水のマナが強いからね、長く暮らすには僕たち火のマナを持っている者にとっては、体調を崩しやすい。特に小さいセシルにとっては毒と言っていいね」
「どく」
そんなに悪いんですか。驚きです。
「で、特徴の話に戻るけど。イネスの髪の毛の色が薄い理由と家名については関係があるんだ。貴族になっているもの達には、血族の名がそのまま家名になるんだ。本家はアン、分家順に、ドゥ、トワ、と順番に続いていくんだ末端になるにつれて血が薄くなる。僕たち本家はアン。イネスはそのなかで一番末端のカラントを持ってるんだ。だいたい、ヴァンまでしかいないだ。」
「ほえ?アンとカラント?ヴァン?」
なんですかそれは、何か聞いたことある発音です。
「簡単に言えば順番名だよ、アンは1、カラントは40番目、ヴァンは20」
「ほえー」
「でも、貴族ということは、それなりに能力値が高いことでもあるんだけど・・・カラントまでいってしまうとね」
困ったようにお兄様が言葉を詰まらせました。
「アラン様、そこから先は私が説明いたします。間違っていたら、ご指摘ください。」
「いいの?」
「はい」
「だいたいの貴族がヴァンまでしかないのは、それ以降は血が薄くなって、一族の特徴を受け継げにくいからです。だいたいは、薄くなりすぎる前に自主的に準貴族に落ちますが、我が家のように貴族位にこだわっていたりすると、カラントまでいってしまうようです。貴族位は基本的に何かない限りは持ち続けられます。ですがカラントまでいきますと、準貴族と呼ばれるの方達よりもマナの量が少ないし下手したら平民と同じくらいになってしまいます、それでも残される理由は、血が濃くなりすぎた時に婚姻するのに面倒が少ないからというのが多いですね。」
「ほえ」
思わず眉間にシワが寄ってしまいました。血が濃くなりすぎた時?貴族位って持ち続けられる?
「セシルにはちょっと難しい話だったかな」
アランお兄様が苦笑しながらおで残し話を伸ばされてしまいました。
「で次に、僕達に支えてくれる人たちが準貴族について説明しようか。だいたいどの血族にも12家族あるんだよ。」
「はい!へいみんは血族がないの?」
「平民と呼ばれる人たちは、マナが少ないだ。他の血を特に混ざりすぎてしまうと弱くなってしまう傾向にあるんだよ。と言っても半分以上は基本的にディマンシュ一族が多いけどね。彼らは逆に貴族が少ないだ。農耕派とよばれるくらい、争いごとが苦手で、だいたいは農作物や動物を育ててることが多いだ、僕たちの領内にも多いよ。平民になると、属性が強く出ない限り、どの職業にでもつけるんだ」
「しょくぎょう?」
「そう、僕たちは貴族は領土を管理するのと属性の管理もあるんだ。マルディ家は武闘派だから警備とか争いごとが全般かな、火を使う仕事につくものもあるけど、それは稀だね。ランディ家は医療関係が強いね。特殊技能以外の商人は平民が多いよ。ものを運搬するとかもね」
「ほえ」
なんだか複雑です。頭がこんがらがってきました。
「ここら辺は複雑だから、セシルには早いかな。ウジューヌはわかるよね」
「お、おう」
「・・・じゃー今言ったことを纏めたレポート出せるよね」
アランお兄様、笑顔がこわいです。
「え」
ウジューヌお兄様、冷や汗ダラダラです。お兄様、セシルよりお勉強してるのに謎です。
「セシルも!セシルもかく!レポート!」
「ふふふ、いいよ」
セシルもお兄様達みたいに書きかきです、まず7つの家を書いてっと描いてたらウジューヌお兄様がのぞいてきました。
「だめ!セシルのレポート!」
「そうだね、ウジューヌ、人のをみるのは感心しないな、しかも妹の回答をみるなんて。デジレ監視をお願い」
「はい、かしこまりました。」
デジレさんがウジューヌお兄様の首根っこ捕まえて机の一番端っこに連れて行きました。
「デジレ!お前は俺の従者だろ」
「えぇ、ですからやってるんです」
「ひどい!」
「酷くないですよ」
そんなやりとりを聴きながら、セシルのレポートは完成です。力作です。ちゃんとお兄様に聞いた色も使って見ました。
「セシル上手だね。うん、ちゃんと一族ごとの特性を捉えてる。」
アランお兄様に頭をなでなでしてもらえました。やりました!
「ほんとだー、これならウジューヌ兄様も覚えるんじゃない?」
そう言ったのはエドガーお兄様です。
「そっかー絵にすればいいのかー。これはデジレかな?こっちはパジル?」
ジョゼフお兄様が指をさしながら聞いてきました。あたりです。
「うん!」
「上手い上手い」
「えへへ!」
「3歳になられたセシル姫が覚えられて、どうして6歳も年上のウジューヌ様は覚えられないでしょうかね」
デジレさんが怒ってます。
「お、覚えてるし」
「じゃー書いてください。セシル姫のをみない!」
「ウジューヌお兄様がんばれー!」
「おー」
元気のないおーが返ってきました。
あ、そうえいば一番知りたかったことを聞き忘れてました。
「はい!アランしぇんせい」
「ん?どうしたの?」
「どうしてイネス 髪の色が薄いの?」
「それはサムディ族の血が薄いんだ、きっと違う一族の血が混じってるから純粋な青になっていないんだと思うよ、そうでしょ?」
アランお兄様がイネスに聞きました。
「はい、私の父も母も、純粋なサムディ家の血ではないんです。母は、ヴァンドルディやディマンシュの血が混じっていますし、父はランディとメルクルディの血が混じっています。血が混ざると髪の色が薄くなるんです。だからセシル姫のように濃い色の髪を持つということはそれだけ純血だということなんですよ。憧れです。」
「じゅんけちゅ・・・?」
「そういうこと、セシルの髪の色はとっても綺麗な赤なんだよ」
アランお兄様がほ頬ずりしてきます。
「くすぐったいー」
「じゃーアランお兄様のお相手は、準貴族かな?僕たちは血が濃いらしいし」
そう言ったのはエドガーお兄様です。
「どうだろうね、僕はセシルでも全然構わないけどね」
「ん?結婚はしゅきな人だよ?」
「セシルはお兄様のこときらい?」
「すきー!」
「じゃ〜問題ないね」
「うん!」
「まってまって、アラン様!!それはちょっと」
エメがなんか慌ててます。お兄様と何か言ってますけど、後ろで扉が開いてパルナベが入ってきました。お菓子持ってます!!はっ!そうだルルがパルナベはかっこいいって言ってました。背が高くて顔がよく見えないんですよね。こういう時は。
「パルナベ!抱っこ!」
「セシル?!なんでパルナベに?!!今までそんなこと言わなかったのに!」
なんかアランお兄様の拘束が強まりました。
「アラン様、みっともないですよ。手をお離しください」
そういうと、アランお兄様の腕からセシルを抱き上げました。
「たかーい!ほえーキリっだね!」
顔が近くなったパルナベの顔はキリッとした顔でした。へー、ルルってこういう顔が好きなんですね。なるほど。
「ご満足いただけましたか?」
「うん!ルルにお話しする」
そういうと、眉間がピクって動きました。
「あーセシル姫、ルル姉に話すのはよしてください。」
コームが慌てたように言いました。
「どうちてー?」
「とても面倒なことになるので。セシル姫はまたコンスタンスさんに叱られますよ」
はっとしました。そういえば、ばあやにルルの前でパルナベのお話はメって言われてました。
「ばあや怖い・・・言わない」
首を振って答えたら、コームがホッとしてました。




