購入とFPNP
道を戻って来た3人は来る時に見た店に寄った。
「いらっしゃいませ!本日はどの様な御用でしょうか!」
店に入ると笑顔で若い女性の店員が声をかけてきた。
「ARマーカーの最新モデルが欲しい。金額は問わない。」
「はーい!ではお客様の登録情報を確認致しますのでARマーカーをお貸しいただけますか?」
「ああ、どうぞ。」
始からARマーカーを受け取った店員は目を丸くした。
「これ……凄い古いモデルですね。」
「ああ、配布が始まる前に作られたモデルだからな。」
「成る程、初期モデルなんですね。では確認させて頂きますね。」
受け取ったARマーカーをパソコンに繋いで確認すると目を見開いた店員が先輩らしき男性に慌てて声をかける。その先輩も画面を見て目の色を変えて若い子に指示を出す。接客をしていなかった店員達が慌てて裏手の倉庫に向かう。
そして一番年が上の店員が始の所に来た。
「士道様今回はこの店舗を来ていただきありがとうございます!」
「ああ。」
「ここまでで問題は無かったでしょうか!」
「特には。人を待たしている早めにしてくれると助かる。」
「は!」
そんな風に会話していると先程までの若い店員が3個程持ってきた。
「お待たせしました!こちらが現在店にある最新のモデルです!」
「ふむ……それぞれ特徴は?」
「こちらは電池持ちがいいですが少しスペックが弱いです。」
「ほう。」
「こちらはスペックが高いですが電池持ちが悪いです。」
「ふむ。」
「こちらはスペックも電池持ちもいいですがお値段が少々……」
「……よしこれにする。」
「ええ!?」
「ありがとうございます!」
そうしていくらかの契約をした後始はそのARマーカーを起動しながら店の中を物色していた葵達の所へ向かった。
「待たせたな。」
「あ、いえいえ。」
「……何か店員さん達が大慌てでしたけど……士道さんは何者なんですか?」
「あ、確かに。なんか偉い人だったりして!」
「ん?あー少なくとも出会って1ヶ月も経ってない奴に話せる話ではないという事だけは言っておくぞ。」
「……分かりました。」
「ん〜あ、そういえば私達まだ会って1ヶ月経ってないんでしたっけ。」
「そうだ。まだ明かせる段階じゃないってだけさ。」
「それならいつか明かしてくれるのを待ってみます!」
「それはそうと動きには問題無さそうですか?」
「ああ。」
視界の端に服装まで変更出来て胸を張っているローナが見える。
「AIのスペックも完全に発揮できそうだ。」
「それは良かったです!」
そうして店を後にして遂に3人はデジタル区から出ることに成功したのだった。
「帰ってこれました!!!」
「ありがとうございました士道さん。お礼はいつかまた。」
「別に問題は無い。なにかあれば連絡しろと言ったのも俺だったしな。」
そう言って別れようとした時、葵が何かに気付いたかのような大声を上げた。
「あ、そうだ先輩!」
「なんだ?」
「茜もNLOをやっているそうなんですけど今日、3人で出来ないでしょうか!」
「ほう、そうなのか?」
「はい、でもNP側ではありますが。」
「そうか。」
「NP?」
「あれ?士道さんから聞いてないのね。NLOにはFPって呼ばれてる人達とNPって呼ばれる人がいるのよ。」
「へーどういう分け方?」
「FPがサービス開始からずっとやってる人、NPは1ヶ月後から始めたプレイヤー全体の事を言うわ。」
「そうなんだ!あ、じゃあ先輩ってどっちですか?」
「……どっちでもいいだろ。」
「えー?」
「いえ、かなり問題なので聞きたいです。」
「え?そうなの?」
「FPはNPへ情報を一切出さずになんなら邪魔さえしてくるのよ。」
「ええ!?……でもそれなら先輩はNPかぁ。」
「……かもしれないわね。でも偽装かもしれないわ。士道さん答えてください。」
この話が始まってから葵達に一切顔を向けない始の背中に茜が圧を強めた声色で語りかける。
それに対して始は、
「……ゲーム内で会ってみれば分かるさ。」
とだけ言い残し立ち去っていくのだった。




