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武闘派のセシルは清楚可憐な姫様になりたい   作者: siro


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お兄様のお友達?

誕生日会で用意された机の上には、ピンクと黄色、水色で彩られたケーキのタワーが置かれているのがみえました。

「きゃーーー!!」

セシルは興奮しながら机に駆け寄れば、タワーが見えなくなってしまいました。テディベアを置いてから、両手を上げてアランお兄様を見上げます。

「おにいさま!見えない!」

「はいはい、抱っこだね。」

クスクス笑いながら、アランお兄様がセシルを抱っこして見せてくれました。目が輝くのはしょうがないと思います、だって可愛いです。

「可愛い!!」

「セシルの誕生日ケーキだよ。」

 デコレーションされたシューが山のように積み上がって、パステルカラーでカラフルにコーティングされて、その周りを蝶やバラ、リボンに模った砂糖菓子が飾られていました、お絵かきでお兄様にこんなケーキが食べたいってお話ししたものがそのまま出て来てます。。

「でも、ケーキは後だよ。セシル。まずはお客様にご挨拶が最初。可愛いお姫様はできるよね?」

エドガーお兄様がセシルのテディベアを抱き上げて、テディベアの手を振りながら言われてしまいました。

「はーい」

セシルは、お姫様ですから、ちゃんと挨拶できますよ!アランお兄様に降ろしてもらって、テディベアをまた抱え直します。手を繋いで他の子供たちがいる輪に連れて行かれました。苦手なマリアンヌもいるけど、そこにはすでにウジェーヌお兄様にジョゼフお兄様がいました。

「セシルがまたアランお兄様とエドガーお兄様を独り占めしてる。」

むすっとした顔でジョゼフお兄様に言われると、アランお兄様がセシルに耳打ちした。

「セシル。ジョゼフが拗ねてしまってるから、また後でお兄様と遊ぼうね」

「はい、セシルは3さいになったから大丈夫!」

そう言うと、頭を撫でてジョゼフお兄様のところに行って、いきなり抱き上げました。

「うわぁ!」

「ふふふ、拗ねてるジョゼフは可愛いね。お姫様のエスコートは終わったから僕と一緒にいてくれるかい?」

「しょ、しょうがないからいいよ!」

そう言いながらもジョゼフお兄様の顔は嬉しそうです。ニコニコです。ちょっと寂しいって思ってるのは秘密です。セシルがずっと独り占めしちゃダメなんです。それに、ジョゼフお兄様はセシルと一緒の時はとっても優しいです。他のお兄様がいる時だけ取り合いになるだけです。

「セシル、僕がいるでしょ?」

「エドガーお兄様。セシルは大丈夫」

 ぎゅっと手を握れば、頭を優しく撫でてもらえました。そのあとはその場所にいる子供達の半分はセシルの親戚で、もう半分はお父様とお母様の友達の子供だそうです。

「セシル、ちゃんと全員に挨拶できるかな?」

「で、できるもん」

さっきばあやに言われたの、おめでとうって言われたら、ありがとうございますって返すって教わりました。


「ダゴスです。お誕生日おめでとうございます。セシル姫」

「ありがとうございます。」

「スリザナです。お誕生日おめでとうございます。」

「ありがとうございます。」

「ラナーシャよ。お誕生日おめでとうございます。」

「ありがとうございます。」

「ベニー、よろしく。お誕生日おめでとう。」

「ありがとうございます。」

「セシル姫、はじめまして。カームです」

「ありがようございます。」

「お、おたんじょうびおめでとうございます。ルリアンヌです」

「ありがひょうございましゅ」


いっぱいいて覚えらんないです。だんだん口が疲れてしまいました。まだまだ続いてお返事してたのに途中から記憶がないです。


「セシル、お友達のお名前覚えられたかい?」

いきなりウジェーヌお兄様に声をかけられました、見上げれば横にいました。途中完全に記憶がないです。お兄様に連れられるままお返事してました。

「・・・うん。ウジェーヌお兄様は覚えた?」

「俺?俺が覚えられるわけないだろ?」

 胸をはって言われてしまいました。どうしよう、お兄様に聞こうと思ったのに、反対側にいたエドガーお兄様に顔を向ければ、大きなため息をついてました。

「いい、セシル。ウジェーヌ兄さんには聞いちゃダメだよ。ちゃんと覚えてないから。」

「わかった!」

「おい、エドガー」

「事実でしょ。」

 そんな風にみんなでおしゃべりしたり、手遊び歌で遊んでいると、広間が騒がしくなりました。見れば、入り口にかっちりとした知らない騎士が入って来て、その真ん中に紫色の服を着た青い髪の毛を大人のようにオールバックにした少年が出てきました。瞳はオレンジ色のような金色のようなキラキラしてます。

ざわめきがより一層強くなる中、その少年は気にした風もなくこちらに向かって来ます。ウジェーヌお兄様が気づいて手をあげると、少年も手を上げて合図をしているようです。

「サプライズですよ。皆さん。」

そう少年は言いながら、セシル達の方に来ました。

「初めまして、セシル姫。お誕生日おめでとう」

「ありがとうございます」

 周りがざわめき始めました。エドガーお兄様は固まってます。ウジェーヌお兄様は悪戯が成功した時の笑顔を見せてます。そしたらいきなり少年が大きな声で名乗りました。

「僕のことはルッツっと呼んでね」

「ルッツ?」

周りを見渡せば大人たちも驚いてます。何か揉めてるみたいです。

「君のお兄さん、アランとウジェーヌとエドガーの友達のルッツです。3人が自慢するからどんな姫かなって思って会いに来ちゃったんだ。」

「ルート「今はルッツだよ。エドガー」」

「ですが」

「まぁまぁ、エドガー言っただろ、俺の友達が来るって」

「言ったけど、まさか彼だとは思わないだろ?!父上と母上はこの事を」

「しらない!俺が一人でやったからな」

「はぁー?!」

お兄様二人が言い争いをしてると、アランお兄様が怖い顔で来ました。

「どう言うことです。今はルッツでしたか」

「怖いぞアラン、君のお姫様が怯えてる。」

 ルッツが笑顔で言うと、アランお兄様は私の頭を撫でてると肩を掴んで、ヒョイっと方向転換させられてしまいました。お兄様の顔が見えません、代わりにエドガーお兄様に捕まりました。

「セシルは見なくていいよー。アランお兄様はルッツに怒ってるだけだからね」

そう小声で教えてくれましたが、聞こえて来る声はセシルが知ってるお兄様の声と違って低くて怖いです。

「お・・・ご両親は承知しているのですか?」

「うん。出るときに大きな声で言ったから知っているよ」

「・・・了承を得る前に出かけられたと言うことですよね?」

「だが、僕の行き先は知っている。問題ない」

「問題大有りです。周りを見ればわかるでしょう。今回は身内と親しいものだけを集めた誕生日会です。」

「僕は親しいうちに入らないのかい?」

「親しくさせていただいていますが。セシルの3歳の誕生日ですよ。お会いできるのは、6歳になってからだとご存知ですよね?」

「そうだね。でも来てしまったものはしょうがない。ちゃんと護衛も連れて来てる。大丈夫だよ?」

「問題大有りです。」

「だが、ここで僕を帰すのは得策ではないよ。それに今日は目出度い日だ、このまま進行するべきだと僕は思うね。」

「っ!!俺は父上に報告して来る、エドガー頼んだぞ」

ものすごく怖いオーラを感じます。お兄様がものすごく怒ってるのがセシルは見なくてもわかりますよ!ルッツは何者なんでしょうか。

「わかりました。アランお兄様」

「堅物だなー。そうだ、セシル姫、僕からもプレゼントがあるんだ」


「プレゼント?」

振り返れば、小さな箱をルッツが持っていました。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

箱を開けると、そこには金色の蝶々の髪飾りが入っていた。

「可愛い!蝶々!お兄様見て!つけて!」

「金・・・」

「僕がつけるよ、セシル姫」

そう言ってルッツが蝶の髪飾りを頭につけてくれました。

「可愛いね。バラの妖精みたい」

その言葉が嬉しくってセシルは満面の笑みを浮かべた。

「あのねあのね!今日のドレスはね、パパが作ってくれた妖精姫のドレスなの!」

「妖精姫?」

「ゴルディアの森とラウルーシェ泉の絵本です。子供向けになっているので、森の妖精姫のお話の部分です。その絵本で描かれているドレスを気に入ってるんです」

そうエドガーお兄様が補足してくれました。

「なるほど。マルディ家なのに、意外だな」

「・・・・」

「お兄様、セシル、鏡が欲しい。髪飾りが見えないの」

「セシル姫、手鏡なら私が持っているわ」

そう言って渡して来たのは、マリアンヌでした。手鏡で見せてもらうと、リボンの横に蝶がとまっているみたいで可愛いです。

「こうみると、セシルの頭は美味しそうよね」

「おいしそう?」

「イチゴみたいだね。」

「バラじゃない?」

みんな口々に言っている間にアランお兄様とお父様が戻って来ました。


「ルッツ様、お部屋をご用意いたしましたので、そちらへ」

「えー僕はセシル姫と一緒にケーキが食べたいな、セシル姫も食べたいでしょ?」

「あ!ケーキ、まだ食べてない!」

「じゃー、一緒に食べようか、行こう、セシル」

「ルッツ様!」

お父様が止めるのも聞かずに、ルッツはセシルの手を掴んで走り出しました。あまりのことで、セシルはテディベアを落としちゃいました。今日はあのテディベアと一緒にいたいのに!振り返ったら、ちゃんとエドガーお兄様が拾ってくれていました。安心しです、それにしてもルッツは悪戯っ子みたいです、なんだか楽しそうな予感に思わず笑っちゃいました。さっきお兄様と一緒に来たテーブルにたどり着くと、ケーキの山の周りには料理が増えていました。ルッツが給仕係の人に取るように言うと、困った顔をしてしまいました。

「まだ、全てが揃っていない状況でして」

「別にいいでしょ、てっぺんのシューを一つ取るだけだよ。もちろんセシル姫にあげるし」

「いえ、確かにてっぺんのシューは姫のですが・・・」

見ればてっぺんのシューにだけティアラの飴細工が載ってました。あれはセシル専用のお菓子です!早く食べたいです。ふと横を見れば、給仕の人がオロオロと周りに助けを求めるように見回しています。周りの人も困惑している状態でした。お父様とお兄様が来るのが見えます、とっても怖い顔をしてます。周りの大人達と何か話しながらこっちに来てます。ルッツを見ると、いたずらをしている時のウジェーヌお兄様と雰囲気がそっくりです。


「ルッツはウジェーヌお兄様と一緒だね。みんなが困ってると楽しそうな顔をしてる」

「ん?そうかもね。僕とウジェーヌは息があうんだ。」

「でも、あんまり困らせちゃいけないんだよ。悪い子になっちゃうだから」

「悪い子?」

「そうだよ、妖精姫が言ってたの。あんまり困らせるとみーんなに信用されなくなって、お話を聞いてくれなくなるんだって、それで、泉の中に落とされちゃうのよ!それか、”狼少年”みたいに」

「狼少年?」

「童話の・・・なんでもない」

 セシルはハッとしました。セシルが持ってる絵本に狼少年のお話はないからです、狼少年はセシルが夢の中で見る世界にある絵本でした。今日は夢の中のお話はダメです。

「?」

「だから、困らしちゃいけないの。悪い子は王子様やお姫様になれないのよ、ばあやが言ってたもん!」

ぷくっと頬を膨らませながら言えば、ルッツがびっくりした顔をしてます。

「ふふふ、そっか。じゃー僕は王子様になれないね」

「そうよ。」

「僕は悪い子だから、このままセシルを攫っちゃおうかな!」

「え?」

ふわっと風が巻き起こって、セシルとルッツの周りが光り出しました。

「そうはさせませんぞ!」

そう言って、重い音とともに光をぶった切ったのはセシルのお祖父様でした。重そうな使い古した剣は床に少し傷を作っています。

「げっ・・・ドラハ」

「ルッツ様でしたな。このドラハをお忘れではないようで良かった。私の孫をどこに連れて行こうとしていたのですか?」

「・・・僕のお部屋」

ぎゅーっとセシルを抱きしめながら、というかセシルを盾にするようにルッツはお祖父様と対峙してます。やるならちゃんと二人でやってほしいです。セシルも怖いです。見つめ合いながら、後ろに後退してるし歩きにくいです。

「ルッツ様、それは一般的に拉致といいます。犯罪ですぞ。別室にお連れしろ、それとセシルは返してもらいますぞ。」

 そう言って、お祖父様はセシルをルッツから奪い返して来れました。ルッツは別のお部屋へと移動だそうで、使用人の人に腕を掴まれて退出です。その後はケーキをみんなで食べて、大人達はダンスをして、子供達も真似ながら小さな社交場を作って終わりました。初めてのダンスはとっても楽しかったです。

パーティーも終わって、自分の部屋に戻る途中に騎士達を見つけて思い出しました、ルッツがいたことを。

「あ、ルッツはどうしたの?」

一緒に歩いてたお兄様に聞いて見ました。

「あー大丈夫だよ。ウジェーヌも一緒だからね。」

そう言ったのはエドガーお兄様。

「そうなの?」

「うん。今頃こってり絞られてる頃だから」

なるほどっとセシルは頷きました。大人達が困ることをしていたんだなっていうことはセシルもわかりました。でも、それよりも初めて大勢の人にあったせいか早々に眠くなりベットの住民になってしまいました。夢の中ではプレゼントに囲まれて、美味しい食べ物も浮かび幸せいっぱいの1日でした。


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