スキル実践
えー説明回です。
連続3話も使うなという話ですがゲームものなのでご容赦下さい……
武器屋の裏手に回る扉を開くとそこは弓や魔法の練習のための的や木でできた人型の物がある場所だった。
「おお!訓練所って感じですね!」
「一応あの店のものを一個でも買ったことがあれば使用できる場所だ。」
「って事は先輩、スーグさんもあの店のもの持ってるんですか?」
「ああ、一本アイアンブレードを持ってる。」
「アイアンブレード、大剣でしたっけ。」
「ああ、このゲームでは基本ソードが片手剣、ブレードが大剣の名称になってる。」
「へー、それにしても最初の方に買った物を持っておくなんて珍しいですね。」
そう言われたスーグはちょっと恥ずかしそうに頬をかいた。
「あー俺はちょっと売るのが惜しくなってな。」
「惜しい、ですか?」
「ああ、あのアイアンブレードは最初にこのゲームで使った武器でな。強化とか修理とかもしてそれなりに長く使ってたからな。」
「成る程思い出込み込みということですね!」
「ああ。」
「私は良いと思いますよ!」
「ありがとよ。」
そこまで話したスーグ達は木で出来た人形の前に移動した。
「さて、スキルについてだが使い方はシンプルだ。」
そう言うとスーグはメニュー画面を開きその背に愛用の武器を出す。
それはとてもシンプルな意匠の武器だがその鉄や銅等とは違う煌めきから現実には無い素材で出来た武器だというのが初見のブルーにも理解出来るほどの業物だった。
「おお……凄い剣ですね!」
「ん?ああ、これか?一ヶ月前にアプデされたダンジョンのボスのレアドロップだ。この無駄な装飾の無さが中々良くてな。」
「分かります!色んな紋章とか付いてるのも良いけどこういうのも武器!って感じでいいですよね!」
「だろう。と、話が脱線してるな。」
「あ、すいません……」
「まあ、ゲーマーなら仕方無いだろ。」
気を取り直したスーグはその大剣を肩に乗せ足を肩幅に開いた。
「このゲームではスキルは決められた体勢を取ることで発動条件が満たされる。」
そのポーズを取って事により認証されたのか武器から青白い光が溢れ出す。
「この状態がスキルの発動待機状態。ここから発動するスキル名を叫べば発動する。『バスター』!」
解き放たれた青白い光が武器を包み人形に向けて振り下ろされる。
真っ直ぐな縦振り、だがスーグのステータスと武器の攻撃力の合せ技の結果か人形は真っ二つとなり地面には大きめの凹みが出来た。
かと思いきや5秒もしないうちに的も地面も元に戻った。
「と、これがスキルの一連の流れだ。」
「おー!……スキル名言わなきゃダメなんですか?」
「ああ、ここがちょっと面白いところだよな。」
「もし、スキル名忘れたら……?」
「無論ただただポーズ取っただけになるが。」
「ですよね〜暗記苦手なんですけど大丈夫ですかね……」
不安そうにするブルーにスーグは笑いながら答える。
「まあ、メインで使うのなんて多くても3種類くらいだ。そんなに難しくは無いさ。」
「頑張ります……。」
「使ってりゃ勝手に覚えてくるさ。そら、やってみろ。」
スーグと立ち位置を交代したブルーは先程買った剣を取り出す。取り出されたそれは鞘と共に背に出現した。
「おお、これが剣の重み……」
「初期ステータスだとより感じるよな。」
「はい、ゲームとかのキャラになれた!って感じがして来ました!」
「良いもんだよな。」
「はい!」
「それはそれとして攻撃スキルはステータスの使用可能スキルの項目で確認できるぞ。」
「えーと使用可能スキル使用可能スキル……あった!えっと……スラッシュとマジックチャージとサンダーショットってあります!」
「スラッシュは片手剣スキルの基本技、マジックチャージは杖の基本技、サンダーショットは雷魔法の基本技だな。」
「じゃあスラッシュから試してみます!」
スラッシュをタップし発動方法を読んだブルーは剣を身体の後ろに水平に構える。
青白い光が溢れ出したのを確認したブルーは的を見ながら叫ぶ。
「『スラッシュ』!」
横一直線の剣の閃き。それは的に水平な傷を付けた。
「おお!これがスキル!なんか不思議な感じですね体が勝手に動かされるって。」
「まあ、最初は違和感を感じるだろうがじきに慣れる。」
「そうですね、じゃあ次はサンダーショットを試してみます!」
「ならあっちの的を狙ってみろ。」
スーグは遠くの的を指差す。
「はい!」
ブルーは的と自分が真っ直ぐになるよう立ち位置を調整する。
「魔法はスキルとは少しだけ違って空っぽの手か杖を使う対象に向けながら決められた言葉、ワードを言う事で起動し、スキルの様に魔法名を叫ぶ事で発動する。」
「詠唱って事ですね!」
「まあ、そんなもんだ。初級の魔法なら2ワードで使えたはずだ。やってみろ。」
「はい!えーと……よし!」
杖を真っ直ぐ的に向けながら詠唱を始める。
「〘雷の〙〘弾丸〙」
魔法が起動する。杖の先にバチバチと雷が丸く玉のように溜まり出す。それに少し動揺しながらもブルーは的を目で真っ直ぐ捉え叫ぶ。
「『サンダーショット』!」
放たれたそれは雷が一塊の球体となったもの。それは電気の塊らしくとてつもない速度で的にあたった。
「おおおおお!これが魔法なんですね!」
「ああ、サンダーショットは初級の魔法の中でも速度に優れている。その事を頭に入れて使うと良い。」
「はい!」
「MPも減った事だし次はマジックチャージだ。」
「分かりました。」
「だがその前に目だけで視界の左上側を見てみろ。そこにHPとMPと名前だけの簡単なステータス欄がある。」
「えーと目線だけ目線だけ……ありました!えっと下の青色がいくらか減ってます。」
「上の緑がHP下の青がMPだ。でマジックチャージはHPをMPに変換するスキルだ。」
「成る程!ではやってみます。」
左手に持った杖を胸の前に持ってきて先端を空に向ける。すると杖からスラッシュの時のような青白い光が溢れ出す。
「『マジックチャージ』。」
するとブルーは全身が青白い光に包まれた。
3秒後その光は消えた。
「えーと?」
「どうだ回復してるだろ。」
「あ、本当です!」
「魔法だけじゃなく武器の攻撃スキルにもMPは使うが故中々に便利なスキルだからチャンスがあってHPに余裕があれば躊躇いなく使うと良い。」
「分かりました!」
それからブルーは少しの間スラッシュとサンダーショットの練習をしていた。それを眺めていたスーグは時間を確認すると頷きブルーに声をかけた。
「さてと、そろそろ行くか。」
「あ、分かりました!」
「あとは実戦で練習していこう。」
「では!」
「ああ、今度こそ、な。」
「冒険の旅に出発!です!」
満点の星空の様に目を輝かせながらブルーは叫ぶのだった。




