第15話
魔法レッスン。実践編1日目。
といったところでしょうか?
「それじゃあ、実際に使うてみっか!」
説明の終わったと思っていたら、アランはふとそんなことを呟き立ち上がった。
「魔法の練習にはとっておきの場所があるんや。付いて来ーや」
案内された場所は……
とっても見覚えのある草原だった。
ま、まあ、そうですよね〜…
うん、俺もさ、漫画とかである秘密の特訓施設とかがあるなんて思ってなかったよ?これっぽっちも思ってなかったよ?もちろん…
若干落ち込んだが、アランがまた真面目な顔に変わったので俺も気持ちを引き締める。
「ほな、先ずは土を動かす練習からや。
さっきも言うたけど、この世界を作ってるものは基本的に元は魔力やから、そこに自分の管理下にある魔力を混ぜたれば、土であろうとする神様の命令と自分の動けという命令が混ざって土が土でありながら動くんや。
土を作りながら動かすより楽でええやろ?
これは意外と時間かかるし、奥が深いんや。俺は先に帰っとるから日が暮れるまでは今日はそれだけやれや」
アランは1度止まって、「気長にやりーや?」と言ったが、そのまま街へと帰って行ってしまった。
そうは言われても長い時間いれない俺はすぐ動かせるようになってやると意気込んで訓練を始める。
先ずは土を掘って手に乗せ、魔力を集めて土に馴染ませる。
とりあえず、『動け』と念じてみる。
本当に一部が少しだけ動いた。
今度は明確に、ここからここに動けと念じてみる。
少し動くが、途中で止まる。もどかしいな…
量が多いのか?塊一粒に狙いをつけ、それにここからここへ移動しろと命じる。
先ほどと同じくらいで動いて止まる。
クソッ!
何がダメなんだ?
何度か試し、魔力の量を変えても速度が変わるだけだった。
「これじゃあ攻撃魔法になるような魔法を覚えるのはどんだけ先になるんだ…」
練習開始から既に1時間が経過していた。
魔力の成り立ちを知っただけで動かせると思っていた俺は半べそをかきながらも土と向き合う。
が、全く動く気配もないので、そろそろ思考を変えて1度昨日の回復魔法の感覚と比べて考えてみることにする。
「ん?あ、もしかして…あっ!」
土にばかり気を取られていたが、土を動かしたいなら、その途中の通り道に魔力を集めなければならなかったのだ。
穴の空いた胸を1度覆ってから空洞になった場所に魔力を流し込んで回復した感覚から思いついたのだ!
「はは!やったやったよ!これだ!」
やっぱノアールさんマジ神っす。回復強化のお陰で普通の魔法まで感覚掴みやすくなるなんて…神以外の何者でもない!
まあ、加護を与えることができるような立場だから実際に神で間違いないんだがな笑
ただ、正直言って爺さんの加護の数十倍は役に立っているわけだし、神より上のようですが…
閑話休題、
コツをつかんだ俺は掌の土をまとめて動かせるようになったので、今度は土を掘りださないまま、魔法でくり抜くイメージの練習を始める。以外にも1度で形になったようだ。
そして、体から離れていても魔力さえ集められれば効果ありと。
まあ、自分の身体に触れているとその分勝手にその物体に集中が向くため、意志を伝えるのが簡単ではあるがな…
速度や範囲を変えて何度か試してるうちに、自分の身体より大きな塊が動かせるようになっていた。さすがにもうそろそろ集中力も限界が近く、日も暮れてきたのだが、最後に1度だけ挑戦してみたいことがある。
魔力を集めて前方に魔力を集め、軽くジャンプした瞬間。
「俺を前に進めろ!」魔力に意志を飛ばす
すると、スイーッと滑るように身体が前方に運ばれた。もちろん、ジャンプして、落ちるまでの時間は変わらない。前に進めるのみである。
なんとももどかしいが、土のみならず、自分自身も魔力で動かすことができた!
大きな第一歩と言えるだろう!
(見た目的にも)
満足した俺は、
訓練の成果を報告するため、ギルドへと戻ることにした。
「どやった?初の魔法の訓練は?意外と難しいもんやろ?俺ん時は魔力がなんだかすらようわからんのに、山里に来た魔法使いが魔力の感じ方教えてくれたから、その先を教えてくれる人なんて居てなかったけども、試行錯誤重ねてこないな訓練を1週間ずーっと続けたんやで。子供やったし、集中力もあんま続かんかったしなぁ、んで?どないな調子や?何ミリくらい動いた?」
「えっと、土なら1m四方の塊が1メートルくらい動きました!」
「おぉ!やっぱお前はコツに気づきよったか!2センチ以上動かせるようになったらコツが掴めたって証拠やからな!にしても1メートル四方か、ほんまに魔法初めてなんか?」
「えっと、身体に穴が開いて死にかけながら自分に治癒魔法かけて修復したことならありますが…」
「そんなことできるんか!もしかしてものすごい才能あるんとちゃうか?」
「いや〜でも、今までやってきたこと全て最初のコツを掴むセンスだけはいいんですけどそこから力を伸ばすのが本当に上手くなくて…多分才能はないですね。本当にいつも普通の人よりできるくらいで終わってしまうんですよね…」
事実ではあるが、冗談半分で言ったその言葉にアランがものすごく嫌そうな顔をし始めた。
「お前なぁ、才能はちょっとでもあったらラッキーなんや!本来努力でたどり着かなあかんとこに先に行けるんやからそのまましっかり努力してもっともっと先に進まな、才能があらへん奴に失礼やないか!もっと自信持てや!」
「そう…ですよね…そうですね!努力が足りなかったんですよね!わかりました!俺少しだけあるみたいですし、才能に感謝して、誰よりも先に行ってみせます。アランさんこれからもよろしくお願いします。」
すごくやる気は出たが、初めての魔法を使いすぎたようだ。
すこし頭痛がするので、軽く礼をした後、階段が上がってくるのが見えたミサーナとともに宿に帰る。
「おう、それでいいんや。若いうちは自分の努力次第でどんどん先に進める。でも、努力せーへんで才能に甘えとったらいつまで経っても上手くなることはないんや
折角才能があるのに、「最初は良かったのに、才能がない、才能がない」って言うたまま努力しなかった奴を仰山見てきたから、俺が教えるならそんなこと言わさんからな……
にしても1日でコツ掴みよったかぁ…」
テルが去った後、アランは過去を思い出すようにそう呟き、才能もありかなり早いテルの成長は嬉しく思うが、自分の費やした時間と比べてしまい肩を落とす。
「テルさん、魔法の訓練はどうでしたか?」
夕食を食べながらミサーナがそう聞いてくる。ちなみに、傷は治ったが、まだ心配らしく、夕食はほぼレバニラ炒めだ。魔法に集中しすぎていたのか、昼食を取っていなかったのでお腹のすいていた俺の為に急いで作ってくれたのだ。
「んー、思ってたよりも難しくて、土の塊を動かせるようになるのに半日かかっちゃったなぁ」
「そうですか…でも、そんな魔法あるんですか?土の塊を動かすって、なんだか命令が特殊すぎて詠唱するのが逆に難しそうですね」
「ん?詠唱?そんなの使ってないよ?」
「ええぇ、そうなんですか?魔法ってみんな詠唱して使うものだと思ってました!」
「待って、普通魔法って詠唱するの?」
「当たり前じゃないですか!」
「ん、認識に齟齬があるな…まあ、いいか。
明日アランさんに聞いてみるよ」
なかなか魔法は難しいもんですね。テルには簡単には覚えさせません。
そして、どうやらアランの胡散臭い喋り方通り、やってることまで胡散臭いようですが。
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