あれからともう一人
スーグとスカーレットの決闘から数日、3人はパーティーを組んでブルーのレベル及びスキル上げに勤しんでいた。
「来るぞ!弾け!」
「はい!盾を前に構えて……『パリィ』!」
ブルーが二足歩行の犬の魔物、ソルジャーコボルトの剣の攻撃を盾スキルの基本技、『パリィ』によって弾き飛ばす。
「今!『ソニック・エッジ』!」
その隙を見て、スカーレットが素早くコボルトへと攻撃をする。
コボルトのHPは目に見えて減っていく。
その減り方を見て全損まではいかないと判断したスーグは追撃を行う。
「『クロスエッジ』!」
十字に敵を斬り裂く大剣スキルのシンプルな技。
だがスーグの圧倒的火力により放たれるそれは、ソルジャーコボルトの残りHPを消し飛ばすには十分だった。
一瞬にしてHPゲージのゲージが全て消え去り、パリンという音と共にソルジャーコボルトは消え去った。
それと同時にファンファーレと共にYouWin!という表示が3人の視界に浮かび上がった。
「やった!やった!やったよスカーレット!」
「わぷ、もう、急に抱きつかないでよ。」
「えへへ~ごめんね?嫌だった?」
「まったく、答えなんて知ってるでしょ?」
「そうだった〜」
2人がいちゃついているのを少し暇そうにスーグは報酬を確認しながら眺めていた。
宿屋に戻って来た3人は改めてソルジャーコボルト達の報酬を確認していた。
「む〜レアそうなのは無さそうですね。」
「そりゃな。そう簡単に出たら俺はアイツラを百回単位で倒してはいない。」
「周回やだ〜」
「でも自分でいいだしたんでしょ。自分でここの報酬欲しい!って。」
「そうなんだけど〜」
3人はクエスト、町などにある掲示板やNPCから引き受けられる依頼をやっていた。
今回は魔物討伐ソルジャーコボルトの集団が現れたので倒して欲しいというクエストだった。
その中でコボルト達がドロップする装備のコボルトソードが要求ステータスなどの観点からブルーにちょうどよく、それを狙ってブルーの二足歩行モンスターとの練習も兼ねて挑んでいたというわけだ。
ちなみにコボルトソードをスーグは持っている。
パーティーを組んでいる為譲ろうとしたのだが自分で頑張ったドロップで欲しい!との事で粘る羽目になったのだ。
「それにしてもやっぱりブルーをメインに据えるとまだ火力不足で時間が間延びしてしまうわね。」
「うっ……一応頑張って推奨レベルまでは上げたんだけどな……」
「まあ、そこはMMOというかゲームの常としか言いようが無いからな。頑張って周回しよう。」
「はーい。」
「うーん、それにしても……」
ブルーが机に突っ伏すのを見ながらスカーレットは先の戦闘の様子を思い出す。
「パリィの練習だったりをしてるのもあってブルーのHPがあっという間に減っていくわよね。」
「まあ、装備はあくまでも店売りのものだけだからな。そろそろ頼りなくなってくる頃合いだ。」
「ぜ、全部防げればダメージ0だから!」
「防げてないから回復薬を何回も飲む羽目になってるんでしょ。」
ペチンとデコピンをする。
「ぐえ。」
「いくらクエスト周回とは言えあの速度で回復薬を消費してたら収支がマイナスになってしまうわよ。」
「なんなら一人一人の収入という意味ではすでにマイナスな計算になると思うぞ。」
「うえ〜」
「ブルーも回復魔法使えるようにしてあるとは言え攻撃とかパリィにMPは使いたいから使えたものではないし、やっぱりヒーラーは欲しいわね。」
「確かにな。」
「う〜ん……あ、そう言えばスーグさん他にもサポーターの仲間がいるって言ってませんでしたか?」
「え、そうなの?」
「ん、ああそう言えばブルーには教えてたな。サポーター専門の奴がいるぞ。」
「男?女?」
「女だが。」
「へぇ〜」
「おい、どういう反応だ。」
「別に〜女誑かしなんだな〜って。」
「酷い言い草だ……」
「でもなんか女の子ばっかりなのは否定出来ないような?」
「まあ、否定はしないが……」
「どういう出会い方をしたの?」
「広場でオロオロしてるのを見過ごせなくて声をかけた。」
「成る程ゲーム初心者だったのね。」
「あ、教え方が上手だったの一回やったからなんですね。」
「まあな。それ以降中々他の所に行ってくれなくてな、最近諦めた所だ。」
「そうなのね。」
「その人は今は?」
「リアルが忙しいって最近はログインだけしてるみたいだ。ちなみにあの宿屋の俺の隣の部屋を取ってるのがそいつだ。」
「復帰時期は?」
「えーと……明日だな。」
「それなら一緒に出来ますかね!」
「気のいいやつだ多分OKしてくれるだろうな。」
「やった!」
「それなら明日は私達は一旦町に出てるから説明お願いね。」
「了解だ。」
明日の話が纏った所でスーグは立ち上がった。
「それじゃ、周回行くぞ〜」
「うぇ〜」
「はいはい。」
そうして取り敢えず今日出来ることをということで3人は再度クエストを受けに行くのだった。




