ver.040 『運命グラフ』
私は、姉が嫌いだった。
会川奈々に、姉が殺されてしまい、母はそれに悲愴して首を吊って死んでしまった。私は、そこで一人残されてしまい、一人になった代わりに、能力を得た。
未来を見る力、だ。
未来予知。
でも、未来予知って名前、なんかカッコ悪い。普通過ぎだよねー。ってことで、未来予知ってことは、人の運命を司る、そして、私の力は人と人の接点から、未来を導き出す。これを、見汐君は、グラフ理論に少しだけ似ているって言ってくれた。
だから、運命とグラフを合わせて、
運命グラフ
どう? セセラギ? あなたもこんな名前、好きでしょ?
それでね、私は運命グラフを使って、姉を殺した人物や、父を寝取った女や、私達を捨ててのうのうと生きている人間に、それにかかわる人間に対して、復讐をすることにしたの。この力さえあれば、楽勝……ってわけにはいかなくてね、仲間を集めて、作戦を立てて、少しずつ少しずつ、会川奈々を追い詰めていった。
はずだった。でも、私は途中で運命グラフに耐え切れなくて、死んでしまったのー。本当は、会川奈々の最後を、とても笑顔で看取っていたはずなのに、人生は上手くいかないのよねー。
あまり悔しくは、無い。
だって、私は、本当は、復讐なんて、あまり興味が無かったのよ。父が知らない人と楽しくセックスしてようが、馬鹿な母が自殺しようが、私達を嵌めた奴らとか、ほんとどうでもいい。勝手にして欲しいと思っていた。
だけど、私が唯一許せなかったのが、姉だった。
何、一人で死んでるの? と。いや、本当は、父と相手の女性を殺すつもりだったらしいけどねー、逆に返り討ちになって、死んで、それで母までおかしくして、最後は自殺させたんだ。
姉はねー、私よりも、皆に愛されていたんだよ。家族親戚、友達、知り合い大人、街行く人々、全てが、姉には、寛大だった。一種のカリスマっていうのかなー、それが、姉は持っていた。
羨ましかった。
そんな姉に対して、尊敬の念を抱いている自分が、とんでもなく許せなかった。
私のほうが、頭良いのに。
才能っていうの? それで優劣つけらたら、困るっつーの。優秀でもあったけど、それ以上に、私とのアドバンテージがある。セコイ。
でも、姉は、父を殺すことは出来なかった。
不可能。
それが、私をとっても幸せな気分にさせたの。だって、姉は成し遂げる直前に、死んでしまったのよ。ってことは、もう絶対に成功させることは出来ないの。
私にはさー、【運命グラフ】がある。
未来を観ることが、できちゃうって、凄いよねー。
ってことは、
私には、出来る。
はは、お姉、自分から電車に飛び込んじゃって、めちゃくちゃお馬鹿じゃん。でもね、一人で死ぬのは別にアホでどうでもいいけどさー、母まで連れて行くなよ。あの後、アンモニアの匂いがしばらく取れなかったんだから。大家さんにも怒られるし……。
姉には不可能だった問題を、私は乗り越えることが、可能。
それを夢見て頑張ってきたけど、結局無理だった。
うぅ、姉には、敵わないのよ。
見汐君に任せたけど、彼は成功できるかわからないし。
――こんな感じ、かな。書き残していた話は。
ふぅ。
で、セセラギ、セセラギと言われて、少し驚いた? あ、私の能力について、誰かから聞いていると思うから、別に想定の範囲無い? ――果たせるかな、だっけ? 案の定って言えばー? そっちのが言いやすいよ。同じ意味だし。本当に頭の良い人はねー、どんな馬鹿でもわかる言葉で話すもんだよ。難しい言葉を使ったり、自分だけしか知らない言葉を使うのは、あまり褒められる行為ではないよー。
あれ、怒った? いや、怒ってはいないか。呆れているね。なんでわかるかって? 運命グラフがありますから、今、セセラギがこのメールを読んで、どんな想いを浮かべているか、未来のあなたと話ているのよー。意味わからない? いずれわかるよ。今、見汐君が居ないから、その間に書けるだけ、この文章を書くよ。
なんで、私が、セセラギにメールを送ったか?
それは、お願いがあるんです。
まずは、私のこの運命グラフを、あげます。詳しくは知らないけど、今のセセラギには、力をケータイに組み込めるんでしょ。このメールを読み終われば、レベルアップ出来るから、その時に習得できる。
で、その次に、この家から続いている、地下のシェルターへ向かってね。場所は、トイレに隠し道があるから。そこで、色々と些細なイベントがある。それを消費してー、うーーん、そこで、私の【運命グラフ】を完全に起動できるようになるのよー。何故かって? いや、それは自分で体験して! 結構面白いと思うから。
それで、セセラギに頼みたいことは、会川奈々の殺害。
方法? それに、もう会川奈々は死んでいるって? そりゃ、寿命で死ぬよ。私がしてほしいのは、殺害だよ。
殺されたって?
私もね、それを願っていたんだけど……多分、見汐君は失敗している。
殺せては、いない。
最後に、何か邪魔が入って、達成は出来なかったんだ。あの寝取られ根暗野郎、私が、ちょっとチ●コ舐めれば頑張ってくれると思っていたのに、これだから金玉ついている人間は信用ならない。
で、セセラギ、やってくれるかな?
何、その顔……渋らないでー。
どうせ今、やること無いんでしょ。地球も崩壊しているみたいだし、行く場所も無い。
それに、もうすぐ死ぬよね?
こんなことまでわかる【運命グラフ】いいでしょ。まぁ、セセラギに渡ると、かなり性質が変わっちゃうかもしれないけど。原因は、あの女、――会川奈々かなー。
あ、見汐君が戻ってくる。私も、もうすぐ逝くから、これ以上は、文字を入力出来ない。
じゃあ、頼んだよ。
ケイ
レベルアップしました。
【運命グラフ】を習得しました。
運命グラフ
時間
タイプ――ケイ
消費SP ?
二〇一〇。拙い、厳つい、儚い、運命→リンク




