反省をしましょうか
「この、大バカ者!!!!!!」
大きな怒鳴り声と共にウジェーヌの頭の上にはゲンコツが落ちました。
「いっ・・・・ごめんなさい」
「ごめんなさいで済むものか!!!セシルの3歳の誕生日になんて事をしたんだ!!身分を名乗らなかったから、正式訪問ではないにしろ、あっという間にこの話は広がるんだぞ!!」
「でも、3歳の誕生日は大切な日だって言ったじゃないか」
「分かっているなら何故やった!!大切な歳なんだぞ、神様の子供から人の子供になる年と言われているだ!そのためのお祝いなんだぞ!!だからこそ親族と親しい家の人々での披露になるんだ!神様の子から我が家の子になったというな!!!」
「だから仲のいいルッツを」
「だから日頃からちゃんと勉強しろと言ってるんだ!!!お前の親しいやつを呼んでどうする!!セシルの誕生日会なんだぞ!!セシルが主役だぞ!!何を学んで来た!!関係者でもない異性が来るということは、婚約を意味するんだぞ!!」
「別にルッツとなら」
「良くない!!ルッツ様もですぞ、あなた様は自分の立場をよく理解しているはずだ。どうしてこのような行動をされたんですか!」
顔を真っ赤にして怒るレオン公爵にルッツは、先ほどの子供らしい表情は消えて冷めた顔をしながら答えました。
「つまらなかったから。今日は王宮に誰も遊びに来ないだろ?別に僕はセシルと婚約するのは構わないと思ったし、口が固い者達であれば今日のことは広まらない、そうだろ?」
「私がかまいます!いいですか。我がマルディ家は炎の家、武闘派の一族ですぞ。あなたは守護派の一族。降下はありえても、我が家から守護派の一族に嫁に入れることは絶対にあってはならないんです。我々貴族は、その血を守らなくてはならない!!」
「・・・そうですね」
ルッツは無難な回答のみに控えた。心の中では面倒だと思いながらも、さすがに今回はやりすぎたと思っているのか、大人しくしています。
「レオン、そのくらいにしとけ、頭の血管が切れるぞ。」
ドラハが呆れたように言ました。
「父上!!」
「いくら怒鳴っても、ルッツ様には響かんて。さて、ルッツ様、何に興味を持ったのか知らんが、ここまで来るとは。いったい何を聞いてここまで来ましたかな、ウジェーヌ、お前は何を話したんだ。答えなさい」
孫にはいつも優しいドラハお祖父様の初めて見る剣幕に、ウジェーヌはやっとまずいことをしたことに気づきました。涙目になりながら、ぼそりボソリと話し始めた。
「・・・俺がルッツに話したのは。・・・セシルが3歳になるっていうのに短剣はプレゼントしちゃダメだって母上に言われたとか。いつまでたっても剣を持たないで兄様と絵本ばっか読んでるし変なことばっかり聞いてくる変わった子だって言った。それにすぐ泣くし、でも可愛いだよって」
「お前は・・・」
その言葉にレオンとドラハは頭を抱えた。
「僕にはちゃんと普通の子に見えたよ。ドラハ、レオン公爵」
「「・・・」」
その言葉に二人は苦い顔をしました。
「そんな顔をしないでよ、明日の朝にはちゃんと帰るよ。それと公爵、そんなに怒らないでくれよ、ウジェーヌはいいやつだよ。」
「ルッツ様・・・」
「えぇ、うちの孫は馬鹿正直ですからね。これで少しは反省するでしょうが、今年は王都には連れて行くのは禁止じゃ」
「「え」」
ウジェーヌとルッツは声を揃えて驚いた。
「えぇ、ダメですね。口が硬くないのは危険だ。何よりこのままでは、ルッツ様と悪さをしかねない。今までも度々、報告が上がって来たが、脱走の手引きをしかねないからな。反省として今年は領内で過ごせ」
「父上?!」
「お前は、家でみっちりと鍛え直しだ。」
「そんな・・・」
「ちょうどセシルも今年から家庭教師がつくし、あの子は優秀ですから、王都の学園に通わす必要もない領内から出す必要も。」
ルッツを見ながらレオンが宣言した。
「・・・つまり僕の遊び相手にはしないということですか?」
「今回のことで何かしら変な噂が流れたら王都には一生向かわせません。ルッツ様、そういうことです。」
「・・・わかりました。」
むすっとした顔でルッツは答えました。
「お父上からまた雷が落ちるでしょうから、よーく今回の事を考えてください。」
ドラハとレオンが出て行くと、室内にはルッツが連れて来た騎士達と従者1人だけになりました。
「ものすごく怒られた」
「だね」
「どうしよう。今年は王都ダメだって楽しみにしてたのに」
ウジェーヌは涙声になってきていた。
「だね、僕を手引きしてくれる悪友を失うなんて。ちょっとやりすぎたか」
「ルッツ!俺の心配は?!」
「別に一回くらいは王都に来れなくても、ちょっと噂がたつくらいだ、ウジェーヌなら平気だろ?実力はあるんだし。」
「そうじゃない!家庭教師だよ!お祖父様も入ってるんだから!!」
「あーそれは・・・頑張れ」
「でさ、どうしてルッツはセシルに会いたがってたの?お祖父様も父上もなんかものすごく怒ってたけどさ」
「・・・ウジェーヌはさ、妹が変な子だって外で言わないほうがいいよ」
「なんで?」
「攫われても知らないよ?」
「え?」
「変な子って言われる子はさ、神様の子として強いから自分たちがわからない行動をするんだって思われてて攫われやすいんだよ。特別な力を持ってるって思われてね」
「そ、そうなの?」
「だから、外で言わないほうがいい。そう言われてたんだろ?」
「う、うん。」
「僕みたいに興味を持った人が来ちゃうんだ」
「分かった。」
*
次の日、セシルは早起く目が覚めましたた。というのも前日興奮しすぎて疲れて、いつもより早く眠っちゃったからです。貰ったプレゼントから一つ、女の子の人形を脇に抱えて屋敷内を散歩する子にしました。
「もう少し寝たほうが」
眠そうな顔をした侍女のシェイナが後ろからついて来て言います、今日はルルじゃないので、セシルが起きるとちゃんと起きていました。前に一人でウロウロしてばあやに怒られたのでちゃんと侍女を連れて来てます。セシルの目はぱっちり開いてしまって二度寝できる気分じゃありません。
「おひさま〜さんさんーおはよー♪うさぎさん、ことりさん、わんちゃんーあさがきーたーよー♪」
作詞作曲セシルでご機嫌に歌いながら、廊下を歩けば朝早くから活動し始める召使いの人たちが挨拶をしてくれます。
「おはようございます。セシル姫」
「おはーよー♪」
「ご機嫌ですね。姫。おはようございます」
「おはようー。早く起きたからお散歩なの♪」
「左様でございますか、朝食までには戻られてください」
「はーい!」




