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鮫坂研究所

「止まれっ!!」


 恐る恐る振り向くと、黒い覆面をした男が真っすぐと腕を上げて僕に銃口を向けていた。


 「ふふふ、あのでまかせニュースでうまくおびきだせたな。おかげでSDカードを探す手間が省けた。ほら、お前が持っているSDカードをこっちへ渡せ。」


 (おびき寄せるためのニュースだったのか……。)


 「そんなもの取ってどうする?」


 「黙って渡せ。」


 「何を言っている。こっちはすぐにでもSDカードなんて川に投げ捨てられるんだぞ。」


 「ふっ。そんなことできるわけないだろ。」


 「こっちの目的は、このSDカードが誰の手にも渡らないようにすることだ。」


 「ふははは……。そうか。そうか。

  では、こっちの目的を教えてやろう。そもそも、私が誰か分かっているのか?」


 「……」


 「ふんっ! 分からないだろうな。

  お前は鷹丘医学研究所の研究員、そして、そのトップの息子。翔介……だろ?

  俺は、鮫坂(さめざか)工学研究所のリーダーだ。三大研究所の一つ。そっちは、医学の、こっちは、工学の頂点だよ。

  国民、人類を助ける機械を開発する研究所。表向きはそうなってるが、兵器も開発している。高性能なロボットは使い方によれば人間より強い。

  だからさ~、その設計図を手に入れてそこのロボットを作って上からの評価が欲しんだよ。」


 「ロボットで兵器? 何言ってるんだ。母はそんなために作ったんじゃないっ!! 絶対に渡すもんか!」


 「へ~~、いい度胸だ。でも、お前は渡さなければならない。

  知ってるか? お前のお母さんが作ったそのロボットは違法だ。開発した時点で逮捕だが、お前のお父さんはそれを実際に起動させて、そうやって外に出している。かなり重い罪だぞ。

  よく聞け! 俺たち鮫坂研究所は兵器を開発してるから政府の軍部と切っては切れない関係になっている。だから、お前のお父さんとお母さんの罪については、そのSDカードをこっちに渡せば話は無かったことにしてやる。

  渡さなければ、お父さんが逮捕される。そのロボットも最終的に処分されるだろうな。

  さあ、どうする? 渡すか、渡さないかどっちかだ。」


 「……あなたの言うことを信じよう。……ただ、このロボットに手を出さないという条件で渡す。」


 「……分かった。いいだろう。」


 そのリーダーも銃をしまったので、僕は差し出された手にSDカードを置こうとした。


 と、そこへさっき研究室に押し入っていた十人ほどが工場の玄関から出てきた。父は取り押さえられていた。しかも、あざができて、血も出ている。


 「おい。あれは何だ。」


 「ちっ!」


 「この話は無しだ。」


 僕はムカついてSDカードを川へ投げた。小さくポチャッっといったのが聞こえた。


 「お、前、……何しやがる!!」


 リーダーが僕のあごの下に銃口を押し込んできた。その目から恐ろしいほどの殺気が溢れ出ていた。


 (やばい、殺される……)


 「リーダー、今日のところは殺しちゃダメです。」


 手下たちの言葉を聞いて、僕を突き飛ばした。


 「まあ、いい。これを連れていく。」


 リーダーがそう言うと、手下はあっという間に南を縛り上げた。


 「うぅぅ……。やめてっ!」


 「何するんだ!!」


 「うるせぇ! SDカードが無くなった以上、このロボットそ持っていくしかないからな。

  おい、翔介、今度俺の前に現れたら殺すからな。」


 「やめてくれ。……南は連れて行かないでくれ!」


 必死に止めようとしたが蹴っ飛ばされ、南は無理やり車に乗せられて瞬く間にで走り去って行った。

 車の後ろの窓からこっちを見ながら助けを叫んでいる南を、僕は何もできずに眺めていた。


 残ったのは呆然と倒れこんでいる、僕と父だけだった。

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