南・救出作戦
……大切な人がまた目の前から消えた……
しかも、兵器に改造されるかもしれない。
「……全部、全部、……父さんのせいだ!!
どうせ興味本位であのロボットを、南を起動させたんだろーが! 考えろよ! 南が今、どれだけ怖がってるか。怯えてるか。責任とれよっ!」
「だぁまれぇーー!!
お、前、なんかに何が分かるっていうんだ。あいつは……」
僕は落ち着いていられずにボコボコにされた父を置いて、ただ一人で車に乗って帰った。
*
「南、僕が絶対迎えに行く。」
南のことを考えていると居ても立ってもいられなかった。
次の日から鮫坂研究所の監視を始めた。気づかれないように、慎重に……
一週間くらい調査して分かったことがいくつかある。南がいると思われる部屋の位置、日曜日は休みで人気が少ないこと、研究所に入るのはセキュリティ的に大変だが入れれば大したことはないこと。
考えるに考え、「南・救出作戦」を完成させた。
そして、決行の日が来た。
日曜日。警備員がちょうど交代する12時。うちの研究所に来る配達員にお願いしてどうにか貸してもらった配達員の制服とその他いろいろ、を着てなんとか正面から侵入する。「トイレ借ります」と言って個室で白衣に着替える。なるべく見つからないように行動するが、万が一見られても白衣なら警戒されない。前もって調べた、人があまり通らないところを通って目立たないように南のいる部屋へ向かう。着いたら鮫坂研究所のリーダーが一人であることを確認。そして、銃を持って勢いよくドアを……
バンッ
「動くな!手を挙げろ!」
リーダーは素直に手を挙げた。
「膝をつけ!伏せろ!手を背中に持ってきて。」
ちゃんと言うことを聞いたので、手を縛ろうとした。そのとたん、足を引っかけられ倒れた。
必死で銃を持ち直すが、二人で銃を向け合っている。
「おいおい、王子様。ロボットのお姫様を助けに来たのですか?ふはは、それにしては強引だな。
どうせ、それモデルガンだろ。軽そうだもんな。」
一瞬で形成が逆転してしまった。
リーダーは僕のモデルガンを奪い取って、あざ笑いながら後ろへ投げた。
「こないだ言ったよな。次、俺の前に現れたら殺すと。」
「…殺す前に、教えてくれ。なぜそのロボットにこだわる?他にも高性能なロボットはあるはずだ。」
「そうだな、どうせ死ぬのだからだから教えてやろう。
確かに高性能のロボットはいくらでもある。でも、あのロボットは特別なんだ。人間の脳を使ってる。」
「それは、どういう……」
「簡単に言うと脳でロボットを体みたいにコントロールしてるんだよ。
だから、複数の電子制御の兵器に接続して、まるで自分の体の一部かのように自由自在にコントロールできるんだよ!人間よりはるかに強く戦闘できる。素晴らしいと思わないか?」
「そんなことしても、誰の得にもならない!」
「いや、なるんだ。これを完成させれば俺の評価が上がる。」
「ふざけるなっ!そんなことに使うな……」
「はいはい、そろそろ黙ってもらいましょうか。」
そう言って銃をかまえた。
(何か、何か逃げる方法は無いか。)
バンッ
撃たれた、と思ったがそうではない。さっきの音はドアを勢いよく開けた音だった。
いきなり全身黒い人間が入ってきた。片手に木刀を持って、まるで忍者みたいな人だ。
「一人で救出するなんてできるわけないだろ。翔介。」
連載中ですがよければ評価もお願いします。