ver.040
……私は、一ページを読み、残りのページも確認して、似たような文字が羅列しているのを確認すると、全力で引き千切った。空から、嘆きの籠った声が聞こえてきたような気がするけど、空耳だね、うん。ってかなぞかけも全然かかってないし、意味わっかんないッ! あの人は本当にアホだ、クズボケ、って……女子高生に罵倒されても、気持ちいいと、思っているのかもしれない。ぞわっと鳥肌が、立つ。
あのおっさん、偉そうなこと言っていたけど、ただの犯罪者じゃん。途端に、私の体をどっと疲れが襲う。何か、面白いモノがあると思っていたのに、嫌な肩透かしを食らい、心が宙ぶらりん、だ。
ため息をつきながら、箱を元の位置へ戻そうとした時、箱が置いてあった場所の床が、少し変色していることに気が付いた。埃が被っているからではなく、明らかに材木がその場所だけ違う。
私は、箱を横に置くと、その床に指を当てる。……沈んだ。少し隙間が出来て、そこに指を当てると、簡単に開けることが出来た。
そこは、二階と一階の天井の隙間に繋がっている。
しかも、また箱が置いてあった。
私は、その箱を取り出した。
三十センチ四方ほどの、箱だった。開けてみると、中には、様々なガラクタが敷き詰められていた。昔の玩具や、コインのメダル。――おいおい、また肩透かしかよぉ。面白そうなモノは、何もない。ゴミだけだ。本気で落胆した。もう、完全に無駄骨。未来予知のデータでもあるかと思っていたのに何もない。中に、真空パックに入った女の子のパンツがあったけど、どうせこのパンツは――確か有野間強には妹がいたから、その子から盗んだんでしょう。頭にかぶってウケを狙おうとしたのかもしれない。あのレベルなら、それくらいやりかねないな。ってか近親相姦かよ、マジで引くわー。
そう思って、ガラクタを適当に弄っていると、奥にケータイがいくつか入っていることに気づいた。どうやら、有野間強は、ケータイを変えるたびに、その機種を保存していたらしい。かなり古いのまである。その横に、ご丁寧に充電ケーブルまで。
――待って、充電ケーブル?
ポケットに入れてある、見汐からパクったケータイのことを思い出す。そうだ、もしかしたら、こいつに充電出来るかもしれない。咄嗟にポケットから引き抜こうとして、私は思い留まった。
もし、これで違っていたら、また空回り――。
刻々と減る私の寿命が、嫌な予感を騒ぎ立てた。
なので、まず私は、自分のケータイを取り出す。いつの間にか、【インフォメーション】は切れていた。他のスキルと違って、これはいつ力が終了するのかわかりにくいのが、問題だな。そんなことを思いつつ、私はもう一度発動させた。これで超幸運になる。
私は、偶然、この古いケータイに合う充電器を、有野間強が保管していますように、と願いながら、箱の中を確認した。
ケーブルを発見すると、それをさっそくケータイに差し込んでみる。
果たせるかな、ケーブルは簡単にケータイに差し込めた。私は一階へ降りると、テレビの近くにあるタコ足コンセントの差込口に、充電ケーブルを入れた。
ケーブルを差し込むと、画面の端が赤く点滅した。やった、充電している。五分ほど待ってから、電源ボタンを押して、立ち上げる。古臭い画面がチラついて、トップに入った。
でも、私はその画面を眺めながら、一つの疑問と向き合っていた。
何故、今、私は、ケータイを立ち上げるのに必死になっているのかと。そりゃね、何もすることが無いから、暇つぶしのために、この家に来て、そんで会いたい人が死んじゃっていたから、その空振りを埋めるために、私は行動を起こしている。それが、このケータイなんだけど……。
嫌な予感を感じた。
【インフォメーション】を発動している最中なのだから、私の行動は全て正しいと修正されるとなる。
だから、問題無いはずなのに……なんだろう、これは。
また別の、何か巨大な意志が、このケータイから圧力として、湧き出ているような印象を受ける。
適当に画面を操作していると、メールの画面に入った。
受信、送信箱、どちらもメールは入っていない。まぁ、何十年も電気が入っていない状態だったんだ、データも全て消し飛んでいるだろう
そう思って、戻ろうとした時、……未送信箱に、一通メールが入っていることに気が付いた。
私は、それを開いた。
『運命グラフ エピローグ』
と、書かれている。件名には、『ケイ』と書かれている。
送信先の欄には……「え?」と私は声を出してしまう。
だって、
そこには、
『セセラギ』
と書いてあった、から。
私は、何も考えれずに、貪るように、メールを開いた。
ぎっちりと、長文が記されている。




